キウイは栄養価の高い果実であり、毎日の食事に取り入れるとさまざまな健康効果を得られます。
なかでも豊富に含まれる食物繊維は、血糖値の上昇を緩やかにする効果があり、高血糖や糖尿病の予防としても有用な食材です。
この記事では、キウイの血糖値に対する効果や取り入れる際の食べ方などをまとめました。
- 緑肉種と黄肉種の2種類があり、緑肉種は食物繊維、黄肉種はビタミンCが多い
- 食物繊維は体内で糖質の消化吸収を遅らせる効果がある
- ビタミンCやカリウムなど、豊富な栄養素で健康効果を得られる
- キウイの皮はよく洗った場合、そのまま食べられる
- たんぱく質や脂質と一緒に食べるとキウイに足りない栄養素を補える
- 食べ過ぎると糖質やカリウムの過剰摂取で身体に悪影響を及ぼす
血糖値の上昇対策として、食事から改善しようと思っている人は、参考にしてください。
キウイは品種によって味や栄養素の含有量が異なる

キウイで一般的に販売されている品種は、緑肉種と黄肉種の2種類に分けられます。
緑肉種は昔から生産されてきたグリーンキウイと呼ばれる品種であり、食物繊維の含有量が多いキウイです。
一方、黄肉種は近年の品種改良によって増えた品種であり、ゴールドキウイやイエローキウイと呼ばれています。
緑肉種と黄肉種の栄養素は、以下のとおりです。
| キウイフルーツ100gあたり | 緑肉種 | 黄肉種 |
|---|---|---|
| 食物繊維 | 2.6g | 1.4g |
| 糖質 | 10.8g | 13.5g |
| ビタミンC | 71mg | 140mg |
| ビタミンE | 1.3mg | 2.5mg |
| カリウム | 300mg | 300mg |
| カルシウム | 26mg | 17mg |
| マグネシウム | 14mg | 12mg |
| 鉄 | 0.3mg | 0.2mg |
| 銅 | 0.1mg | 0.07mg |
| 葉酸 | 37μg | 32μg |
| ビタミンB6 | 0.11mg | 0.14mg |
| ビタミンK | 6μg | 6μg |
※参考:食品成分データベース
食物繊維で見ると、緑肉種のほうが黄肉種よりも1.2g多く含まれています。
カルシウムなどのミネラル成分も緑肉種のほうが多いため、食物繊維やミネラルの摂取量を増やしたい場合は、緑肉種を選びましょう。
一方、黄肉種はビタミンCとビタミンEなどのビタミン群が緑肉種よりも多く含まれています。
食物繊維も一定量は含んでいるため、食物繊維と同時にビタミン群を摂取したい場合は黄肉種が向いています。
キウイに多く含まれる食物繊維が糖分の消化吸収を遅らせる
キウイ全般で多く含まれる食物繊維には、以下の流れで糖分の消化吸収を遅らせる効果があります。
- 食物繊維のうち、水溶性食物繊維は体内で消化されず、水分を吸収して粘着質な物質に変化する
- 粘着質な物質は胃や腸に張り付いて、排泄されるまでしばらく残る
- 後から摂取した糖分等の栄養素に粘着質な物質が張り付く、もしくは引っかかって、消化吸収が遅れる
- 消化吸収が遅れると、血糖値の上昇が緩やかになる
高血糖は血糖値の急上昇が慢性的に続くと発症しますが、上記の食物繊維の効果によって、血糖値を抑える対策ができます。
キウイは血糖値を上げる糖質も含んでいますが、食物繊維も多いため、血糖値の上昇抑制ができる食材です。
キウイのビタミンやミネラル成分がさまざまな健康効果を発揮する

キウイ全般に含まれる主な栄養素の健康効果は、以下のとおりです。
| 栄養素 | 健康効果 |
|---|---|
| 食物繊維 | 血糖値の上昇抑制 コレステロール値の低下 高血圧予防 腸内環境の改善 |
| ビタミンC | コラーゲンの生成 毛細血管や歯、軟骨などを正常に保つ 日焼け防止 ストレスやかぜなどの病気に対する抵抗力 |
| ビタミンE | 抗酸化作用 |
| カリウム | 細胞の浸透圧を維持 心臓機能や筋肉機能の調節 神経刺激の伝達 細胞内の酵素反応の調節 血圧低下 |
| 葉酸 | 赤血球の生産補助 代謝の補助 胎児の成熟に必要な栄養成分 動脈硬化の防止 |
食物繊維は血糖値の上昇抑制以外にも、善玉菌の餌になり、整腸作用もある点から腸内環境の改善効果が期待できます。
ビタミンCやビタミンEは美容効果が多いため、含有量の多い黄肉種はエイジングケアをしたい人により向いているでしょう。
カリウムは2種類の品種とも多く、心臓や筋肉、神経などに作用します。
葉酸は代謝や成長を補助する役割があり、特に妊娠中の人が積極的に摂取したい栄養素です。
血糖値の上昇対策として選ぶ場合は毎日食べられる品種を選ぶ
血糖値の上昇対策としてキウイを取り入れる場合、基本的には毎日継続して食べていきます。
食物繊維の含有量は緑肉種のほうが多いですが、緑肉種は酸味があるため、人によっては量を食べられない可能性があります。
一方、黄肉種は緑肉種よりも甘みが強く、パイナップルなどのトロピカルフルーツに近い味わいと食感です。
黄肉種の食物繊維も少ないわけではないため、酸味が苦手な人は黄肉種を選んでも良いでしょう。
酸味が気にならず、ビタミンの摂取量もほかの食材で補える場合は、緑肉種で多くの食物繊維を摂取できます。
キウイは食事の最初のほうに食べると血糖値の上昇対策として効果的である

