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糖尿病を予防するために日常で行える食事や運動の改善方法を紹介

食事と運動の改善方法

糖尿病はさまざまな病気に発展する可能性があり、一度発病すると継続的に治療を続ける必要があります。

しかし、糖尿病を発症する前の段階である場合は、食事や運動などの日常生活の改善から糖尿病の発症を予防できます。

この記事では、糖尿病に対する予防について、複数の視点からまとめました。

この記事でわかること
  • 糖尿病のうち、2型糖尿病は食事や運動などの改善で予防できる
  • 血糖値の急上昇やインスリンの分泌量低下を防いで予防する
  • 食事では糖質や脂質の摂取量を調整して、食物繊維やたんぱく質の摂取量を増やす
  • 有酸素運動は毎日数分間でも継続できると、糖尿病予防につながる
  • ストレスや睡眠不足も糖尿病に影響があるため、解消できるように原因を探る
  • 喫煙はやめて、飲酒は適量に留める
  • 糖尿病リスクや正しい糖質摂取量を把握するために病院で定期的に検査を受ける

健康診断で血糖値の数値が高かった人や生活習慣が乱れている自覚がある人は、参考にしてください。

目次

2型糖尿病は発症前の段階である場合は生活習慣の改善から予防できる

生活習慣の改善から予防可能

糖尿病は体内のブドウ糖を消化し切れず、糖質を尿として排出している状態です。

単に糖尿が出るだけでなく、血管や臓器、神経系に悪影響を及ぼして糖尿病合併症と呼ばれる病気に発展する可能性があります。

糖尿病は発病の原因によって、以下の1型と2型に分かれています。

  • 1型糖尿病:自己免疫異常の発生からインスリンを分泌する細胞が破壊されて、インスリンの分泌が一切できない状態になる
  • 2型糖尿病:生活習慣の悪化や遺伝が原因でインスリンの分泌が少ない、インスリンに抵抗性がある

1型糖尿病における自己免疫異常は具体的な発症要因が解明されていませんが、発症する可能性は低い糖尿病です。

日本における多くの糖尿病患者は、バランスの悪い食生活や運動不足などの生活習慣の悪化から発症する2型糖尿病に該当します。

2型糖尿病は発症前の段階である場合、生活習慣の改善から予防できます。

2型糖尿病は高血糖やインスリンに関する異常が原因で発症する

糖尿病が発症する直接的な原因は、以下のとおりです。

  • 糖分の過剰摂取で血糖値が急上昇して、正常な数値に戻せないまま高止まりする
  • 血糖値を下げるホルモンであるインスリンの分泌量や抵抗性に問題がある

血糖値は血液中に含まれる糖質の量を示す数値であり、高止まりした状態は高血糖と呼ばれます。

高血糖が慢性的に継続している場合、体内の糖分量が多いため、糖尿病リスクが高い状態です。

一方、インスリンは血糖値が上昇した際に分泌されて、元の数値に戻す効果があります。

しかし、糖分の過剰摂取から分泌しても下げきれない、もしくはインスリン自体に異常が発生した場合は血糖値を下げられません。

血糖値を下げられないと高止まりから高血糖になり、糖尿病リスクを高めます。

糖尿病予防では、血糖値の急上昇とインスリン異常を起こさないような改善が必要です。

糖尿病は完治が難しい点から血糖値が高くなった段階で改善する

糖尿病は一度発症した場合、症状はある程度緩和できても、完治させるのが難しい病気です。

発症後は食べられる食材に制限がかかり、症状がひどい場合は継続して薬を飲む必要が出てきます。

そのため、現在の健康状態にかかわらず、糖尿病は発症する前に予防しておくのが理想です。

健康診断で血糖値が上昇傾向にある、高血糖に差し掛かっている等の診断結果が出た場合は、予防策を講じていきましょう。

診断結果から病院で再検査を求められている場合は、必ず受診して医師の意見を聞くのも重要です。

食事で糖尿病予防する場合は摂取量を調整して血糖値をコントロールする

摂取する栄養素を調整

食事療法は糖尿病を発症した際にも行われる治療法であり、普段の食事で摂取する栄養素を調整しながら血糖値をコントロールします。

糖尿病予防として食事療法を行う場合、摂取量を調整したい栄養素は、以下のとおりです。

  • 糖質の摂取量調整:血糖値を上げる直接的な要因
  • 脂質の摂取量調整:肥満はインスリン抵抗性を高めるため、肥満の原因となる脂質も調整する
  • 食物繊維の摂取量増加:血糖値の急上昇を防ぐ効果がある

