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糖尿病と一日一食夕食のみの関連性!リスクと正しい対策を解説

夕食のみのリスクと正しい対策

一日一食で夕食のみを取る食事法は短時間で多くのエネルギーと栄養をまとめて摂取するため、糖尿病の観点から見るとリスクやデメリットが多くあります。

この記事では、一日一食夕食のみのリスクと正しい対策について解説します。

この記事で分かること
  • 一日一食の食事法は食後血糖値を急激に上昇させて糖尿病に悪影響を与える
  • 空腹時間が長くなると次の食事後の血糖値が急上昇するリスクが高まる
  • 一日一食夕食のみの食事法で気をつけるべきリスクとデメリット
  • 一日一食の食事法を安全に実践するために栄養バランスを考慮した食事を取る
  • 糖尿病と向き合う上で欠かせない食事管理の重要性

一日一食の食事法を安全に実践できる栄養バランスを考慮した食事や、糖尿病と向き合う上で欠かせない食事管理なども紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

目次

一日一食の食事法は食後血糖値を急上昇させて糖尿病に悪影響を与える

食後血糖値が急上昇

一日一食の食事法は短期間で体重を減らす方法として注目される場合がありますが、糖尿病の観点からはリスクが伴います。

長時間空腹状態が続いた後に一度に多量の食事を取ると、ブドウ糖の消化と吸収が一気に進み、食後血糖値が急上昇します。

この食後血糖値の急上昇はインスリン分泌に大きな負担をかけ、血糖コントロールを乱して糖尿病の発症につながる原因となるのです。

さらに高血糖状態が続くと、血管や神経にダメージを与えて以下のような合併症を招くリスクも高まります。

  • 心筋梗塞
  • 脳梗塞
  • 糖尿病足病変
  • 糖尿病性腎症
  • 糖尿病性網膜症
  • 糖尿病性神経障害

他にも一日一食の食事では、栄養バランスが偏って筋肉量の減少や基礎代謝の低下を引き起こす可能性もあります。

そのため、糖尿病予防や管理には適切な食事回数とバランスの取れた栄養摂取が不可欠です。

空腹時間が長くなると次の食事後の血糖値が急上昇するリスクが高まる

空腹時間が長く続くとインスリンの分泌機能が上手く働かなくなるため、次の食事を取った際には血液中のブドウ糖の吸収が急激に進んで、血糖値が急上昇するリスクが高まります。

