健康診断で血糖値異常の数値を指摘された場合、何科を受診するのがよいか、迷う人は少なくありません。
診療科の選択を誤ると、適切な医療を受けられずに複数の医療機関を受診する結果となり、時間やお金を無駄に費やします。
初期段階では自覚症状も少ないため、受診の必要性が理解できずに未受診のまま放置している人もいるでしょう。
糖尿病は早期から適切な治療が必要ですが、どのような医師や診療科を選ぶとよいのでしょうか。
この記事では、血糖値異常を指摘された際に受診すべき、適切な診療科について解説します。
- 血糖値異常で受診する適切な診療科
- 受診対象となる血糖値の指標
- 糖尿病の診断に必要な検査内容
- スムーズに受診するためのポイント
迷わず適切な診療科を受診できるよう、診療科の詳細や具体的な検査内容も紹介しているため、参考にしてください。
血糖値異常で受診する診療科は一般内科または糖尿病内科が適切

健康診断で血糖値異常を指摘された場合、一般内科や糖尿病内科の受診が回復への近道です。
糖尿病は慢性疾患で長期的な治療や生活習慣の改善が欠かせないため、専門的な診療と一人ひとりに合ったアドバイスが受けられる医療機関を選ぶ必要があります。
この章では、自身のかかりつけ医をみつけるために、診療科の特徴を3つ解説します。
- 一般内科または糖尿病内科を受診する
- 糖尿病専門医とはどんな医師なのか
- 糖尿病内科はどんな科なのか
それぞれの診療科の特徴を理解して、受診先の選択に役立ててください。
一般内科または糖尿病内科の専門的治療が回復への最短ルートである
血糖値異常の多くが生活習慣病や内分泌系の病気と関連しているため、病状回復には全身状態の評価と継続的な管理が求められます。
一般内科は、血糖値を含めた全身状態を総合的に診察する科です。
体全体の不調を幅広く診断できるうえ、必要に応じて適切な専門医を紹介できる体制が整っています。
糖尿病内科は、糖尿病の専門的知識を持つ、糖尿病専門医が診察する科です。
糖尿病の病態を熟知しており、血糖値の変動やインスリンの分泌状態を詳しく分析できます。
一人ひとりに適した治療法を提案し、合併症予防や治療にも力を入れています。
一般内科と糖尿病内科は総合病院やクリニックに標榜されているため、それぞれ特性を理解したうえで、自身に合った診療科を選ぶとよいです。
糖尿病専門医は糖尿病の知識と技術を習得したスペシャリストである

患者の生活の質向上と合併症予防を目的に、きめ細かな治療を提供します。
全国には約5700人の糖尿病専門医が在籍しており、約4100ヶ所の医療機関で診察を行っています。(2025年1月8日現在 日本糖尿病学会)
糖尿病は慢性疾患で長期的な治療が必要なため、専門医は精神的にも寄り添い、治療の継続をサポートする心強い味方になります。
専門医より適切なアドバイスを受け、無理のない治療法を選択すると、治療の継続率も上がります。
糖尿病内科は一人ひとりに寄り添うサポート体制が充実している
糖尿病内科では糖尿病専門医が在籍し、糖尿病の3大治療である薬物と食事、運動を組み合わせた治療法を提供します。
医師に加え、糖尿病療養指導士の資格を持つスタッフや管理栄養士などが連携して生活習慣改善をサポートする体制は、糖尿病内科の特徴です。
食生活や生活習慣を丁寧に聞き取り、糖尿病の進行を防ぐための原因分析や改善策を患者と一緒に考えます。
糖尿病の3大合併症である神経障害や網膜症、腎症や動脈硬化の予防と管理を得意としているため、必要に応じて詳しい検査を行った後に専門の科への紹介が可能です。
糖尿病の治療は長期間に渡るため、信頼できる医師や医療スタッフに出会い、二人三脚で継続管理ができる環境は自身の将来を明るくします。
健康診断の結果や自覚症状を振り返り自身の体の変化に向き合う

