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サイリウムは血糖値の味方!糖尿病治療に生かす摂取方法と効能

サイリウムの摂取方法と効能

食事に混ぜるだけで血糖値が安定すると話題の白い粉の正体こそ、サイリウムです。

果たして、その効果は本当に魔法でしょうか。

科学の視点から、その秘密を詳しく解説していきます。

この記事からわかること
  • サイリウムは、血糖値の急上昇を抑える
  • サイリウムには、腸内環境やコレステロールを改善する効果もある
  • サイリウムは、体重減少も期待できる
  • サイリウムハスクとサイリウムパウダーを、上手に使い分ける
  • 糖尿病改善のためには、専門家への相談も必要である

糖尿病や糖尿病予備軍といわれた人、糖質制限に興味のある人、健康に関心のある人はぜひ最後までご覧ください。

目次

サイリウムは血糖値の急上昇を防ぐ効果がある

サイリウムが血糖値を下げる鍵は、その驚くべき保水力にあります。

水を含むと何十倍にも膨れ上がるサイリウムがどのように働き、血糖値の急上昇を抑えるのか、そのメカニズムを解説します。

サイリウムとは、オオバコ科の植物であるプランタゴ・オバタの種子の殻から得られる天然の食物繊維のことです。

無味無臭で水に溶けるとゼリー状に膨らむ性質があり、胃や腸で糖と消化酵素の接触を妨げます。

これにより、ブドウ糖の分解吸収の速度は緩やかになり、その結果血糖値が緩やかに上昇し、インスリンの急激な分泌も抑えられます。

特に糖尿病予備群や血糖値が気になる人にとって、サイリウムは手軽に取り入れられる自然素材です。

参照元:健康日本21アクション支援システム「食物繊維」-厚生労働省

Soluble fibers from psyllium improve glycemic response and body weight among diabetes type 2 patients (randomized control trial)-Nutrition Journal

サイリウムは腸内環境やコレステロール値も改善する

コレステロール値を改善

サイリウムは血糖値を下げる他に、腸内環境の改善やコレステロールの改善も期待できる素材です。

豊富に含まれる天然の水溶性食物繊維により、腸内環境や便秘に効果があります。

水を含むと膨張してゼリー状になり腸内でかさが増し、腸のぜん動運動を促進します。

これにより便の通過がスムーズになり、慢性的な便秘の解消につながるのです。

さらにサイリウムの水溶性食物繊維は腸内の善玉菌の餌となり、腸内環境を整える働きもあります。

腸内環境の改善は、免疫機能を向上させ、肌の調子がよくなったり気分が安定したりするとされています。

さらに腸内環境が整うと、結果として血糖値の調整にも良い影響が得られるのです。

善玉菌が増えると、短鎖脂肪酸と呼ばれる物質が腸内で作られ、インスリンの働きを高めたり血糖値の上昇を抑えたりする作用があります。

反対に、腸内環境が乱れ悪玉菌が増加すると炎症が引き起こされ、血糖値の悪化につながります。

さらにサイリウムの水溶性食物繊維の持つもう1つの効果が、血液中の悪玉コレステロールの低下です。

腸内で水分を吸収してゲル状になったサイリウムは、食事由来のコレステロールや胆汁酸を包み込んで体外に排出します。

これにより、肝臓は新たな胆汁酸を作るために血中のコレステロールを利用し、結果として悪玉コレステロールが減少する仕組みです。

実際に、サイリウムの摂取と悪玉コレステロールの低下との関係は、欧米の研究でも一定の効果が認められています。

これらの作用により、サイリウムは体重減少にも寄与する素材として注目されています。

その最大の理由は、豊富に含まれる水溶性食物繊維による満腹感の持続です。

サイリウムの水分を吸収して数十倍に膨らむ性質から、少量でも満腹感を得られます。

そのため、食べ過ぎ防止や間食が抑制されるのです。

複数の臨床研究では、サイリウム摂取により体重やBMI、ウエスト周囲径の有意な減少が報告されています。

サイリウムの効能は、臨床研究でも証明されつつあります。

参照元:Psyllium is a natural nonfermented gel-forming fiber that is effective for weight loss: A comprehensive review and meta-analysis-NationalLibrary of Medicine

The Effect of Psyllium Husk on Intestinal Microbiota in Constipated Patients and Healthy Controls – PubMed-NationalLibrary of Medicine

