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血糖値を管理するために針なし測定器を使用する意義とは

針なし血糖測定器のメリット

針なし血糖測定器の使用は、糖尿病患者の血糖値をリアルタイムで管理し、生活の質を向上させる有効な手段です。

痛みが不安な人や職場で測定が難しい人でも、手軽に血糖管理が可能なため、近年注目を集めています。

今回は血糖値を管理するために、針なし測定器を使用する意義を解説します。

この記事を読んで分かること
  • 血糖値の変動を知ると、糖尿病の予防につながる
  • 針なし測定器は、痛みの軽減とリアルタイムな血糖管理を実現
  • 針なし血糖値の測定器選びでは、価格やアプリと連携できるかを確認する

指に針を刺す血糖測定に抵抗がある人、効果的に血糖値を把握して軽やかな体で過ごしたい人は、最後までご覧ください。

目次

血糖値の変動の把握は糖尿病の予防につながる

血糖値の変動を把握すると、糖尿病の予防につながります。

血糖値が急に上がったり下がったりすると、心臓や腎臓に負担をかけるリスクがあるといわれています。

血糖値の変動を日々確認すると、何を食べたあとに急上昇したかが分かるため、食事や運動など生活習慣の見直しが可能です。

そのため、血糖値の変動の把握は糖尿病の予防につながります。

さらに、食後の血糖スパイクや、高血糖をみのがさずにすむのも特徴です。

血糖スパイクとは、食後に血糖値が急に上がり、その後急に下がる現象を指します。

これは、血糖値を下げるホルモンである、インスリンの分泌が遅れたり不足したりすると起こります。

食事をすると血糖値は上昇しますが、健康な人であれば通常、140mg/dLを大幅には超える可能性は少ないとされているのです。

しかし、糖質を多くとったり早食いしたりすると、食後の血糖値が140mg/dL以上になる場合があります。

食後の血糖値が急に上がると、膵臓はインスリンというホルモンをたくさん分泌するため、血糖値が急激に下がる可能性もあります。

このような血糖値の乱高下は、血糖スパイクという状態です。

血糖スパイクが続くと、動脈硬化や認知機能低下などのリスクが高まります。

血糖値の変動を把握すると、糖尿病を防いだり早く見つけたりするのに役立ちます。

針なし血糖値測定器を使うと、いつでも簡単に自分の血糖値を管理できるため便利です。

食後の血糖スパイクや高血糖のタイミングも、場所を選ばずすぐに確認できます。

結果的に、血糖値の変動に合った食事を選べるようになり、適切な血糖のコントロールが可能です。

さらに、持続血糖測定のデータを医師と共有できるため、生活習慣の見直しにも役立ちます。

従来の針を刺して血を採る血糖測定器では、持続的な血糖値の把握が困難です。

針なしの持続測定器を使うと日々の血糖変動を理解できるうえ、生活習慣の改善や糖尿病予防につながります。

血糖値測定器の針なしタイプはすぐに血糖値を把握できる

すぐに血糖値を測定できて便利

いま人気の針なし血糖値測定器は、測定時の痛みがなく、すぐに血糖値を測定できるため便利です。

病院だけでなく、インターネットでも手軽に購入ができます。

従来の血糖値測定器は、指先に針を刺して血液を採る必要がありました。

これに対し、針なしの非侵襲持続血糖モニターは皮膚を傷つけずに、体内の情報を取得します。

血糖値測定時の痛みや不快感が軽減されるため、血糖値測定でのストレスが減るでしょう。

好きなタイミングで血糖値を測定し、スマートフォンなどにデータの送信も可能です。

食事や運動の影響をすぐに確認できるため、より効果的な血糖管理を行えます。

さらに、針なし血糖値測定器は過去1〜2ヶ月の血糖値の平均値を反映する指標である、HbA1cの把握にも役立つため便利です。

HbA1cは過去1〜2か月の平均的な血糖値を示し、正常値は5.5%未満とされています。

研究では、持続血糖モニターは2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善し、満足度を向上させたと報告がみられました。

