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糖化はAGEsを蓄積させる原因であり食事方法次第で対策ができる

AGEsの蓄積を防ぐ食品と調理法

AGEs(エージーイー)は最終糖化産物とも呼ばれ、糖とタンパク質が結合、糖化して生成される物質です。

AGEsには老化を促進させる作用があり、整容面や内臓の機能面に影響を与える可能性があります。

さらに病気を引き起こすきっかけになるとも考えられており、健康にも悪影響を及ぼしかねません。

AGEsの生成や蓄積をさせないためには生活習慣の改善が必要不可欠ですが、その中でも食事内容の見直しは非常に重要視されます。

食事の選択はAGEs生成のきっかけとなる糖化を防ぐだけでなく、肥満や生活習慣病予防にも効果的です。

この記事を読んで分かること
  • AGEsが老化や病気に及ぼす影響
  • AGEsは糖とタンパク質から生成される物質である
  • AGEsは食生活や血糖コントロールの乱れによって増加する
  • 血糖値の安定化はAGEsの増加を抑制する
  • AGEsを減少させる調理方法
  • AGEsの生成を抑える食品の選択方法

食生活の改善とともにAGEsの蓄積を防ぎ、健康的な若々しさを手に入れましょう。

本記事では、AGEsという物質についてやAGEsが食事や血糖値とどのような関連があるのかを解説します。

AGEsの蓄積を防ぐための調理方法や食品の選択方法なども紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

目次

AGEsは老化や病気の原因になる物質である

老化や病気の原因になる物質

AGEsは、糖とタンパク質の結合によって生成される物質であり、最終糖化産物とも呼ばれています。

砂糖に火を入れ続けると焦げるように、AGEsは体の焦げとも表現されます。

このAGEsは加齢や過剰な糖の摂取によって一度生成されると、なかなか排出されず、徐々に蓄積していくのが特徴です。

近年の研究では、このAGEsの蓄積が老化を進行させたり、病気を引き起こしたりする可能性があると考えられています。

そのため、AGEsが生成されないように糖化を防ぐのが重要です。

では、AGEsとはどのような物質でどのように体に影響を及ぼすのか、次の項目で詳しく解説していきます。

AGEsは糖とタンパク質の結合から生まれる物質である

AGEsは、血液中に余っている過剰な糖とタンパク質が結合する糖化反応として生成される物質です。

AGEsは容易に分解できずに徐々に蓄積されるため、その割合は年齢とともに増加していきます。

さらに、AGEsは体内だけでなく、食品の調理過程でも生成されます。

小麦粉などの糖質と牛乳や卵などのタンパク質を合わせて加熱した食品、ステーキを高温で焼いた際にできる焦げ目に含まれるのもAGEsです。

AGEsは体内で代謝として生成されるだけでなく、普段の食事からも摂取されるリスクがあります。

AGEsは美容と健康の両面に悪影響を及ぼす

AGEsは体内において細胞を劣化させ、生活習慣病などに罹患するリスクを高める原因です。

肌の弾力を保つコラーゲンやエラスチンが硬化し、しわやたるみなどの原因になったり、血管内においては動脈硬化の原因になったりと美容や健康の両側面に影響を及ぼします。

さらに、アルツハイマー病の症状を進行させる可能性もあると言われています。

その理由は、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβというタンパク質が糖化により、脳に蓄積する傾向にあるためです。