この急激な血糖値の上昇は血糖値スパイクと呼ばれ、膵臓に負担をかけるのみでなく、血管を傷つける原因にもなるのです。

特に糖尿病予備軍や糖尿病の人は、長時間の空腹後に大量の食事を取ると血糖コントロールの悪化や動脈硬化、心血管疾患といった合併症の進行につながる恐れがあります。

そのため、空腹時間を過度に長くせず、適度に分けて食事を取るのが血糖値の安定につながります。

糖尿病予防や健康維持のためにも、食事は一日三食を基本として、4〜5時間程度の間隔を空けて規則正しい食事を取るのが大切です。

一日一食夕食のみの食事法で気をつけるべきリスクとデメリットを知ろう

一日一食の食事法は、短期間の減量や食事量のコントロールに効果があると感じる人もいますが、健康面では見逃せないリスクやデメリットが存在します。

一日一食の食事法による長時間の空腹によって、次の食事後に血糖値が急上昇し、インスリン分泌に負担をかけます。

特に夕食は一日の活動量が減る時間帯にあたるため、摂取した糖質がエネルギーとして消費が進まず、血糖値が高い状態が長く続く可能性があるのです。

この状態が繰り返されると、膵臓に負担がかかり、耐糖能異常や糖尿病の発症リスクが高まります。

さらに一度の食事で必要な栄養素をすべて補うのは難しく、たんぱく質やミネラル、ビタミンの不足により筋肉量の減少や基礎代謝の低下が起こる恐れがあります。

これにより、長期的には肥満になりがちな体質に変化したり、疲労感や集中力の低下を招いたりする場合もあります。

他にも空腹時間の長さがストレスホルモンの分泌を促して、インスリン抵抗性を悪化させる可能性もあるのです。

このように一日一食の食事法は一見シンプルで実践に向いているように思えても、続け方を誤ると健康を損なう危険があります。

特に持病がある人や高齢者は慎重な判断が必要であり、健康維持や体重管理を目的とする場合は、適度な食事回数と栄養バランスを重視した方法が安全であるといえるでしょう。

糖尿病の人が一日一食の食事法を続ける際に起こる合併症を理解しよう

三大合併症進行を加速する恐れ

糖尿病の人が一日一食の食事法を続ける場合、血糖コントロールが乱れてさまざまな合併症を引き起こすリスクが高まります。

長時間の空腹後に一度に多量の食事を取ると、血糖値が急上昇してその後急降下する血糖値スパイクが大きくなります。

この血糖値スパイクは血管や神経にダメージを与え、以下の糖尿病特有の三大合併症の進行を加速させる恐れがあるのです。

  • 糖尿病性腎症
  • 糖尿病性神経障害
  • 糖尿病性網膜症

特に血糖値スパイクは、網膜の毛細血管を傷つけて視力低下や失明を招く糖尿病性網膜症の悪化要因となります。

さらに腎臓では糸球体の負担を増やして、糖尿病性腎症や透析導入のリスクを高めます。

他にも糖尿病性神経障害が進行すると、手足のしびれや感覚鈍麻が起こり、傷や感染に気づかないまま悪化して糖尿病足病変に至るケースもあるのです。

加えて一日一食では栄養不足や筋肉量の減少が起こるケースが多く、基礎代謝の低下や動脈硬化の進行につながります。

動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる合併症のリスクが高まります。

そのため、糖尿病を抱える人が一日一食の食事法を実践する場合は、医師や管理栄養士と相談して血糖値の安定と栄養バランスを確保する工夫が不可欠です。

一日一食の食事法を安全に実践するために栄養バランスを考慮した食事を取ろう

一日一食の食事法を安全に実践するためには、限られた食事の中で必要な栄養素をしっかり摂取するのが不可欠です。

食事量が一回分に集約されるため、炭水化物やたんぱく質、脂質の三大栄養素のみでなくビタミンやミネラルなども不足しがちになります。

これらが欠けると、以下のような問題を生じる可能性があります。

  • 筋肉量の減少
  • 基礎代謝の低下
  • 免疫力の低下
  • 肌や髪の健康状態の悪化

特にたんぱく質は肉や魚、卵、大豆食品などから十分に摂取して筋肉や臓器の維持をサポートするのが重要です。

さらに野菜や海藻、きのこ類からは食物繊維や抗酸化成分を取り入れて、血糖値の急上昇を抑える工夫をしましょう。

炭水化物は精製度の低い玄米や全粒粉パンなどの低GI食品を選び、エネルギーを安定して供給できるようにします。

他にも食事内容のみでなく食べる順番の工夫も必要で、野菜やたんぱく質を先に取って最後に炭水化物を食べると、血糖値の変動の抑制が可能です。

一日一食を選択する場合は、このような栄養バランスと食べ方の工夫によって、健康リスクを減らしつつ実践するのが可能になります。

糖尿病と向き合う上で欠かせない食事管理の重要性を知ろう

血糖コントロールの土台

糖尿病と向き合う上で、食事管理は血糖コントロールの土台となる非常に重要な要素となります。

糖尿病はインスリンの分泌不全や作用不足により、食事から摂取した糖質が上手く利用されず、血糖値の高い状態が続く病気です。

この状態を放置すると、糖尿病による三大合併症や心筋梗塞や脳梗塞といった重大な合併症を引き起こすリスクが高まります。

食事管理は血糖値を可能な限り安定させて、膵臓への負担軽減を目的としています。

そのためには糖質の量と質、食事の回数や時間帯、栄養バランスへの意識が必要です。

例えば食物繊維が豊富な野菜や海藻を最初に取り、その後にたんぱく質、最後に炭水化物を取ると血糖値の急上昇を抑制できます。

さらに精製された白米や砂糖を控えて、玄米や全粒粉などの低GI食品を選ぶのも有効です。

他にもたんぱく質や食物繊維、ビタミンなどをバランスよく取り入れると血糖値の安定のみでなく、免疫力や代謝機能の維持にもつながります。

食事管理は単なる制限ではなく、血糖値を安定させつつ、体に必要な栄養素を確保する生活習慣です。

毎日の積み重ねが長期的な健康維持につながるため、自分の生活や体調に合った食事方法を見つけて、継続して実践していきましょう。

糖尿病に関する正しい知識を持って健康的で豊かな食生活を送ろう

糖尿病に関する正しい知識を持つのは、健康的で豊かな食生活を実現するための第一歩となります。

糖尿病は血糖値のコントロール不良により全身にさまざまな影響を及ぼす病気ですが、食事の工夫次第で進行の抑制や予防が可能です。

誤った情報や極端な食事制限に頼ると、かえって血糖コントロールが乱れたり、栄養が不足したりする恐れがあります。

正しい知識を持つと自分に合った食品の選び方や食事の組み立て方が理解できて、糖質やたんぱく質、脂質などのバランスを意識した食生活が送れるようになります。

さらに食べる順番や低GI食品の活用といった血糖値の急上昇を避ける食べ方や適切な食事のタイミングを知っておくのは、日常の中で無理なく血糖コントロールを続ける重要な要素です。

糖尿病と上手く向き合いながらも食事を楽しむのが大切で、健康を守る工夫により毎日の食事は豊かさを失わずに維持できます。

そのため、糖尿病に関する正しい知識をもとに、続けられる健康的な食生活を築いていきましょう。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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