針ありの血糖値測定器を使用したグループのHbA1cは0.16%低下し、針なし血糖値測定器ではHbA1cが1.1%低下しています。

針なし血糖値測定器の使用で、HbA1cが8カ月間で改善したという研究結果もあります。

つまり、針なし血糖値測定器はHb糖尿病の管理や予防に効果が期待できるのです。

HbA1cが下がると、網膜症や神経障害などの合併症や、心疾患の予防にもつながります。

痛みなく簡単な血糖管理をするためには、針なしタイプの機器も選択肢に入れましょう。

参考:もう指を刺す必要はありません。持続血糖モニターは糖尿病患者にさまざまなメリットをもたらします。

参考:基礎インスリン療法を受けている2型糖尿病患者における持続血糖モニタリングによる血糖コントロールへの影響

HbA1cを下げるには、普段からの改善対策が必要となります。
特に食事面での見直しを考えられている場合は、こちらのページも参考にしてください。

針なし血糖値測定器は血液ではなく間質液という液体の糖を測る

間質液という液体の糖を測る

針なし血糖値測定器は、皮下にある間質液という液体の糖を測り、そこから血糖値を測る仕組みです。

間質液とは細胞と細胞の間を流れる透明な液体で、血液から送られたブドウ糖などの栄養や酸素をふくみます。

間質液の糖の濃度は血液の糖とほとんど変わらないため、この原理を使用して血糖値を測定します。

針なし測定器で血糖値を測定する方法は、下記の通りです。

  1. 細いフィラメントが皮膚の下に入る
  2. 間質液の糖をフィラメントがとらえる
  3. フィラメントの表面にある酵素が糖と反応する
  4. 微弱な電流が発生
  5. 電流の強さを測定し、血糖値を計算する

従来の測定器では見逃しがちな血糖値の変化を、24時間リアルタイムで把握できます。

さらに食事や運動、睡眠と血糖値の関係がすぐに見えるため、生活習慣の改善につながります。

指先に針を刺して測る血糖測定器との違いは、下記の通りです。

針なし血糖値測定器針あり血糖値測定器
測定対象間質液内の糖血液中の糖
測定方法皮膚の上からセンサーをあてる指に針を刺して採血
痛み測定時の痛み無し針を刺す痛み
リアルタイム測定24時間持続測定が可能不可能
タイムラグ5〜10分遅れる場合があるなし

針なし血糖値測定器は、血糖の変動パターンをいつでも確認できるのが利点です。

皮膚に光を当てて体の中の糖の量を測る、光学式の血糖測定器もあります。

生活習慣と血糖値の関係がリアルタイムで分かり、手軽に血糖値の管理が可能です。

針なし血糖測定器は測定時の痛みやストレスが低減される

測定時の痛みやストレスを軽減

血糖値の管理に針なし測定器を使用する利点は、下記の通りです。

  • 痛みや不快感などのストレスを軽減できる
  • 場所を選ばずに使用できる
  • 継続的な血糖値のデータを把握できる

針なし測定器は、一度センサーを装着すると数日から数週間続けて使用できます。

何度も指に針を刺す必要がないため、血糖測定時は痛みを感じません。

痛みや測定時の煩わしさなどのストレスを軽減しながら、血糖値を把握できます。

多くの針なし測定器は、センサーを上腕に装着するだけで使えるため、操作が苦手な人でも大丈夫です。

さらに、自動的に血糖値の変動を記録し、楽に保存できます。

この血糖値のデータを元に主治医と今後の治療方針を決められるため、効果的な血糖コントロールを目指せて便利です。

針なし血糖測定器はどこでも使用できるため、タイミングに悩まずに血糖値を確認できます。

そのため、針を刺す痛みに抵抗がある人、血糖値の変動を継続的に把握したい人に針なし測定器は向いています。

針なし血糖値測定器は使い勝手の良いものを選ぶ

血糖値の測定器で針なし製品を選ぶ際は、下記のポイントをチェックすると、便利なものを選べます。

  • センサーを含めたトータルの価格
  • 連携アプリでデータの管理や分析ができるか
  • 音声アシストやアラーム機能の有無
  • バッテリーの寿命や持続時間