健康診断で血糖値異常と指摘された場合、自身の数値がどれほど悪いのかが気になる人は多いです。
異常な数値と聞くと、ショックを受けて将来への不安を抱く人もいるでしょう。
最初に、血糖値が高くなる生活習慣はないか、気になる症状は出ていないかを振り返ります。
さらに、信頼できる医師をみつけて早めに受診し、薬や食事の治療を開始すると病状悪化を防げます。
医療機関を受診する前に、手元にある検査結果や自覚症状を整理すると診察がスムーズです。
受診対象になる血糖値の指標と結果を照合し受診の重要性を確認する
糖尿病の診断には、血糖値に加えて、ヘモグロビンA1cが重要な指標となります。
ヘモグロビンA1cとは、過去1〜2か月の平均血糖値を表す指標のことです。
| 段階 | ヘモグロビンA1c |
|---|---|
| 正常値 | 5.6%未満 |
| 正常高値 | 5.6~5.9% |
| 境界型 | 6.0~6.4% |
| 糖尿病型 | 6.5%以上 |
境界型にあてはまる人はすぐに治療が必要とは限りませんが、放置すると糖尿病へ進行する可能性が高いため、早めの受診を心がけましょう。
糖尿病型にあてはまる人は、速やかに受診して再検査を行い、正確な診断を受けて今後の治療について医師と相談します。
血縁関係に糖尿病患者がいる人や、すでに高血圧や脂質異常症と診断されている人も、受診対象です。
高血糖になると他の臓器にも影響を及ぼす可能性がある
高血糖は糖尿病予備軍や糖尿病、動脈硬化のリスクを高め、重篤な合併症につながる可能性があります。
血糖値が上昇する要因は、以下のとおりです。
- 糖質の過剰摂取
- 運動不足
- 肥満
- ストレス
加齢や生活習慣の乱れが、インスリンの分泌や作用を低下させる原因です。
さらに、血縁関係に糖尿病患者がいる場合も、遺伝的要素から発症する割合が高くなります。
適切な医療機関を受診し、医療スタッフとともに血糖値が上昇している要因を探りましょう。
糖尿病は全身に合併症を引き起こす可能性がある病気である
血糖値が高い状態が続くと、以下の合併症を引き起こす可能性があります。
- 神経障害
- 網膜症
- 腎症
長い間、適切な治療や管理を怠り放置していると、失明や人工透析が必要になる場合があります。
ヘモグロビンA1cを7%未満にコントロールすると、合併症のリスクが抑えられるため、血糖管理は重要です。
合併症を発症すると元の状態への回復は難しく、今の状態を維持するか進行させないか、2つの選択肢になります。
血糖コントロールは難しそうにみえますが、今までの生活を振り返り、改善策を受け入れるとスムーズに治療ができます。
血糖値が高くなるとどのような症状が現れるかを理解する
高血糖であっても、初期には自覚症状が乏しく日常生活に支障が出ないため、放置してしまうケースが多いです。
健康診断は、病気を早期発見する良い機会で、病気のサインを逃さないために結果を提示します。
症状が出ていなくても、血糖値異常を指摘されたときは、結果を軽視せずに受診を検討しましょう。
以下の自覚症状がある場合は、病状が進行している可能性があります。
- のどが渇く
- 尿の回数増加
- 多量の水分摂取
- 全身のだるさや疲労感
- 体重減少
初期段階では外来通院で治療できますが、悪化すると入院が必要です。
糖尿病の診断に必要な血液検査やその他の検査を詳しく解説

糖尿病の診断には、主に血液検査と尿検査を実施しますが、症状の進行状態を知るためには専門的な検査が必要です。
採血は食後でも可能ですが、空腹時の方がより正確な評価ができます。
糖分を含んだコーヒーや栄養ドリンクなどを飲んだ場合も食後扱いとなるため、検査時に自己申告しましょう。
前日は、アルコール摂取や激しい運動を避けて、落ち着いた状態で受診に向かいます。
検査結果が出ると診察となり、具体的な説明を受ける流れになります。
血液検査でわかる基礎知識と代表的な検査項目を紹介
血糖値が高いと、全身に影響を及ぼす可能性も考慮して他の項目も同時に確認します。
体の中で異常が起きると、血液中の成分が変動して異常値として現れるため、血液検査の結果で臓器のダメージも確認できます。
血液検査の内容は、以下のとおりです。
- 空腹時血糖値、随時血糖値
- ヘモグロビンA1c
- インスリン、Cペプチド
- 肝機能、腎機能、脂質、貧血
血糖値だけでなく、どのくらいインスリンが分泌されているのか、機能低下がないのかも血液検査でわかります。
肝機能や腎機能の値にも異常を認めた場合は、薬の選定や食事指導が必要です。
検査結果をもとに、医師から今後の治療方針について説明を受けます。
尿検査で血糖値の状態や腎臓の異常がわかる
糖尿病と診断して合併症の有無を確認するうえで、尿検査は優先順位の高い検査です。
高血糖が続くと尿にタンパク質が漏れ出すため、尿検査で全身状態や腎機能の悪化を察知できます。
自覚症状がなくても検査結果に異常を認める場合があるため、病気のサインを見逃さないように検査を行いましょう。
尿検査の内容は、以下のとおりです。
- 尿糖
- 尿蛋白
- 尿ケトン体
約25mlの採尿で十分な検査が可能なため、比較的簡単に実施できます。
血糖値の影響だけでなく、腎臓の働きが悪化している場合や脱水、疲労なども反映します。
尿検査は血液検査と同様、早期発見するための重要な検査です。
75g経口ブドウ糖負荷試験は診断を確定するための詳しい検査
境界型や糖尿病の診断が確定しない場合に、必要だと判断されれば75g経口ブドウ糖負荷試験が実施されます。
検査の流れは、以下のとおりです。
- 10時間以上絶食の状態で、採血して空腹時血糖を測定します。
- 75gブドウ糖液という、甘い炭酸飲料のようなものを飲みます。
- 飲み終えた時点と30分後、60分後、120分後の計4回採血して血糖値やインスリンが適切に分泌されているかを確認します。
- 検査中は水以外の飲水は不可で喫煙や運動も禁止です。
- 検査中は安静にして待ちます。
時間を要する検査のため、予約して後日実施します。
この検査は、将来の糖尿病リスクが把握できる検査のひとつです。
合併症の有無を確認するためにさらに詳しい検査を行う
血糖値が明らかに高い状況では、他の臓器に影響を及ぼしていないかを確認するため、以下のようなさまざまな検査を行います。
- 心電図検査
- 頸動脈エコー
- 腹部エコー
- 眼底検査
- 神経触覚検査
- 振動覚検査
- アキレス腱反射検査
- 神経伝導速度検査
数日に分けて検査を行い、より詳しく全身状態を確認します。
医療機関によっては、すべての検査を自院で実施できないため、委託している病院へ検査のみを紹介する場合もあります。
短期間、総合病院に検査入院をして、全身状態を確認するプログラムを取り入れている医療機関も少なくありません。
無理なく通院継続できる環境選びが今後の未来を変える