糖質や脂質も必要な栄養素であるため、完全に摂取を止めるわけにはいきません。

必要な摂取量を確保しつつ、血糖値の急上昇やインスリン抵抗性を高める原因の肥満を予防していきます。

一方、食物繊維やたんぱく質は摂取量を増やして、食べ方を工夫すると血糖値の急上昇を防げます。

血糖値の急上昇を防ぐには食物繊維を優先的に食べて最後に糖質を食べる

食物繊維のうち、水溶性食物繊維は体内で糖質の吸収を遅らせて、血糖値の急上昇を抑える効果があります。

ただし、水溶性食物繊維の効果を発揮させるためには、糖質より前に食べておかなければいけません。

そのため、糖尿病予防する際の栄養素の摂取は、以下の順番が推奨されます。

  1. 食物繊維:効果を発揮させるため、優先的に食べる
  2. たんぱく質:消化に時間がかかる点から間に挟む
  3. 糖質:なるべく最後に食べて消化を遅らせる

たんぱく質は消化に時間がかかるため、食物繊維と糖質の間に挟んでおくと、糖質を消化するタイミングを遅らせられます。

食物繊維の多い野菜入りのサラダ等を最初に食べて、次に肉や魚などのたんぱく質、最後にごはんやパンなどの糖質を食べましょう。

栄養素の摂取量は国の示した基準や専門家の意見を聞いて決める

摂取量を増やしたい食物繊維について、厚生労働省が調査した1日あたりの摂取量目安は、以下のとおりです。

1日あたりの食物繊維摂取目標量男性女性
3~5歳8g以上8g以上
6~7歳10g以上9g以上
8~9歳11g以上11g以上
10~11歳13g以上13g以上
12~14歳17g以上16g以上
15~17歳19g以上18g以上
18~29歳20g以上18g以上
30~49歳22g以上18g以上
50~64歳22g以上18g以上
65~74歳21g以上18g以上
75歳以上20g以上17g以上
妊婦18g以上
授乳婦18g以上

参考元:2025年版日本人の食事摂取基準

あくまで目安ですが、糖尿病予防をするうえでも上記の食物繊維の摂取量は十分参考にできます。

一方、摂取量を調整する糖質や脂質は、個人によって摂取すべき量が変わります

自己判断で減らすと栄養素の過不足が発生する可能性があるため、病院で医師や栄養士と相談して摂取量の目安を決めましょう。

運動は糖質を消費しながらインスリンの働きを高める効果がある

インスリンの働きを高める効果

運動療法は糖尿病の食事療法と同時に行われる治療法であり、糖尿病予防の段階でも取り入れられます。

糖尿病予防として運動した場合に期待できる効果は、以下のとおりです。

  • 運動のエネルギー消費で糖質や脂質が使われて、高血糖や肥満を防げる
  • ホルモンが活性化して、インスリンの働きが高まる
  • 運動した影響から筋肉がつき、基礎代謝が向上してエネルギー消費効率が上がる
  • 人によってはストレス解消にもつながる

特に酸素を取り入れながら行う有酸素運動が、エネルギー消費やインスリンの働きを高めるうえで有効とされています。

有酸素運動は運動量や時間以上に毎日継続するのが重要である

有酸素運動に該当する日常的に取り入れられる運動は、以下のとおりです。

  • ウォーキング
  • ジョギング
  • サイクリング
  • 水泳

糖尿病予防としては、息切れするほど激しく運動する必要はありません。

どの有酸素運動が適しているかは体力や好みによるため、自分に合う運動を選びましょう。

理想としては毎食後に15分間程度の有酸素運動を行うのが効果的ですが、仕事や家事の都合で時間を確保できない人もいます。

1日のなかで2〜5分間の軽い有酸素運動を複数回行った場合でも、毎日継続した場合は糖尿病予防として有効です。

忙しい人は毎日の隙間時間にその場で足踏みを3分程度行うなど、できる範囲で有酸素運動を継続してください。

余裕がある人は無酸素運動の筋トレも取り入れて基礎代謝を向上させる

筋トレは基本的に無酸素運動ですが、筋肉量の増加は基礎代謝の向上につながります。

普段から運動する習慣がある人で、時間も確保できる場合は、有酸素運動と併せて筋トレも取り入れてみましょう。

筋トレのなかでも特に有効なのは、以下のような動作で筋肉への負荷を繰り返していくレジスタンス運動です。

  • スクワット
  • 腕立て伏せ
  • ダンベルの上げ下げ

上記の筋トレを激しく行うと、有酸素運動並みのエネルギー消費ができる場合もありますが、無理に激しくする必要はありません。

運動に慣れていないと筋トレを継続するのが難しくなるため、余裕がある人は取り入れてください。

ウォーキングなどの軽めの有酸素運動でも、継続的に動かしていると筋肉を維持できます。

睡眠不足やストレスは人間関係や生活環境から原因を探って解消する

生活環境から原因を探って解消

糖尿病リスクを高める要因として、見逃されがちなのは睡眠不足やストレスです。

どちらもメンタルを不安定にさせる要素であり、心身のバランスを整える自律神経が乱れて、血糖値を上げるホルモンを発生させます。

睡眠不足でストレスが増加する、もしくはストレスが原因で睡眠不足に陥るというように、お互いに悪影響を及ぼす要素でもあります。

糖尿病予防として、睡眠不足やストレスを発生させないためには、自分が眠れない原因や普段からストレスを感じる部分を探っていきましょう。

睡眠不足やストレスを発生させる主な原因は、以下のとおりです。

  • 人間関係:職場の人や友人との付き合い、家族との関係性など
  • 仕事:労働時間や待遇、営業や接客業における対応など
  • 生活環境:居住地の物音や利便性など
  • 将来:持病の悪化、老後の貯金など
  • 情報過多:SNS等で必要のない情報、不快な内容を閲覧する

