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HbA1cが高い状態を放置すると起こる身体の変化!合併症を防ぐ方法を解説

身体に及ぼす影響と合併症予防

健康診断で血糖値の高さを指摘されたにも関わらず、忙しさやまだ大丈夫だろうという自己判断から、病院受診を先延ばしにしていませんか。

過去1〜2か月の平均血糖値を示すHbA1cが高い状態は、神経障害や網膜症、腎症といった糖尿病の三大合併症を引き起こす可能性があります。

そして、これらの検査結果を放置すると、視力低下や足のしびれといった症状が改善できない状態まで進行してしまう可能性があるのです。

本記事では、HbA1cが高い状態が身体に及ぼす影響と合併症を防ぐ予防策を紹介します。

この記事でわかること
  • HbA1cが高い状態は全身の血管や神経にダメージを与える
  • 血管や神経のダメージにより、腎症や網膜症、神経障害といった糖尿病三大合併症を引き起こす可能性がある
  • 高血糖が続くほど、全身の血管や神経に蓄積するダメージは増え、糖尿病の合併症を発症する可能性は高まる
  • 神経や血管の変形は再生や修復が困難で、元の状態に戻せなくなる
  • 症状が出現した時には血管や神経の損傷が進んでおり、合併症が始まっている場合が多いため、早期の病院受診が合併症を予防する上で欠かせない
  • 食後高血糖やインスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌不足、身体のインスリンへの反応性低下を改善する薬剤の使用によって、合併症リスクは回避できる

健康診断でHbA1c高値を指摘された人や、糖尿病予備軍で合併症への不安を抱える人は、本記事を読んで対策を練りましょう。

現在の状態を放置しない行動が不安な気持ちを解消し、将来のあなたの生活を大きく左右します。

目次

HbA1cが高いと全身の血管や神経がダメージを受けた状態になる

全身の血管や神経がダメージ

HbA1cが高いと、身体の中で血管や神経がじわじわ傷つき、ダメージを受けた状態になります。

HbA1cは過去1〜2か月の平均血糖値を示すため、HbA1cが高い状態は最近1〜2か月ずっと血糖値が高かったサインです。

参考までにHbA1cの基準値を以下に記載したため、自分の検査値と比べて確認してみてください。

正常値正常高値境界型糖尿病型
HbA1c~5.5~5.9~6.46.5~

ここでいう境界型は糖尿病予備軍を指し、糖尿病型とは糖尿病のことを指します。

血糖値は1回の検査である場合、その日の体調で結果が変わるものの、HbA1cは長い期間の平均血糖値が一目で分かります。

そして、何故血糖値が高い状態は全身の血管や神経にダメージを与えるのか、そのメカニズムを以下にまとめました。

理由メカニズム
余った糖が血管を内側から傷つける1.血糖が高いと、血液の中にある余分な糖が血管の壁にベタベタ付着する
2.血管が炎症を起こす
3.動脈硬化が進む
4.血流が悪くなる
神経が酸欠や炎症を起こす1.血液がドロドロの場合、末端の細い神経に血液が届かなくなる
2.その結果神経が、酸素不足やエネルギー不足になる
3.慢性的な炎症を起こす
終末糖化産物という物質が身体のサビをつくる1.余った糖はタンパク質と結びつき、終末糖化産物という老化物質を作る
2.終末糖化産物は血管を硬くしたり、神経の働きを弱らせたりする

このように高血糖は血管を傷つけたり、神経を弱らせたり、老化物質を作り続けて全身にダメージを与えます。

参考:ヘモグロビンA1c / HbA1c | e-ヘルスネット(厚生労働省)

合併症 | 糖尿病情報センター

Diabetic neuropathy and oxidative stress – Pop‐Busui – 2006 – Diabetes/Metabolism Research and Reviews – Wiley Online Library

Obesity and cardiovascular disease: revisiting an old relationship – Metabolism – Clinical and Experimental

Role of advanced glycation end products (AGEs) and receptor for AGEs (RAGE) in vascular damage in diabetes – ScienceDirect

HbA1cが高い状態を放置すると糖尿病三大合併症を引き起こす可能性がある

糖尿病三大合併症の可能性

HbA1cが高い状態を放置すると、先述したメカニズムにより、糖尿病三大合併症を引き起こす可能性が高まります。

合併症が起こる流れと、具体的な症状を以下にまとめたため、現在気になる症状がある人は必ず確認しましょう。

合併症発症する流れ具体的な症状
神経障害高血糖で血管や神経が傷つくと、手足の末端神経に影響が出るしびれやジンジンする痛み、感覚の鈍さなどがある
網膜症目の網膜は非常に細かい血管で出来ており、高血糖により血管が傷つくと、出血やむくみにより視力低下などの症状が出る初期は自覚症状がほとんどないが、進行すると目のかすみやぼやけ、視力低下が見られる
腎症高血糖が続くと腎臓の小さな血管が傷つき、ろ過機能が低下する初期は自覚症状がほとんどないが、進行するとむくみや尿量の変化が見られる