そして、糖尿病患者は糖尿病になっていない人と比較すると認知症を発症している割合が高いという点でも糖化と認知症には深い関連があるとされています。

AGEsの増加の原因には血糖コントロールの乱れが背景にある

血糖コントロールの乱れ

AGEsは代謝機能が低下するために年齢を重ねるほど生成され、蓄積していきます。

生成を抑制したり、蓄積を最小限に抑えたりするためには、日々の食事の見直しと血糖コントロールの安定が必要です。

現在の食事内容や食品選びはもちろんですが、調理方法も一緒に見直しするとより効果が期待できます。

実はAGEsは糖化によってだけでなく、調理方法によっても生成される量が異なります。

食品選びと調理方法を組み合わせるだけでもAGEsの生成を抑制するには効果的ですが、より効果を得るためには血糖コントロールが欠かせません。

血糖値の上昇はAGEsの体内生成を加速させる要因となる

血糖値の上昇や血糖値の高い状態が長時間続く状態は、AGEsの生成を加速させる要因です。

血糖値が急激に上がると、余分な糖が体内にとどまり、より多くのタンパク質と結合する環境が生まれます。

そして血糖値が高い場合も、体内に分解できていない糖が存在している状態であるため、タンパク質とより多く結合する結果を招きます。

これらの状態が長時間続くほど、糖とタンパク質の結合が進行し、AGEsは大量に生産されてしまいます。

血糖値を安定させるには、食事の内容や食べる順番を意識するのが鍵です。

食事の摂り方を工夫をして血糖値を安定させる

AGEsは、体内の余分な糖とタンパク質の結びつきで生まれ、老化や生活習慣病の一因とされています。

特に血糖値の急上昇は、糖化を進める最大の要因です。

血糖値が乱れると、分解されなかった糖が体内に残り、タンパク質と結合してAGEsを増やしてしまいます。

そのため、食事のたびに血糖値を安定させる工夫が必要です。

ゆっくり吸収される炭水化物を意識的に選び、食物繊維を多く摂ると、糖の吸収が穏やかになります。

さらに、食べる順番を意識して最初に野菜、次にたんぱく質、最後に炭水化物という順で食べると血糖コントロールに役立ちます。

こうした日常的な食習慣の積み重ねが、AGEsの蓄積を抑え、肌や血管の老化の予防につながるでしょう。

低GI食品の選択を意識すると糖化の進行を抑えられる

低GI食品は、食後の血糖値上昇を緩やかにし、糖化を抑えるうえで効果的な食品群です。

GI値が低いほど糖の吸収がゆるやかで、体内に糖が過剰に残るリスクが軽減されます。

代表的な低GI食品には玄米や豆類、きのこ類、海藻類などがあります。

白米やパンなどの精製された穀物は血糖値を急上昇させる要因となるため、できるだけ置き換えると良いでしょう。

ほかにも、食後に軽く身体を動かすと血糖をエネルギーとして消費し、体内に糖が残るのを予防できます。

低GI食品を上手に取り入れると、糖化の進行を防ぎ、AGEsの生成を抑制できます。

調理方法の工夫はAGEsの生成を左右するものとなる

AGEsの発生量に直結

AGEsは、食材中の糖とタンパク質が高温で反応して生じるメイラード反応によって生成されるため、加熱温度や時間がAGEsの発生量に直結します。

特に焦げ目がつくほど加熱する調理方法は、AGEsを増加させる原因です。

揚げるや焼く、炒めるといった高温調理は香ばしさが出る反面、糖化物質を多く生み出してしまいます。

手軽な電子レンジ加熱は、内部が高温になって焦げを発生させたり、過度な加熱時間がAGEsの増加の原因となったりする可能性があるため気をつける必要があります。

一方で茹でるや蒸す、煮るなどの調理方法は温度が低く、AGEsの生成を抑えられるため健康的です。

料理全体の味付けを工夫して塩分や油分を控え、素材の旨味を活かすと、AGEsの生成を抑えながら満足感のある食事が楽しめます。

調理方法の小さな工夫が、長期的な健康維持と老化予防につながります。

AGEsを減らすためには火加減と調理時間を見直す

AGEsを減らすためには、食材の加熱時間や火加減、調理方法の見直しをしましょう。