原因がわかった後はまとまった休息を取ったり、対象から距離を置いたりして、不満やストレスを解消していきます。

睡眠不足はインスリンの働きを低下させて食べ過ぎるホルモンを発生させる

睡眠不足が続いている場合、インスリン抵抗性の発生や食欲を増進させるホルモンから血糖値を急上昇させる可能性が高まります。

インスリン抵抗性は一晩でも寝られない日があると発生する可能性があり、インスリンの働きが低下して、上昇した血糖値を下げられません。

ホルモンの作用については、食欲を抑制するホルモンのレプチンと食欲を増進させるホルモンのグレリンが関係します。

睡眠不足からレプチンが十分に分泌されない場合、グレリンのほうが優位になり、食べすぎによる血糖値の急上昇につながります。

十分な睡眠は糖尿病以外の病気も予防できるため、しっかり睡眠を取りましょう。

ストレスから複数のホルモンの作用によって血糖値が急上昇する

体内で作用するホルモンのうち、血糖値を下げられるホルモンはインスリンのみです。

一方、血糖値を上げるホルモンはアドレナリンやコルチゾール、甲状腺ホルモンなど複数の種類が存在しています。

何らかの原因でストレスを感じた場合、自律神経の交感神経が活性化されて、アドレナリンを始めとした複数のホルモンが分泌されます。

そのため、常にストレスを感じている人は、普通の人よりも血糖値の急上昇が発生する可能性が高い状態です。

目に見えない要素ではありますが、気分の落ち込みや眠れないなど、心理的な疲労を感じている場合はストレスを解消していきましょう。

日常的に飲酒や喫煙をする人は糖尿病予防のために止める選択も必要である

日常的な飲酒と喫煙の見直し

糖尿病予防するにあたって、日常的に飲酒や喫煙をする人は、嗜む量や回数を見直す必要があります。

飲酒については適量で摂取した場合、血糖コントロール状態を良くして、ストレス解消効果も期待できます。

しかし、飲み過ぎると食欲増進や中性脂肪の合成促進から血糖値を上昇させるため、普段から嗜む人は適量の摂取を心がけましょう。

お酒に含まれるアルコールは1日あたり20〜25gが適量であり、アルコール分解速度が遅い人の場合は半分の10g程度が適量といわれています。

お酒の種類は糖質が多い甘いワインやカクテルは避けて、ビールや蒸留酒などが適しています。

一方、喫煙については吸い続けると糖尿病を含めて多くの病気を発症させる原因になるため、糖尿病予防に限らず吸うのは推奨できません。

糖尿病予防を始めるのをきっかけに、禁煙も始めてみてください。

糖尿病予防を始めても定期的に糖尿病検査をして医師の意見を聞く

食事や運動などの糖尿病予防を始めたとしても、自身の血糖値の状態を正確に把握するには、専門的な検査が必要です。

糖尿病予防の効果を実感するためにも、会社等の健康診断だけでなく、半年に1回などの頻度で定期的に糖尿病検査を受けましょう。

検査した日や検査結果を受け取る日に医師の診察を受けておくと、糖尿病予防を始めてからの変化を共有して、今後の方針も決められます。

万が一、血糖値が上昇していた場合でも、糖尿病検査を受ける機会が多いと症状が進む前に発見できます。

糖尿病検査は内科や泌尿器科などで受けられるため、かかりつけの病院で定期的な検査を受けてください。

糖尿病予防を始めて日常的に血糖値やインスリンの分泌を安定させる

糖尿病のなかでも日本において発症率が高いのは2型糖尿病であり、生活習慣の悪化が原因で発症する可能性が高まります。

糖尿病予防としては食事や運動、睡眠不足などを改善して、血糖値の急上昇やインスリンの分泌低下を防いでいきます。

食事では糖質や脂質の摂取量を医師と相談しながら調整しつつ、食物繊維の摂取量を増やすのが有効です。

運動は毎日継続して有酸素運動を行うと糖尿病予防につながり、忙しい場合は数分程度の軽い運動を繰り返すだけでも効果があります。

定期的な糖尿病検査から自身の健康状態を把握して、無理なくできる範囲で糖尿病予防を継続していきましょう。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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