このようなお悩みは
ありませんか?
- 食後や横になったときに胸焼けを感じる
- げっぷが多いと感じる
- 胃酸の逆流がある
- 胸の痛みや胸の違和感がある
- のどの違和感がある
- 咳や声のかすれがある
上記のようなお悩みがある方は、食道裂孔ヘルニアの可能性があります。食道裂孔ヘルニアを放置してしまうと、逆流性食道炎や食道潰瘍に進展することもあります。些細な症状でも気になることがある方は、お気軽に当院までご相談ください。
食道裂孔ヘルニアとは
食道裂孔ヘルニアは、胃と食道を隔てる横隔膜の構造に変化が起き、本来なら腹部にあるはずの胃の一部が胸部へ入り込んでしまう状態のことをいいます。ヒトの身体には、”食道裂孔”と呼ばれる、食道が通るための横隔膜の小さな隙間があります。健康な状態では、食道裂孔がピタッと締まっていて、胃の位置はしっかり固定されています。
しかし年齢を重ねると、食道裂孔の締まりが少しずつゆるんできます。また、年齢だけではなく、肥満、妊娠、便秘や慢性的な咳など、日常の中で腹圧が高くなるような状況が重なると、胃が押し上げられ、食道裂孔を通って胸の中に移動してしまうこともあります。
食道裂孔ヘルニアは、胃が正しい場所からずれることで、胃酸の逆流が起こりやすくなり、食道に炎症を引き起こします。食道に胃酸が逆流することで、胸焼けやのどの違和感といった症状が現れることが知られています。
食道裂孔ヘルニアの主な原因
食道裂孔ヘルニアの発症には、さまざまな要因が関わっていますが、その中でも最も大きなものは“腹圧の上昇”と言われています。腹圧とは、腹部内の圧力のことで、咳をしたり、重いものを持ったり、排便時にいきんだりすると一時的に腹圧が高まります。
そのため、慢性的な便秘でいつも強くいきんでいる人や、持続的な咳がある人(慢性気管支炎や喘息など)は、日常的に腹圧が高い状態が続いています。また、肥満の方や妊娠中の方は、内臓脂肪や子宮の拡大によって胃が上に押し上げられるため、裂孔部から胃が逸脱しやすくなると言われています。
さらに、加齢も食道裂孔ヘルニアの原因と言われています。年齢を重ねるとともに横隔膜の筋肉や靭帯が弱くなり、本来しっかりと締まっているはずの食道裂孔が緩んでしまいます。加齢とともに、姿勢の悪さや猫背なども影響するため、日常生活の積み重ねが知らず知らずのうちに食道裂孔ヘルニアを招く原因となっているとも考えられています。
他にも、生まれつき横隔膜の穴が緩く、食道裂孔ヘルニアをおこしやすい方もおられます。
食道裂孔ヘルニアのメカニズム
食道裂孔ヘルニアでは、横隔膜を通る食道裂孔が広がることにより、腹部にあるべき胃の一部が胸部に入り込んでしまいます。特に、胃の上部にある「噴門」と呼ばれる部分が食道と胃の境界であり、噴門が緩むことで胃酸が逆流しやすくなると言われています。
通常、食後に胃に溜まった内容物は、重力と食道括約筋の作用によって食道への逆流を防いでいます。しかし、食道裂孔ヘルニアを発症すると胃酸や消化中の食べ物が簡単に食道側へ戻ってしまいます。特に、寝ているときや横になったときは重力の助けがないため、逆流が起きやすく、胸やけや喉の違和感といった不快な症状が現れやすくなります。
胃酸の逆流が繰り返されると、食道粘膜が胃酸でただれ、炎症や潰瘍、場合によっては出血などを引き起こすこともあります。また、炎症が慢性化すると食道が狭くなったり、食道がんのリスクが高まるバレット食道という状態になることもあります。
バレット食道
バレット食道は、胃酸の逆流によって食道下部の粘膜が変化し、食道がんのリスクが高まる状態をいいます。また、食道裂孔ヘルニアは胃の一部が横隔膜の隙間から胸腔内に脱出する病気であり、逆流性食道炎を引き起こしやすく、バレット食道の原因にもなります。そのため、食道裂孔ヘルニアを放置してしまうとバレット食道を発症してしまう可能性が高くなることが知られています。
食道裂孔ヘルニアの種類
食道裂孔ヘルニアは3つの種類に分けられます。
①滑脱型
食道および胃の接合部、胃の一部が横隔膜の上に突出してしまうタイプのことをいいます。胃の噴門部(食道と胃のつなぎ目)が、横隔膜の食道裂孔を通って胸腔内に入り込む状態であり、胃の逆流防止機能が弱まるため、逆流性食道炎の症状(胸やけ、酸の逆流など)が出やすくなります。
