甘酒は、「飲む点滴」と言われている程に健康や美容に効果が期待できる成分が含まれており、飲み方次第で血糖値をコントロール可能な健康食品にもなり得ます。
しかし、飲みすぎや飲むタイミングによっては血糖値の急激な上昇を引き起こしかねないため、血糖コントロールをしている人は注意が必要です。
今回は、甘酒と血糖値の関係性や血糖コントロールに優れたおすすめの飲み方をご紹介します。
- 甘酒と血糖値の関係性について
- 甘酒の種類に応じて血糖値の上昇に違いがある
- 血糖コントロールをしながら甘酒を飲む方法
血糖値の上昇を抑えながら甘酒を飲みたい人は、ぜひ参考にしてください。
甘酒は急激な血糖値上昇を引き起こす可能性がある
甘酒にはブドウ糖が多く含まれています。
ブドウ糖は消化を必要としないため摂取後にすぐ吸収されてしまい、血糖値の上昇を引き起す原因です。
液体である以外にも、急激な血糖値上昇を引き起こす可能性の要因を下記で詳しく解説していきます。
甘酒はGI値が高い

GI値はブドウ糖の数値を100とした基準で比較され、70以上の食品は高GI値食品に分類されます。
このGI値が高値なほど食後に血糖値を上昇させる作用があり、反対に低GI値であれば穏やかに吸収されるため、血糖値の上昇も穏やかになります。
さらに、甘さ調整によって砂糖が添加される場合もあり、よりGI値が高値となる要因となります。
一部の例として、食品のGI値を見てみましょう。
食品名 | GI値 |
---|---|
せんべい | 91 |
白米 | 77 |
パンケーキ | 67 |
さつまいも | 51 |
大豆 | 20 |
参照元:血糖値とGIの関係性|大塚製薬
甘酒は血糖値スパイクの原因となる可能性もある
血糖値スパイクとは食後の急激な血糖値の上昇を指し、甘酒に含まれる糖によって引き起こされる可能性があります。
血糖値スパイクの原因となる糖には数種類ありますが、甘酒に含まれるブドウ糖や甘さの調整で添加される砂糖などが血糖値に影響するものです。
甘酒を自作する場合には、GI値が低い糖類を使用すると血糖値スパイクを引き起こすリスクを軽減できるでしょう。

急激な血糖値の上昇は、血管に深刻なダメージを与えてしまいます。
血糖値スパイクは、健康診断の数値にも表れにくいため、普段からの意識改革が大切です。
詳しくは「糖質の吸収を抑え、食後血糖値を抑制する成分」の記事もご確認ください。
甘酒の種類で血糖値への影響が変わる
甘酒には、製造方法やそれぞれ血糖値にもたらす影響が異なる2つの種類があります。
ここでは、2つの甘酒のそれぞれの特徴や、どのように血糖値が変動するのかを解説していきます。
甘酒を選ぶ際の着目点として、ぜひ参考にしてください。
米麹甘酒はブドウ糖が多く血糖の上昇につながる
米麹甘酒は米と米麹を熟成させ、米に含まれるでんぷんをブドウ糖へと変化させて作られているため、血糖値を上昇させます。
ブドウ糖によって自然な甘みを引き立て、アルコールが含まれていないため妊娠中の人や子供でも安心して召し上がれますが、ブドウ糖は血糖値の上昇を促す成分です。


飲み過ぎや飲むタイミングによっては、血糖値の変動に大きな影響を与える可能性があるため、注意が必要でしょう。
酒粕甘酒は砂糖が添加されているため血糖の上昇に高リスク
酒粕甘酒は煮溶かした酒粕に砂糖を加えて作られているため、米麹で作られた甘酒よりも血糖値の上昇が急激に起こる可能性があります。


そのため、血糖コントロールとして取り入れる際には注意が必要となるでしょう。
酒粕甘酒のメリットとしては、家庭でも作りやすく砂糖の分量で甘さを調整できるため、好みの甘酒を飲める点です。
さらに、酒粕にはフェルラ酸やコウジ酸などの美肌作りに役立つとされる成分が含まれているため、美肌効果が期待できます。
血糖コントロールには無加糖や米麹タイプがおすすめ
糖尿病患者や血糖コントロールが必要な人には、酒粕よりも米麹甘酒の方がおすすめです。
上記で解説したように、酒粕甘酒は加糖する場合が多くカロリーや糖質量も高くなり、血糖値に大きな影響を与える可能性があります。
一方で米麹甘酒は米本来の自然な甘さを引き立てて作られるため、酒粕甘酒よりも血糖コントロールの観点において抵抗なく摂取できるでしょう。
甘酒は血糖値を上げる可能性があるが飲み方次第でリスクを抑えられる