AGEsは長い加熱時間と高温によって生成される特徴があるため、できるだけ時間をかけずに低温で調理をするのが望ましいです。

さらに、同じ食材でも焼くよりも煮る調理方法の方がAGEsは少なく、茹でる調理方法はより少なくなる傾向にあります。

肉や魚を調理する際は、焦げ目を避け、じっくり低温で火を通すのが理想的です。

加えて、レモンや酢など食品や調味料の酸味を合わせると、糖化反応を抑える効果が期待できます。

和食中心の献立は、もともと煮物や蒸し物が多く、AGEsを抑えるのに適しています。

食材の扱い方ひとつで糖化の進行は変わるため、日常的に火加減や調理方法の意識が大切です。

AGEsを抑制する食品の選択が老化を防ぐ鍵となる

AGEsを抑制する食品の選択

AGEsの生成や蓄積を抑えるためには、食品の選択が重要であり、それは老化予防にもつながります。

AGEsは肌の弾力や血管の柔軟性を低下させ、老化を加速させます。

そのため、食品選びの段階で糖化を防ぐ効果が期待できる栄養素の意識が重要です。

抗酸化作用の高い成分を含む食品の積極的な摂取は、AGEsの生成を抑制し、細胞の酸化ストレスを軽減できます。

酸化と糖化は密接に関係しており、どちらも老化や疾患の原因となるため、抗酸化対策が糖化対策にもなります。

肌や体を若々しく保つためには、外側からのスキンケアだけでなく、内側からの抗糖化ケアが欠かせません。

抗酸化成分を含む食品が糖化と酸化の両方を抑える

抗酸化成分にはビタミンCやビタミンE、ポリフェノール、βカロテンなどがあります。

これらは活性酸素を除去し、細胞のダメージを軽減させる効果が期待できます。

緑黄色野菜やトマト、ベリー類、緑茶などを意識的に食事に取り入れると良いでしょう。

特に緑茶に含まれるカテキンや、トマトのリコピンは糖化の進行を防ぐ働きがあると言われています。

さらに、ローズマリーやオレガノなどのハーブには強い抗酸化作用があり、肉料理に加えるだけでもAGEs生成の抑制に有効です。

抗酸化食材を日常的に取り入れると、肌や血管の若々しさを守り、老化のスピードを緩やかにできます。

魚や豆類のたんぱく質は糖化を防ぐ理想的な栄養源である

魚や豆類などのタンパク質は、健康面に良い影響を与えるだけでなく、糖化を防ぐための栄養源です。

動物性たんぱく質の中でも、魚に含まれるDHAやEPAは血糖値の上昇を穏やかにする作用があります。

さらに、豆類は植物性たんぱく質に加え、イソフラボンやポリフェノールなどの抗糖化成分を含みます。

特に大豆やレンズ豆、ひよこ豆は糖質が少なくて満足感を得やすいため、主菜や副菜として活用ができる食材です。

肉中心の食事を魚や豆に置き換えるだけで、AGEsの生成を減らし、血糖値の安定にもつながります。

良質なタンパク質の意識的な摂取が、健康的な体作りと老化防止の両立に役立ちます。

AGEsを防ぐには血糖値の安定と調理方法、食品の選択の三本柱が必要である

上記で解説してきた通り、AGEsの生成や蓄積を防ぐには、下記の3つが重要です。

  1. 血糖値を安定させる食習慣
  2. 高温調理を避ける工夫
  3. 抗酸化や低GI食品の積極的な摂取

血糖値の上昇を緩やかにする低GI食品の選択や食べる順番を意識すると、血糖値のコントロールに効果的です。

食事の内容を少し見直すだけでも、体内の糖化を抑えて肌や血管、内臓の老化を遅らせる効果が期待できます。

さらに焦げを作らないように工夫した調理方法や、抗酸化成分を多く含む食品を取り入れると、糖化と酸化の両方を抑える効果が高まります。

食事の見直し以外にも、十分な睡眠や適度な運動も血糖コントロールを支える要素であり、総合的な取り組みも重要です。

しかし、基本となる食事の改善や少しの工夫が何よりも影響するといっても過言ではありません。

これらの食材の選び方と調理方法の工夫を意識は、糖化反応やAGEsの発生を抑えるとともに健康の維持や向上にも役立つでしょう。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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