サイリウムにはオオバコ種皮を粉状にしたパウダーと粗めに砕いたハスクがある

パウダーとハスクの使い分け

サイリウムはグルテンフリーや低糖質レシピで、人気の食材です。

サイリウムを購入する際は、オオバコ種皮を原料とする製品を選びましょう。

さらに、サイリウムパウダーとサイリウムハスクは用途が異なるため、目的に応じた使い分けが重要です。

料理に応じてパウダーとハスクを使い分け、理想的な食感や見た目が実現できます。

どちらも食物繊維が豊富であるのは変わりませんが、レシピの仕上がりに大きく影響するため使い分けがポイントです。

留意点としては、水分が不足すると腸閉塞や喉につかえる危険があります。

充分な水分を一緒に、摂取するようにしてください。

サイリウムパウダーは、ハスクからさらに微粉末化したものです。

早めにとろみが出るのが特徴で、ゼリーやスムージーに使うとなめらかな仕上がりになります。

無添加で甘味料や香料が入っていないものを選ぶと、飲み物にも混ぜられるため手軽です。

摂取方法としては、スプーン1杯をコップ1杯以上の水やお茶に素早く混ぜてすぐに飲み切ってください。

他にも、スープに混ぜて摂取するのも良い方法です。

飲み物に混ぜて摂取する場合は、水分が少ないと腸で詰まりを起こす可能性が高くなるため、摂取後にもコップ1〜2杯の水を追加で飲む必要があります。

サイリウムハスクは、種皮を粗めに砕いた製品で、粒状の食感が残るのが特徴です。

パンやクラッカーに使うと、噛み応えのある仕上がりになります。

水分吸収が緩やかで、ふんわり感や繊維感を生かしたレシピに適している素材です。

おから蒸しパンや低糖質スイーツなどでは、生地のまとまりを良くし、もちもちとした食感を引き出すのにも役立ちます。

どちらのサイリウムを使った食品でも食前に摂取すると、満腹感を高めて食べ過ぎを防ぐのです。

薬を服用している場合は、サイリウムが薬の吸収を妨げる可能性があるため、服用時間をあけるのが推奨されます。

サイリウムの1日の摂取量の目安は製品ごとで異なるため、摂取する際は製品表示を確認してください。

はじめての人は少量から始め、体調を見ながら増やすのが安全です。

さらに、便通改善が目的の場合は朝食前や就寝前に摂取してください。

腸の動きが活発になるタイミングで、効果を実感できます。

参照元:成人女性に対するサイリウム粉末飲料の摂取による便への影響-日本食品科学工学会誌

魔法の粉と呼ばれるサイリウムが生活を変える

サイリウムは、毎日の生活に簡単に取り入れられる新習慣として注目されています。

水に溶かすだけでも飲める手軽さが魅力で、忙しい朝や外出先でも無理なく、続けられます。

最大の特長は、食物繊維が豊富である点です。

現代人に不足しがちな食物繊維をサプリや加工食品に頼らず、自然な形で補えます。

さらにサイリウムの血糖値の急上昇を抑える働きは、糖質制限中の人にも良い素材です。

食事の前に活用すると、食後の血糖コントロールがよりスムーズになります。

パンやスイーツにも活用できるうえ、健康管理が制限ではなく、楽しみへと変わるきっかけになります。

ダイエットや腸活を始めたい人にとって、サイリウムは気軽に実感できる方法です。

糖尿病の改善には専門家への相談も重要である

専門家への相談も重要

糖尿病の改善には、日々の血糖管理が欠かせません。

なかでも食事療法は、血糖値の安定に直結する最も基本的な対策です。

食物繊維やたんぱく質を適切に取り入れると、血糖値の急激な上昇を防ぎます。

最近では、サイリウムの他にもいくつかの健康食品も注目されているものの、取り入れ方には工夫が必要です。

自己流で多用すると、栄養バランスを崩したりかえって体調不良に繋がったりする可能性もあります。

こうしたときに頼りになるのが、医師や管理栄養士といった専門家の存在です。

それぞれの体質や生活習慣に合った助言をもらい、無理なく、血糖管理が継続できます。

他にも、健康食品やサプリメントの選び方や使い方についても、ぜひ専門家に相談してください。

糖尿病は一人で抱え込まず、プロの知識を活用すると改善への近道が見えてきます。

自分に合った食事療法を見つけ正しく健康食品を取り入れながら、継続的に専門家のサポートを受け、将来の合併症予防やQOL向上につなげましょう。

サイリウムを正しく理解し健康的な生活を送る

サイリウムは、血糖値の安定を目指す食事療法において、強力なサポート役となります。

豊富な食物繊維を含み、糖の吸収を緩やかにする働きがあるため、食後血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待できます。

手軽に取り入れられるのも魅力で、飲み物に溶かして摂取する方法だけでなく、おから蒸しパンやスムージーなど幅広いレシピに活用が可能です。

ただし、効果を最大限に引き出すには、正しい知識が欠かせません。

摂取量やタイミングを誤ると、便秘やお腹の張りといった不調を引き起こす可能性もあります。

血糖管理を無理なく、継続するためには、自分の体調に合わせて調整しながら使用するのが大切です。

医師や管理栄養士などの専門家からの助言も取り入れつつ、サイリウムを正しく理解し、健康的な生活をサポートする一つの選択肢として活用しましょう。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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