甘酒は、飲むタイミングによって血糖値への影響だけでなく健康にも良い影響をもたらす可能性を持っています。
ブドウ糖が多く含まれているため血糖値の上昇が懸念されますが、飲む量やタイミングによっては血糖値の上昇を抑える役割を果たす効果が期待できます。
食後や食間に摂取すると急上昇を抑えられる
甘酒を飲むタイミングとして、食後や食間に摂取すると血糖値の急上昇を抑制できるためおすすめです。
特に麹でできた甘酒は、食後の消化吸収を促進する効果があり、甘酒単体よりも血糖値の上昇が緩やかになります。
さらに1日の中で朝に飲むとブドウ糖が脳をしっかり目覚めさせる効果が期待できるため、代謝の向上につながりダイエットにも効果的です。
昼は脳の働きが活発になるのを手助けするため、集中力の向上効果が期待できます。
就寝前などの夜間に飲むと疲労回復やストレスの緩和に効果的とされ、温かい甘酒にすると安眠効果も期待できます。


ただし、空腹時での摂取は糖の吸収が促進され血糖値の急上昇を招く恐れがあるため、注意しましょう。
置き換えをすると糖質の摂取量をコントロールできるため血糖値の上昇に効果が期待できる
甘酒はビタミンB群やアミノ酸、オリゴ糖なども豊富で栄養バランスもよく、カロリーは白米の約半分程度と言われています。
そのため、糖質の摂取量を減少させるとともに、血糖値の上昇も抑制できる体に優しい置き換え食品となります。
白米を甘酒に置き換える方法や間食を甘酒にするなど、うまく調整すると摂取カロリーが減少するためダイエットにも効果的です。


一部の置き換え例は、下記を参考にしてください。
置き換え前 | 置き換え例 | |
---|---|---|
朝 | 食パン+ジャム+コーヒー | 甘酒50〜80ml+ゆで卵+無糖ヨーグルト |
間食 | お菓子+ジュース | 甘酒100ml+ミックスナッツ |
夜 | 白米+おかず | ごはん少なめ+甘酒50〜80ml+副菜たっぷり |
血糖コントロールが必要な人は摂取量に注意が必要
甘酒は健康に良いとされる飲み物ですが、カロリーも高く、前述したように高GI値食品にも分類され血糖値を急激に上昇させる要因です。
飲み過ぎは、血糖値への影響だけでなく肥満につながる可能性もあります。
1日の摂取目安はコップ1杯(200ml)程度にし、分割して飲むと血糖値への影響も最小限に抑えられるでしょう。



血糖コントロールには、普段からの改善対策が大切です。
特に食事面での見直しを考えられている場合は、こちらのページも参考にしてください。
知っておきたい血糖値を抑制する食品や成分
他の食材との組み合わせが血糖値を安定させるカギとなる


甘酒単体でも豊富な栄養素が含まれており、飲み方で血糖コントロールも可能であると解説しました。
しかし、他の食材と組み合わせるとよりその効果を発揮し、日常的にも容易に取り入れられるでしょう。
今回は、甘酒と組み合わせるとより効果的な成分や栄養素をご紹介します。
タンパク質や食物繊維と一緒に摂取すると食後の血糖コントロールに効果が期待できる
タンパク質や食物繊維には糖質の吸収を抑制する効果が期待できるため、一緒に摂取すると血糖コントロールに効果的です。
タンパク質は満腹感を高められるため食べ過ぎ防止に効果的であり、朝にしっかり摂取すると1日を通して血糖値の上昇を抑えられたという実験報告もあります。
そのため、血糖値の上昇も緩やかになるとともにダイエットや便秘症の改善効果も期待できるでしょう。
甘酒はこれらの栄養素との相乗効果によって、うまく取り入れると健康にもダイエットにも効果が期待できる食品です。
ヨーグルトや豆乳などの乳製品と混ぜると腸内環境と血糖の両面サポートができる
腸内環境を整える効果が期待できる乳製品と組み合わせると、GI値が低いため血糖値の上昇を緩やかにし血糖値スパイクを引き起こすリスクを軽減できます。
甘酒単体では苦手意識がある人でも乳製品との組み合わせでクリーミーな味わいとなるため、抵抗なく飲めるでしょう。
しかし、加糖されているヨーグルトや豆乳などは血糖値を上昇させるリスクを上げてしまう可能性が高いため、注意が必要です。
甘酒は正しい摂取方法で血糖値の管理と両立できる健康食品になる
甘酒は主成分がブドウ糖であり、血糖値の急激な上昇を引き起こす可能性がある食品です。
しかし摂取するタイミングや量、組み合わせなどによっては血糖値の上昇を抑える効果が期待できるでしょう。
さらに相乗効果により腸内環境や肥満の改善にも効果的となります。
甘酒自体に豊富な栄養素が含まれているため、他の食品との組み合わせはバランスの良い栄養素を摂取できる機会にもなります。
普段の食事量や摂取カロリーを見直したい人や腸内環境などの体内環境を整えたい人、血糖コントロールをうまく行いたい人などは、甘酒による改善がおすすめです。
「飲む点滴」と言われる程の甘酒の良さをぜひ、実感してみてください。