血糖値の上昇を緩やかにする食物繊維の効果は、糖質を摂取する前に食物繊維が体内にある状態でないと発揮されません。
そのため、血糖値の上昇対策にキウイを取り入れる場合は、食事の最初に食べたほうが良いでしょう。
食事における具体的な栄養素を摂取する順番は、以下のとおりです。
- 食物繊維が多い食材
- たんぱく質が多い食材
- 糖質が多い食材
たんぱく質は消化されるまで時間がかかるため、糖質よりも先に摂取すると、食物繊維と併せて糖質の消化吸収のタイミングを遅らせられます。
キウイは糖質も含んでいますが、食物繊維が多いため、上記の順番ではたんぱく質や糖質の多い食材よりも先に食べたほうが効果を発揮します。
果物を主食より先に食べるのが苦手な場合は、おやつなどの間食としてキウイを食べるのも1つの手です。
体内の食物繊維は便として排泄されるまで一定量は残り続けるため、間食で摂取した食物繊維が次の食事でも消化吸収を遅らせられます。
間食は適切な量で食べると、空腹感を減らして、次の食事における食べ過ぎからの血糖値の急上昇を防ぐ効果も期待できます。
キウイはよく洗った場合は皮ごと食べても安全面では問題ない
市販されているキウイには多くの場合で皮が付いており、一般的には中身の果肉だけが食べられています。
しかし、キウイの皮にも栄養素が含まれているため、味や食感が気にならない人は食べたほうが無駄なく栄養素を摂取できます。
キウイの皮はよく洗った場合、皮ごと食べても安全面では問題ありません。
ただし、人によっては皮に生えている毛が食感として気になる可能性があります。
擦った際に細かい毛が落ちるため、皮付きでも気にならない食感にできます。
皮の味や食感が苦手な場合は、キウイを半分に切って中身だけスプーンですくう方法が手間をかけずに食べられます。
味や食感が苦手で食べる習慣がなくなるよりも、毎日美味しく食べられる方法を優先してください。
キウイはたんぱく質や良質な脂質が多い食材と食べ合わせる
キウイは食物繊維やビタミン群は豊富に含まれていますが、たんぱく質や脂質の含有量は多くありません。
栄養バランスの面で考えると、キウイと併せてたんぱく質や良質な脂質が多い食材を摂取したほうが良いでしょう。
朝食や間食で食べる際、キウイだけで物足りないときは、以下のような食材の食べ合わせを実践してみてください。
- たんぱく質やカルシウムを確保できるプレーンヨーグルトや牛乳
- たんぱく質と良質な脂質を多く含むナッツ類
プレーンヨーグルトは砂糖が入っていないため、甘みがほとんどありませんが、キウイと一緒に食べると甘みを補えます。
ナッツ類はキウイにない歯ごたえのある食感から、空腹感を満たす効果が期待できます。
キウイは味や栄養素の点から料理でも美味しく活用できる
キウイは果肉をそのまま食べる人が多いですが、料理に加えても美味しく食べられます。
キウイを料理に加える例は、以下のとおりです。
- サラダに混ぜて、キウイの酸味や甘味を入れる
- スライスしたキウイを肉や魚などの付け合わせにする
- すりおろしやみじん切りにしたキウイを肉と一緒に袋へ入れて漬け込み、肉を柔らかくする
野菜や肉類に果物を混ぜても問題ない人は、キウイの酸味や甘味が料理の味付けとして活用できます。
キウイの成分の1つであるアクチニジンは、たんぱく質分解要素によって肉を柔らかくする効果があります。
肉を漬け込んだキウイの汁は、そのままソースの材料にも使えるため、無駄なく活用できる調理方法です。
キウイは食べ過ぎると糖質やカリウムの過剰摂取につながる

キウイは多くの健康効果がある一方で、糖質の果糖も含まれるため、大量に食べると糖質過多につながる可能性があります。
緑肉種と黄肉種の両方で多く含まれるカリウムも、過剰摂取すると筋収縮の調整ができなくなり、手足のしびれや心臓の動きに影響を与えます。
食物繊維の整腸作用も体質によっては、お腹の調子を悪くする可能性があります。
普段からお腹の調子を崩す傾向がある人は、キウイを食べた後のお腹の状態について、意識してください。
キウイを取り入れ始めた後からお腹の調子が悪くなる頻度が増えた場合は、キウイの摂取を控えたほうが安全です。
自分に合うキウイの品種を選んで血糖値の上昇を対策する
キウイは緑肉種と黄肉種が主な品種であり、緑肉種は酸味があって食物繊維が多く含まれています。
しかし、酸味が苦手な人にとっては、緑肉種よりも甘みが強い黄肉種のほうが向いているでしょう。
黄肉種はビタミンCやビタミンEが多く、美容効果からエイジングケアも期待できます。
どちらの品種を選んだ場合でも、1日の食べる量の目安は1〜2個です。
そのまま食べる以外にも料理に混ぜて活用できるため、毎日継続できる食べ方でキウイの健康効果を取り入れてみてください。

