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血糖管理が変わる!セカンドミール効果を日常に取り入れるポイントを解説

日常に取り入れるポイント

通常、食事をすると血糖値は上昇しますが、食後の血糖値が高いと糖尿病や動脈硬化を引き起こす可能性があります。

さらにこれらが進行すると、糖尿病による三大合併症や脳梗塞、心筋梗塞などの命にかかわる重大な病気を招くリスクが高まります。

このような病気の予防には、セカンドミール効果を活用した血糖管理が効果的です。

この記事では、適切な血糖管理に有効なセカンドミール効果を日常に取り入れるポイントについて解説します。

この記事で分かること
  • 血糖コントロールにはセカンドミール効果の活用が有効
  • セカンドミール効果を高めるための食事例
  • セカンドミール効果は生活習慣病の予防に役立つ
  • 具体的にセカンドミール効果を日常に取り入れるポイント

セカンドミール効果を取り入れるポイントとして、具体的な食事例や食事の時間間隔、食べ方なども紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

目次

セカンドミール効果とは昼食後の血糖値に影響を与える現象

セカンドミール効果とは、最初の食事内容が次の食事後の血糖値に影響を与える現象のことです。

実際にセカンドミール効果を検討するために、以下の3つのグループに分けて朝食を摂取し、3時間後の昼食には3グループとも同じ市販栄養食品を食べるという実験が行われています。

  1. 大豆焼菓子
  2. 米菓子
  3. 何も食べない

実験では、大豆焼菓子を食べたグループは朝食後だけでなく、昼食後の血糖値も下がったという結果が得られたとされています。

さらに以下の2つのグループに分けて同様の試験を行った研究では、白米ご飯を食べたグループよりも大麦混合ご飯を食べたグループの方が、朝食後とともに昼食後の血糖値が抑えられると確認されています。

  1. 白米ご飯
  2. 大麦混合ご飯

これらの研究からも分かるように食物繊維を含む食事をすると、腸内での消化や吸収が緩やかになり、インスリンなどの血糖値を調整するホルモンや食欲を調節するホルモンの分泌もスムーズになります。

このセカンドミール効果の活用により、血糖値が安定して糖尿病予防や肥満対策にも役立つとされています。

セカンドミール効果を適切に活用して健康を維持するためにも、はじめにセカンドミールに関する正しい知識を身につけましょう。

血糖コントロールにはセカンドミール効果の活用が有効

セカンドミール効果の活用が有効

適切な血糖コントロールには、セカンドミール効果の活用が有効です。

朝食に穀類や豆類などの食物繊維を豊富に含む食品を摂取すると、昼食後の食後高血糖を抑制できます。

食物繊維は体内で消化や吸収されずに大腸まで達し、腸内で糖質を包み込んで緩やかに吸収させるため、血糖値の急激な上昇を抑制するのです。

さらに体内では、食物繊維をエサとして腸内の善玉菌が短鎖脂肪酸を作り、短鎖脂肪酸は消化管ホルモンの一種であるグルカゴン様ペプチド-1の分泌を促進します。

グルカゴン様ペプチド-1はインスリンの分泌を促進して、血糖値の上昇を抑制します。

上記のようにセカンドミール効果は血糖値を安定させるため、意識的に取り入れるのが効果的です。

セカンドミール効果により血糖値が安定すると、糖尿病や肥満の予防にもつながるため、積極的に活用しましょう。

セカンドミール効果を高めるための食事例を知ろう

朝食の食事内容が重要

セカンドミール効果を高めるためには、具体的な食事例を知るのが大切です。

セカンドミール効果は朝食の食事内容が重要で、以下のような食材が朝食に適しています。

低GI食品

食品類食材例
穀類玄米そば
粉類全粒粉パン
ライ麦パン
きのこ類えのき
しめじ
肉類鶏肉
豚肉
牛肉
魚類まぐろ
しらす
海藻類昆布
もずく
青のり
野菜類トマト
ブロッコリー
果物類グレープフルーツ
りんご
いちご
乳製品牛乳
プレーンヨーグルト
チーズ
大豆食品納豆
豆腐

食物繊維が豊富な食材

食品類食材例
穀物類玄米
麦ごはん
オートミール
全粒粉パン
ライ麦パン
そば
きのこ類きくらげ(乾燥)
干ししいたけ
まいたけ
えのき
しめじ(生)
しいたけ(生)
豆類あずき
大豆
いんげん豆
きなこ
えんどう豆
うずら豆
煮豆
枝豆
挽きわり納豆
海藻類ひじき(乾燥)
わかめ(乾燥)
刻み昆布
焼きのり
寒天
果物類干し柿
いちじく(乾燥)
グレープフルーツ

プルーン(乾燥)
アボカド
バナナ
みかん
りんご
野菜類切り干し大根(乾燥)
にんじん
パセリ
セロリ
ふき
アスパラガス
ごぼう
かぼちゃ
キャベツ
ほうれん草
白菜

たんぱく質が豊富な食材

食品類食材例
肉類鶏ささみ
鶏むね
豚もも
豚ロース
牛もも
魚介類マグロ

カツオ
ブリ
サバ
アジ
卵類鶏卵
うずら卵
大豆食品木綿豆腐
絹ごし豆腐
がんもどき
こしあん
豆乳
油揚げ
厚揚げ
おから
乳製品ナチュラルチーズ
プロセスチーズ
牛乳
ヨーグルト
植物性生クリーム
野菜枝豆
モロヘイヤ
たけのこ
大豆
もやし
芽キャベツ
そら豆
とうもろこし
穀物類オートミール
玄米
そば
うどん
マカロニ
スパゲッティ