血糖値測定器の価格は、製品により変わります。

針なし血糖測定器はセンサーの交換が必要なため、トータルの費用も含めて検討してください。

一部の針なし測定器は、インスリン治療を行う糖尿病患者に対して、医療保険の適用対象となる場合があります。

保険適用の有無や条件については、事前に医療機関や保険者への確認が必要です。

さらに針なし血糖値測定器は、スマートフォンと連携して使えるものもあります。

専用のアプリにデータを転送すると、グルコース値の変遷がグラフで表示されるため、視覚的に確認が可能です。

家族や医療者とグルコース値の共有が可能で、健康管理に役立ちます。

データ入力の手間が省け、測定結果をリアルタイムで確認できるのも利点です。

血糖値の測り忘れが心配な人は、測定時間になるとアラーム通知が鳴る製品が向いています。

測定器のバッテリー性能も、重要なポイントです。

充電式か電池式か、1回の充電や電池交換でどれくらいの期間使用できるかを確認してください。

血糖値測定器を買う前に、トータルの価格や連携アプリの有無などを確認すると、自分のライフスタイルや健康管理のニーズに合うものを選べます。

血糖値管理における針なし測定器を選ぶ場合は測定精度に注目する

測定器を選ぶ際のポイント

針なし血糖値測定器は、年々進化しており正確性が高まっていますが、気をつける点もあります。

針なし測定器を使用する際に気をつけるポイントは、下記の2つです。

  • 測定精度と誤差を事前に確認する
  • 補正と再校正の必要性を理解する

針なし血糖値測定器は、間質液中のブドウ糖濃度を測定するため、実際の血糖値と誤差が生じる場合もあります。

正確性の高さを見極めるために、機器選びの際には、平均絶対相対差を参考にしてください。

測定値と血糖値の一致度を平均絶対相対差といい、値が低いほど測定精度が高いと示されます。

平均絶対相対差10%以下が、高精度の指標になります。

針なし血糖値測定器は、センサーと専用リーダーまたはアプリを組み合わせて使用する製品がほとんどです。

そのため、手動の補正や再校正は必要ありません。

しかし低血糖の症状があり、測定値が正常範囲を示している場合は、針あり血糖自己測定の使用が推奨されています。

測定器の使用方法や測定値について不安がある場合は、医師に相談するのも一つの方法です。

針なし血糖値測定器の測定精度や誤差、補正の必要性などを理解し、医師と連携しながら適切に使用しましょう。

参考:自動センサーアプリケーターを用いた工場校正済みリアルタイム持続血糖モニタリングシステムの性能

針なし血糖値測定器は血糖コントロールの精度を上げる

針なし血糖値測定器を活用すると、自分の生活リズムによる血糖値の変動を簡単に把握できます。

入浴後や甘い飲み物をとった後に血糖値が上がるなど、生活するうえでどんな時に血糖値が変わるのかを時系列で記録できるのが利点です。

そのため、自分の生活リズムに合わせた健康管理を行えます。

携帯を血糖値測定器のセンサーにかざすだけで、簡単に血糖値が分かる製品もあり便利です。

運動や食事などの生活習慣は直接血糖値に影響を与えるため、生活習慣の見直しにも針なし測定器は役立ちます。

生活するうえでの血糖値の上がり下がりを知ると、自分に合った効果的な血糖値のコントロールができるでしょう。

適切な血糖値のコントロールを行うと、動脈硬化や神経障害などの予防につながります。

空腹時血糖値が正常範囲でも、食後に血糖値スパイクを起こしているケースもあります。
特に食後血糖値は健康診断や病院での測定では気付きにくいことが多いので普段から血糖値の範囲を知っておくことはとても大切です。

また、血糖値を急上昇させない食事成分などを知っておくと普段の健康管理にも役立つでしょう。

血糖値の安定管理をするためには針なし測定器を活用しよう

針なし測定器は測定時の痛みがほとんどなく、簡単に血糖値を測定できます。

さらに、食事や運動などの生活習慣が血糖値に与える影響を、リアルタイムで把握できます。

針なし血糖値測定器を選ぶ際は、価格やアプリとの連携機能、バッテリーの持続性などの確認が大切です。

血糖値のデータ保存や、家族や医療者とグルコース値の共有が簡単にできます。

血糖値を大事な人と共有すると、自分のライフスタイルに合わせた血糖コントロールができるので便利です。

指に針を刺して血糖を測るのに抵抗がある人は、負担の少ない針なし血糖値測定器を検討しましょう。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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