バセドウ病

バセドウ病について

バセドウ病についてバセドウ病とは、甲状腺の代表的な疾患で、自己免疫疾患のひとつです。また、甲状腺機能亢進症のひとつであり、甲状腺機能が促進することで、様々な症状を引き起こします。女性に多く見られる疾患で、新陳代謝が活発になることで汗をかきやすく、脈拍が早くなって(頻脈)常に走っているような状態となります。37.5℃前後の微熱や、暑がる、疲れやすい(易疲労性)、体重の増減に加えて、イライラ感(精神的な不安定)や不眠(睡眠障害)に悩まされるなど、精神的にも負荷がかかるようになります。バセドウ病の中には、眼球突出といい目が飛び出たような、特徴的な状態になることもあります。甲状腺腫は、甲状腺が腫れることで気付くことも多いですが、60歳以上になると甲状腺の疾患があっても腫れにくくなるため、発見が遅くなるケースもあります。当院では、糖尿病専門医であり内分泌を得意とする医師による甲状腺疾患の検査・治療を行っております。お気軽にご相談ください。

このような症状はありませんか?

  • 疲れやすい(易疲労性)
  • だるい(倦怠感)
  • 体重減少(瘦せた)
  • 体重増加(太った)
  • 食欲亢進
  • 食欲低下
  • 暑がり
  • よく汗をかく
  • 微熱
  • ものが二重に見える(複視)
  • 首が腫れた(甲状腺腫)
  • 目が飛び出したような感じがする(眼球突出)
  • イライラする
  • 落ち着きがなくなった
  • 集中力が低下した
  • 眠れない(睡眠障害)
  • 息切れ
  • 動悸
  • ドキドキする(頻脈)
  • 身体がむくむ
  • 喉が渇く
  • 下痢
  • 皮膚がかゆい
  • 毛が抜ける(脱毛)
  • 皮膚が黒くなる
  • 筋力低下
  • 骨粗鬆症
  • 手足の震え(振戦)
  • 爪の伸びが早い
  • 爪がギザギザになった
  • 爪が剥がれる(剥離)
  • 爪が変形(スプーン状)した
  • 月経不順
  • 無月経
  • 不妊
  • 血糖値が高くなった(高血糖)
  • 血圧が高くなった(高血圧)
  • コレステロールが下がった
  • 不妊
  • 肝機能の異常を指摘された
など

バセドウ病の原因

バセドウ病は、自己免疫システムの異常が主な原因になります。私たちの身体は、細菌やウイルスに対する免疫抗体を作って自らを守りますが、自分自身を攻撃する自己抗体を作ってしまうのが自己免疫疾患です。バセドウ病は、脳にある下垂体と呼ばれる部分から分泌されたTSH(甲状腺刺激ホルモン)を受け取り口(受容体)であるTSH受容体に刺激し、本来ならば適量だけ分泌され、抑制のかかるはずの場所でTRAb(TSH受容体抗体)やTSAb(抗サイログロブリン抗体)と言われる抗体が作られ、甲状腺を刺激し続けてしまうことで起凝ると考えられています。
また、遺伝的要因や出産などによる身体の変化が原因となることもあります。

バセドウ病に伴う疾患

甲状腺関連眼症

眼球突出

眼球を動かす筋肉や眼球後方の脂肪組織が炎症を起こし、浮腫んだりして肥大することで、眼球が前に押し出される眼球突出の症状があらわれます。突出の度合が大きい場合は、結膜の発赤や角膜の潰瘍の可能性があり、痛みが生じることもあります。

眼瞼後退

甲状腺モルモン値が高くなると、筋肉が緊張して眼瞼後退が起こります。また、上瞼を挙げる筋肉が炎症したり緊張したりすることから、下がらなくなることもあります。甲状腺値ホルモン値が正常になれば、症状は改善します。

複視

眼球を動かす筋肉が炎症すると、筋肉が腫れて動きが鈍ります。左右の眼球が同じ動きをできず、対象物が二重に見えてしまいます。

心疾患

甲状腺ホルモン値が高い状態が続くと、心臓に過度の負担がかかります。このため、不整脈や心不全などの心疾患を引き起こすことがあります。この場合も、甲状腺ホルモン値を正常にすることが重要です。特に、高齢者は注意が必要です。