上記のような低GI食品や食物繊維、たんぱく質が豊富に含まれた食材を朝食に取ると、昼食後の血糖値の急激な上昇を抑制できます。

低GI食品とは、食品に含まれる糖質の吸収度合いを示すGI値が55以下の食品のことです。

食材ごとにGI値が設けられているため、血糖値の上昇が緩やかな低GI食品を意識的に選択するのが大切となります。

食物繊維は糖質の吸収を遅らせるため、食後血糖値の上昇を緩やかにします。

さらにたんぱく質は消化や吸収が緩やかなため、たんぱく質を一緒に取ると糖質の吸収が遅くなり、血糖値の急激な上昇を抑制できるのです。

他にもたんぱく質は、食後血糖値の上昇を緩やかにする働きをもつインクレチンというホルモンの分泌を促進します。

インクレチンにはインスリンの分泌を促進したり、胃の運動を抑制したりする働きがあるため、この働きによって血糖値の急激な上昇を抑制します。

セカンドミール効果を高めるためには、このような低GI食品や食物繊維、たんぱく質が豊富な食材を選ぶのが理想的です。

具体的には、以下のように組み合わせて食べるのが血糖コントロールに適しています。

  • 全粒粉パン+卵+野菜スープ
  • 雑穀ごはん+魚+味噌汁
  • オートミール+無糖ヨーグルト+ナッツ+果物
  • 納豆ごはん+わかめの味噌汁+卵
  • グラノーラ+牛乳+果物

上記のような食事を朝食に取り入れると1日を通して安定した血糖状態を保てるため、はじめは自分の食生活にあった工夫から取り入れてみるのがよいでしょう。

注目が集まっているセカンドミール効果は生活習慣病の予防に役立つ

生活習慣病の予防に役立つ

近年、健康維持や生活習慣病の予防に役立つ対策としてセカンドミール効果に注目が集まっています。

朝食に食物繊維やたんぱく質が豊富な食事を取ると、セカンドミール効果により昼食後の血糖値の急激な上昇を抑制できます。

このセカンドミール効果は糖尿病の人や糖尿病予備軍の人のみでなく、健康な人にも有益です。

日常的にセカンドミール効果を意識した食事の取り入れによって、食後高血糖のリスクを減らして安定した血糖コントロールが期待できます。

さらにセカンドミール効果をうまく取り入れて血糖値が安定すると、生活習慣病の予防のみでなく集中力が向上したり、眠気やイライラが軽減されたりして結果的にパフォーマンスの維持につながります。

セカンドミール効果に関する研究は世界中で行われており、薬に頼らず、日常の食生活の工夫のみで血糖変動を抑えられるという点が評価されているのです。

実際に糖尿病患者や糖尿病予備軍の人の食事療法において、セカンドミール効果を考慮した栄養指導を行っている医療機関もあります。

セカンドミール効果の細かい仕組みは明らかになっていませんが、朝食に血糖値の上昇を抑制すると昼食後の血糖値も抑制できると世界中で数多く報告されています。

そのため、日常の食生活に積極的にセカンドミール効果を取り入れるのがよいでしょう。

セカンドミール効果を日常に活かすためのポイントを理解しよう

血糖モニタリングの活用

セカンドミール効果を日常に最大限活かすためにはいくつかポイントがあり、ポイントを理解したうえで取り入れるのが重要です。

具体的に日常でセカンドミール効果をうまく活かすためのポイントとしては、以下が挙げられます。

  • 朝食を抜かない
  • 食物繊維を意識的に取る
  • たんぱく質を取り入れる
  • 食べる時間の間隔を均等にする
  • 野菜を最初に食べる

朝食を抜いてしまうと、セカンドミール効果が得られず、昼食後の血糖値が上昇してしまいます。

セカンドミール効果を得るためには、朝食をしっかり摂取する必要があります。

さらに最初に野菜から食べ、食物繊維やたんぱく質を意識的に摂取するのも大切です。

ただし、栄養バランスが崩れると以下のようなさまざまな健康問題を引き起こすリスクが高まります。

  • 体重減少
  • 筋力低下
  • 貧血
  • 倦怠感や疲労感
  • 集中力低下
  • 免疫低下
  • 生活習慣病のリスク増加
  • 便秘や胃腸障害

上記のような健康問題を招かないためにも、栄養バランスの良い食事をするのが大切となります。

他にも一般的にセカンドミール効果は4〜5時間程度持続するといわれているため、朝食と昼食の間隔は4〜5時間前後にするのが効果的です。

セカンドミール効果の強さは腸内環境やインスリン感受性などの違いにより個人差があるため、自分で継続的な血糖モニタリングを行うのが重要となります。

継続的な血糖モニタリングを行うと、効果的な食事や時間の間隔などが把握できるようになります。

セカンドミール効果をより効果的に日常に活かすためにも、血糖モニタリングを継続的に行うようにしてください。

セカンドミール効果は毎日の食事に少し工夫を加えるのみで、血糖値の安定や健康維持に役立つため、上記のポイントを意識的に取り入れてみましょう。

セカンドミール効果を理解して血糖管理に役立てる

セカンドミール効果は、食事と血糖値の関係を見直すうえで有用です。

セカンドミール効果をうまく活用すると、血糖値の急激な上昇を予防して肥満や糖尿病予防に役立ちます。

さらに血糖値が安定すると眠気や集中力の低下が起きず、仕事や勉強のパフォーマンスにも良い影響を与えます。

セカンドミール効果を継続的に活用するためには、朝食の食事内容や食事の時間間隔などのポイントに着目して意識的に取り入れるのが大切です。

セカンドミール効果を正しく理解して、日々の食生活に適切な工夫の取り入れによって無理なく血糖管理が行えるようになります。

さまざまな病気を予防して健康を維持するためにも、はじめは自分のできる範囲から積極的に取り入れましょう。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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