②傍食道型
胃の一部が横隔膜の上に突出して、食道と並ぶ形になるタイプのことをいいます。胃の一部(胃底部など)が、食道の横を通って横隔膜上へ飛び出す形であり、噴門部は本来の位置に残っているのが特徴です。傍食道型では、胃がねじれたり、血流障害が起こったりするリスクがあり、無症状であっても手術が勧められることもあります。
③混合型
食道と胃の接合部が横隔膜の上に突出し、胃の一部が食道と並ぶ形になるタイプとなります。滑脱型と傍食道型の両方の特徴を併せ持つ型であり、噴門部も一緒に上がっており、なおかつ胃の他の部分も食道の横から胸腔へと飛び出している状態をいいます。混合型も傍食道型と同様に、胃のねじれや血流障害のリスクが高いため、手術が検討されることが多くなります。
食道裂孔ヘルニアで最も多いのは滑脱型と言われており、特に高齢者に多い傾向があります。
出典元:おなかの健康ドットコム
https://www.onaka-kenko.com/various-illnesses/esophagus/esophagus_07.html
食道裂孔ヘルニアの症状
食道裂孔ヘルニアは、症状が分かりにくく、単なる食道や胃の不調として見過ごされることも少なくありません。最も多くみられるのが、胸焼けや酸っぱい液が喉に上がってくる胃酸の逆流と言われていますがその他にも多数の症状がみられることがあります。
食道裂孔ヘルニアの
症状の例
- 胃酸の逆流を感じる
- 食後すぐに胸が重苦しい
- のどに異物感がある
- 声がかすれる
- 慢性的な咳が続く
- 横になると咳や吐き気が強くなる
- 夜中に胸の痛みや不快感で目が覚める
食道裂孔ヘルニアを放置してしまうと逆流性食道炎や食道がんのリスクも高まります。
そのため、些細な症状でも気になることがあればお早めにご相談ください。
食道裂孔ヘルニアの診断方法
食道裂孔ヘルニアの診断には、胃内視鏡検査(胃カメラ)が必要となります。胃カメラ検査では、食道と胃のつなぎ目の位置がずれていないか、食道に炎症や潰瘍がないかを直接観察することができます。
胃カメラ検査
胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)は、細いカメラ付きの管を口または鼻から挿入し、食道・胃・十二指腸の内側を直接観察する検査です。食道裂孔ヘルニアの場合には、胃カメラ検査にて、胃の一部が胸部に入り込んでいないか、胃酸の逆流による食道の炎症がないかを詳しく確認します。胃カメラ検査は数分で終了し、局所麻酔や鎮静剤を用いることで苦痛も軽減することは可能です。
食道裂孔ヘルニアの治療方法
食道裂孔ヘルニアの治療は、その程度と症状に応じて異なります。
保存的治療
保存的治療では、胃酸の分泌を抑える薬(PPIやH2ブロッカー)を服用し、食道の炎症を抑えながら症状の改善を図ります。さらに、食事の回数を増やして一度に食べる量を減らす、脂っこい食べ物やアルコール、チョコレート、カフェインなどを控える、食後すぐに横にならない、就寝時に頭を高くして寝るなど、生活習慣の指導も重要となります。食道裂孔ヘルニアの根本的な治療にはなりませんが、症状を悪化させない治療方法となります。
外科的治療
保存的治療では症状が改善しない場合や、ヘルニアの程度が大きく逆流が重度な場合には、まれに外科手術を行う場合がございます。外科的治療では、胃を元の位置に戻し、食道裂孔を縫い縮める処置が行われます。
食道裂孔ヘルニアで
お悩みの方へ
食後の胸焼けや喉の違和感、原因不明の咳などがある方は、食道裂孔ヘルニアが関係しているかもしれません。食道裂孔ヘルニアを放置すると日常生活の質が低下し、長期的には食道がんなどのリスクを高めてしまいます。「胸やけはすぐに治るから」「市販薬でよくなっているから大丈夫」と放置してしまうと、食道裂孔ヘルニアが悪化してしまう可能性もあります。特に、40代以降の方、肥満傾向のある方、慢性的な胃の不快感に悩まされている方は、一度専門の消化器内科クリニックで相談してみてください。食道裂孔ヘルニアに関してご不明な点や些細な症状がありましたらお気軽に四谷内科・内視鏡クリニックまでご相談ください。