甲状腺クリーゼ

甲状腺機能亢進症を適切な治療しない状態で、手術や感染症など大きなストレスを受けた際に、甲状腺クリーゼとなることがあります。主に、意識混濁や頻脈、高熱、下痢、心不全などの症状があらわれます。命の危険が伴うことがあり、緊急的な治療が必要となります。甲状腺機能亢進症の適切な治療を受けて、甲状腺機能を正常に維持することが非常に重要です。

周期性四肢麻痺

甲状腺ホルモンが高い際に、激しい運動や暴飲暴食を行うと翌朝などに、手足が動かなくなる四肢麻痺があらわれます。麻痺症状は数時間で自然に治りますが、再発を防ぐためにも甲状腺ホルモン値を正常にしておく必要があります。若い男性にあらわれやすいとされています。

高血糖

甲状腺ホルモン値が高いときは、血糖値も高くなるとされています。甲状腺機能を適正な値に保つ治療を行うことで、正常な血糖値を維持できるようになります。

骨粗鬆症

甲状腺機能亢進症になると、骨の代謝が早くなり、骨密度が減少するとされています。特に、閉経を迎えた女性や高齢の方は、骨粗鬆症の発症リスクが高くなります。甲状腺機能が正常になることで、骨密度もゆっくりと回復します。

その他

二枚爪などの爪の変形を始め、皮膚の白斑、すねから足の皮膚が腫れて黒くなる前脛骨粘液水腫などの症状があらわれることがあります。

バセドウ病の検査・診断

検査

血液検査やアイソトープ検査を行い、バセドウ病の診断を行います。また、必要に応じて超音波検査を行い、類似疾患との鑑別や甲状腺の状態を把握します。なお、甲状腺ホルモンが高く、心臓に負荷をかけることがある場合は、心電図や胸部X線検査を行います。

血液検査

甲状腺ホルモン(FT3・FT4)、抗TSHレセプター抗体(TRAb)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)などを確認します。

アイソトープ検査

血液検査の結果で、TRAbが軽度高値などの場合にはアイソトープ検査で確定診断が必要となります。アイソトープ検査が必要な場合は、連携医療機関へ紹介させていただきます。

超音波検査

超音波検査

甲状腺の大きさ・しこりの有無を調べます。

心電図・胸部X線検査

甲状腺機能亢進の際に見られる不整脈や心不全の有無を調べます。

バセドウ病の治療

バセドウ病の治療には、薬物療法(抗甲状腺薬)・アイソトープ治療・手術治療の3つがあります。治療を行わずに放置してしまうと、心不全や心房細動、脆弱性骨折など併発する恐れがあるため、適切な治療を行う必要があります。治療後の経過は人それぞれですが、いずれの治療も甲状腺ホルモン値を正常に維持することを目的として行います。

薬物療法

外来にて治療ができます。薬物療法は、副作用が起こること、効果に個人差が大きくあること、一度治っても再発率が高いなどがデメリットとして挙げられます。ただし、薬物療法では、将来的な甲状腺機能低下症になるリスクがないというメリットがあります。薬物療法を2年以上行っても改善が見られない場合は、その他の治療方法を検討します。

アイソトープ治療

アイソトープ治療放射性ヨードを含むカプセルを服用し、甲状腺の腫れを小さくします。高い効果と安全性の高さが特徴です。ただし、中には甲状腺の機能が著しく低下してしまい、甲状腺ホルモン薬を服用が必要になることがあります。アイソトープ治療は、妊娠中の方や授乳中の方、小児は受けられないこと、バセドウ病による眼症状が悪化してしまうこと、実施できる医療機関が限定されるなどのデメリットがあります。当院では、必要に応じて高度医療機関へご紹介させていただきます。

手術(甲状腺摘除術)

確実に治療効果を得られる療法です。全摘除を行うことで再発を防げますが、甲状腺ホルモン薬を服用しなければなりません。甲状腺摘除術は、入院加療が必要であること、合併症が起こるリスクが高いこと、手術痕が残ることなどがデメリットとして挙げられます。当院では、手術が必要な患者様には高度医療機関をご紹介させていただきます。

日常生活で気を付けること

日常生活では、なるべく安静を保ち、睡眠不足や過度のストレスなどを避けてください。甲状腺機能亢進の場合は、頻脈や不整脈が起こりやすい、総じて心臓に負荷がかかっている状態です。ゆっくりとなるべく安静を保ことが重要です。 食事における制限は特にありません。ただし、ヨウ素を多く含む海藻類の摂取や飲酒のし過ぎには注意が必要です。

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