血糖値の改善には長期的な取り組みが不可欠なため、病院へのアクセスの良さは治療継続の重要な要素のひとつです。
勤務先や自宅から近い医療機関、土日診療に対応しているクリニックなどを選ぶと、ライフスタイルにも合って気軽に通えます。
糖尿病治療薬はさまざまな種類があり、一人ひとりに合った選択が可能です。
生活習慣改善の難しさや治療継続の不安など、少しでも気になるときは医療スタッフに相談しましょう。
信頼できる医療スタッフをみつけて生活習慣改善や治療法を一緒に考えていく
血糖値異常と聞くと、すぐにインスリン注射や内服治療が開始すると想像されがちですが、必ずしもそうとは限りません。
特に、初期段階では次のような生活習慣の見直しを重視します。
- 食生活の改善
- 適切な運動習慣の定着
- 体重管理
- 十分な睡眠とストレス解消
医療スタッフが、生活背景を把握して実現可能な改善法をアドバイスします。
したがって、自身の生活を正確に伝え、振り返る作業が重要です。
生活習慣を改善して習慣化するまで時間がかかりますが、専門の医療スタッフに相談しつつサポートを受けると難しくありません。
初めて受診する医療機関でスムーズに受診できるポイントを詳しく解説
自覚症状がなくても、再検査や精密検査の通知を軽視してはいけません。
診察の際には健康診断の結果票を持参すると、医師が過去のデータと比較しながら現状を把握できるほか、不要な検査も省けるため効率的です。
患者の正確な情報が、スムーズな診察につながります。
初回診察は血液検査や尿検査を行うだけでなく、食事や運動など生活習慣を聞き取る診察前問診に時間を要する場合があります。
医師から検査結果や今後の治療方針について説明を受けるため、時間に余裕をもって受診するとよいでしょう。
スムーズな受診のために持参するとよいものを紹介
医療機関を受診する際、マイナ保険証や資格確認書の提示は知られています。
その他、健康診断の再検査で受診する場合は、以下のものを持参するとスムーズに診察が受けられます。
- 健康診断の結果票
- 過去の健康診断のデータ
- お薬手帳
- 食事や運動の記録
食事や運動の記録はスマートフォンのデータも可能で、歩数や食事記録アプリの画面を参考に提示します。
食事はカロリー計算が不可能であっても、写真を残しておくと改善策を見出すために有用です。
ありのままの生活を伝えて、前向きな治療や生活習慣の改善に役立てましょう。
家族と一緒に受診して治療への理解や協力体制を構築する
管理栄養士が在籍する医療機関では、調理方法や外食時のメニュー選び、血糖コントロールに役立つレシピなどを具体的に学べます。
普段調理を担当しない人は、調理する家族と一緒に来院すると、実践につながる話が聞けて実用的です。
食事制限では、禁止ではなく量と内容の調整が基本となり、血糖値を良好に導きます。
自身では気づいていなかった生活習慣も、家族の視点でみると意外な面に気づけるチャンスです。
自身の検査結果や治療法について、家族の理解と協力が得られると、今後の治療継続の心強い味方になります。
適切な診療科を選択し信頼できる医療スタッフをみつけよう
健康診断で血糖値異常を指摘された場合、一般内科や糖尿病内科を受診し、適切な検査や治療を受ける方法が将来の健康管理につながります。
医療機関の特徴を理解し、正しい扉を叩く勇気が、数年後のあなたの健康を支える礎となります。
糖尿病は慢性疾患で、食事や運動だけでなく、ストレスなどの生活習慣が大きく影響します。
今の生活を見直して習慣化するまでに時間を要しますが、合併症を引き起こさないためには生活習慣の改善が重要です。
目標とする値を維持できるように医療スタッフと相談して、自身に合った改善策をみつけます。
一人で抱え込まず、信頼できる医療スタッフや家族と協力して、確かな一歩を踏み出しましょう。