腎症は人工透析が必要になったり、網膜症は失明したりと、いずれも放置すると重大な身体状況を招くと理解してください。

放置期間が長くなるほど合併症リスクが高まり元の状態に戻せなくなる

気を付ける必要があるのは、HbA1cの値を放置して高血糖が続くと、合併症を招くどころか進行して元に戻らない場合が多い点です。

当然ながら高血糖が続くほど、全身の血管や神経に蓄積するダメージは増え、糖尿病の合併症を発症する可能性は高まります。

そして、神経は壊れると再生が困難であり、血管の変形や傷んだ血管も自然に修復できません。

さらにこれらの合併症は、以下の流れで他の重大なリスクも招き、命や生活に影響を与えます。

合併症が招くリスク発症の流れ
足が腐って切断が必要になる1.足や手の感覚が鈍くなり、小さな怪我に気づかず、傷が感染する
2.血糖値が高い状態が続くと、身体の免疫が弱くなり、怪我をした箇所の組織が腐る
転倒や事故が増える1.視力低下や失明により、転倒や事故を招く
高血圧や心不全1.腎臓は血液中の塩分や水分の量を調整して血圧をコントロールしているが、腎臓のろ過機能が低下すると、血液中に老廃物や水分が溜まる
2.高血糖が血管の内側を傷つけ動脈硬化を進行させ、心臓の負担が増える
3.更に人工透析になると、心臓や血管への負担が増えて、心不全を招く

これらを予防するためには、早めの血糖コントロールと定期検査が欠かせないと理解しておきましょう。

参考:糖尿病 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

糖尿病による心不全の病態と治療

自覚症状がない段階で病院受診できるかが合併症予防の鍵となる

病院受診が合併症予防の鍵

糖尿病は症状がない時期からすでに血管や神経のダメージが進んでおり、HbA1c高値を指摘された段階で病院受診できるかが、合併症予防の重要な鍵です。

HbA1cが高くても、何故糖尿病の早期から中期では症状が出ないのか、その理由は以下にあります。

  • 血糖値が高いだけでは痛みやしびれは出ないため
  • 網膜や腎臓のダメージも、かなり進むまで自覚症状が現れないため
  • 神経障害も最初は静かに進む特徴があるため

つまり、症状が出現した時には血管や神経の損傷が進んでおり、合併症が始まっている場合が多いということです。

そのため、症状がない時期の適切な病院受診が、合併症を予防する上で欠かせない行動となります。

もし、以下のような合併症の初期症状がすでに見られている人は、速やかに病院を受診しましょう。

合併症初期症状
神経障害・手足のピリピリ感
・足先が冷える
・正座していないのに、しびれたような感じがする
・触れた感覚が鈍い
・夜間の脚の違和感
網膜症・視界がかすむ
・夜に目が見えない
・目の中に黒い点がちらつく
腎症・むくみ
・だるさ
・尿の泡立ち
・血圧が上がった

参考:Diabetic peripheral neuropathy: pathogenetic mechanisms and treatment – PMC

HbA1cを下げる治療の開始によって合併症のリスクは回避できる

HbA1cを下げる治療の開始

HbA1cの数値は、治療によって血糖を上げる原因を取り除くと自然に下がり、合併症発症のリスクも回避できます。

血糖値を上げる原因は、食後高血糖やインスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌不足、身体のインスリンへの反応性低下などです。

これらの原因を以下のような薬剤を使って改善すると、HbA1cが時間と共に下がります。

処方される薬剤働きお薬の例
ビグアナイド薬糖を大量に作り出す肝臓を落ち着かせるメトグルコ
チアゾリジン薬身体のインスリンへの反応性を改善して、糖を細胞に取り込む働きを助けるアクトス
SU薬インスリンは膵臓から分泌されるため、膵臓へ働きかけて強制的にインスリンを出させるアマリール
SGLT2阻害薬余った糖を尿と一緒に出すフォシーガ
グリニド薬食後すぐにインスリンを出させて、食後血糖の上昇を抑えるシュアポスト
α-グルコシダーゼ阻害薬食べ物の中のデンプンや糖質を分解する酵素をブロックして、糖の吸収を緩やかにするアカルボース
DPP-4阻害薬食後のインスリン分泌を助けるネシーナ
GLP-1薬食欲を抑えて、血糖の上がり方を緩やかにするリベルサス
ミトコンドリア機能改善薬エネルギーを作り出すミトコンドリアという、細胞の中にある小さな器官を元気にして、糖を使う力とインスリンを出す力を同時に改善するツイミーグ

特に糖尿病合併症の中で、網膜症や腎症は早期治療の有無で進行速度が変わります。

さらに、高血糖が続くと血管や神経に時間依存的なダメージが起こるため、早い段階でHbA1cを改善すると損傷スピードが低下するのも大切なポイントです。

他にもHbA1cの目標値は年齢や低血糖のリスク、合併症や生活状況などから、安全に続けられる値を個々人に合せて設定します。

この目標値は専門医が総合的に判断して決めるため、定期的に病院受診して、医師と相談しながらコントロールするのが重要です。

参考:医療用医薬品 : メトホルミン塩酸塩 (メトホルミン塩酸塩錠250mg「SN」)

糖尿病標準診療マニュアル2025

DIニュース2025年1月2号 経口血糖降下薬一覧

日本内科学会雑誌第110巻第3号 – J-STAGE

血糖値を下げる飲み薬 | 糖尿病情報センター

HbA1cが高い状態から脱却し健康な未来を選択しましょう

糖尿病初期から中期は自覚症状が見られず、HbA1cが高いと知りながらも、病院受診しない人も多いです。

しかし、HbA1cが高い状態を放置すると、目や腎臓、神経といった大切な臓器に少しずつ負担が積み重なります。

その結果、気づかないうちに糖尿病合併症を発症して、失明や神経障害などの取り戻せないダメージにつながる可能性があります。

そのため、今の段階で血糖管理に向けて小さな一歩を踏み出し、合併症の進行や発症を確実に食い止めるのが大切です。

病院受診という今日の行動が、数年後のあなたの身体と暮らしをより明るく変えていきます。

適切な治療の開始によって、HbA1cが高い状態から脱却し、健康な未来を自分の手で選び取りましょう。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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