近年、健康志向の高まりにより、炭酸水が注目を集めています。
炭酸水とは二酸化炭素が溶け込んだ水のことで、さまざまな健康効果が期待できます。
血糖値を上げずに水分補給ができるため、血糖値が気になる人の飲み物にも最適です。
今回は炭酸水の健康効果や選び方、飲み方のコツについてまとめました。
- 飲み物は血糖値に影響を与える
- 炭酸水が持つ健康効果
- 炭酸水の選び方と飲み方のコツ
炭酸水が血糖値に及ぼす影響が気になる人は、ぜひ最後までご覧ください。
血糖値は食べ物だけでなく日頃飲んでいる飲み物にも影響を受ける
血糖値は食べ物だけでなく日頃飲んでいる飲み物にも影響を受けるため、血糖値が気になる人は飲み物の選択が重要です。
飲み物に含まれる糖質は、血糖値を上げる要因となります。
飲み物は食べ物よりも吸収が早く、血糖値が急激に上がる可能性があるでしょう。
糖質が多い飲み物を飲む習慣は、高血糖につながります。
高血糖とは血液中のブドウ糖の濃度が高い状態のことで、糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病を引き起こします。
国民の5〜6人に1人は、糖尿病または糖尿病予備群であるとされています。
参照元:令和元年国民健康・栄養調査結果の概要 – 厚生労働省
高血糖や生活習慣病を予防するには、健康的な食生活と適度な運動を心がける必要があります。
健康的な食生活を意識している人々の間で注目されているのが、炭酸水です。
炭酸水はダイエットや健康に対する良い効果が期待できる

炭酸水を飲むと体内に二酸化炭素が取り入れられるため、ダイエットや健康に対する良い効果が期待できます。
炭酸水に期待できる健康効果は、以下のとおりです。
- ダイエットにつながる
- 便秘を解消する
- 血行を促進する
- 疲労回復に役立つ
近年は美容分野でも炭酸が注目されており、炭酸を使ったシャンプーや洗顔料、美容液などが販売されています。
他にも料理や温泉など、幅広い分野で炭酸が活用されています。
炭酸の刺激には爽快感が感じられるため、気分のリフレッシュにも効果的です。
ここでは、炭酸水が健康に良い影響を与えるしくみについて解説します。
炭酸水を飲むと自然に食事量が減りダイエットにつながる
炭酸水の摂取によって満腹中枢が刺激され、自然に食事量が減ってダイエットにつながります。
二酸化炭素の気泡が胃の中に充満して胃が膨らみ、食欲が減退します。
ダイエットや肥満予防が目的の場合は、食前に炭酸水を飲むのが効果的です。
胃が膨らんで空腹感が減り、食べ過ぎを予防できます。
満腹感を感じるまでには15分以上かかるといわれているため、食事の15分〜30分前に炭酸水を飲むようにしましょう。

食べ過ぎによる肥満は、糖尿病や高血圧などの生活習慣病の原因となります。
肥満と血糖値は密接に関係しており、脂質異常がある人の中には糖尿病や高血圧を合併している人が多くいます。
肥満がある人は、インスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性を引き起こすリスクが高まるためです。
インスリン抵抗性によって血糖値が高い状態が続くため、糖尿病を発症するリスクが高まります。
適正な体重を維持する体重管理は、生活習慣病の予防や改善に役立ちます。

肥満によるすい臓機能の低下で、インスリンの効き目が悪くなり血糖値が下がりにくくなります。
ポリフェノールの一種にはインスリンの効果を高める機能がありますので、普段の生活に取り入れていくのもオススメです。
薬科大学・国立大学が注目するポリフェノール研究
炭酸水によって腸の動きが活発になり便秘を解消する効果がある
炭酸水によって腸が刺激されて動きが活発になり、便秘を解消する効果があります。
炭酸水に含まれる二酸化炭素には、便をやわらかくする働きがあるためです。
二酸化炭素は胃を刺激して胃酸の分泌を助け、消化も促進します。
消化を促進する働きも大腸のぜん動運動につながり、便通の改善に有効です。


大腸のぜん動運動には排便を促す働きがあり、動きが弱まると便秘を引き起こします。
水分不足は便が硬くなる原因の1つであり、炭酸水による水分補給も便をやわらかくするのに役立ちます。
炭酸の刺激が腸を目覚めさせるきっかけとなり、便通を促進させます。
血管を広げるホルモンが分泌されて血行改善が期待できる


炭酸水を飲むと血管を広げるホルモンが分泌されて血管が拡張し、血行改善が期待できます。


血管に二酸化炭素が吸収されて血液中の二酸化炭素の濃度が上がり、体が酸素を供給しようとするためです。
血行が良くなると全身に血液が行き届き、細胞に十分な酸素や栄養素が運ばれます。
さらに老廃物がスムーズに排出されて体内の循環が良くなり、体に以下のような良い影響をもたらします。
- 新陳代謝が上がる
- 冷え性や肩こりが改善する
- 体内の老廃物が排出される
- 免疫機能が上がる
- むくみが解消される
- 動脈硬化や循環器系疾患を予防できる
動脈硬化とは血管が硬くなった状態のことで、血液の流れが悪くなります。
高血糖の状態が慢性的に続くと動脈硬化が進行するため、糖尿病は動脈硬化を進行させる原因の1つです。
血行改善によって血管が硬くなるのを防ぎ、動脈硬化や循環器系疾患を予防できます。
炭酸水の血行を促進する働きは肌の表面からも作用するため、洗顔や入浴、シャンプーによって肌や髪に効果が得られます。
疲労物質などの老廃物が体外に排出されて疲労回復に役立つ
炭酸水の血行を促進する働きによって疲労物質などの老廃物が体外に排出され、疲労回復に役立ちます。


他にも炭酸水の消化を促進する働きは胃腸を助け、疲労回復につながります。
血糖値を安定させるには適度な運動が大切ですが、炭酸水は運動後の疲労回復にも効果があります。
炭酸水に含まれる重炭酸は筋肉に蓄積した乳酸と結びつき、体外に排出させる役割を果たします。
疲労回復を目的とする場合は、運動後や入浴後に飲むのが効果的です。
血行が促進され、スムーズな疲労回復が期待できます。
炭酸水には今回紹介したような健康効果がありますが、含まれている成分によって血糖値への影響が異なります。
炭酸水は糖質の有無によって血糖値に与える影響が異なる


現在さまざまな炭酸水が販売されており、糖質の有無によって血糖値に与える影響が異なります。
天然炭酸水は採水の時点で二酸化炭素が含まれており、まろやかな口当たりが特徴です。
特にヨーロッパで多く販売されており、一般的に飲まれています。
一方、人工炭酸水は水に二酸化炭素を圧入して作られるため、炭酸の濃度や強さを調整できます。
人工炭酸水は商品によって糖質の量が異なり、無糖と加糖に分類されます。
無糖の炭酸水は糖質がほとんど含まれておらず血糖値に影響しない
無糖の炭酸水は糖質がほとんど含まれていないため、血糖値に影響を与えずに水分補給が可能です。
飲み物に含まれている糖質の量は、パッケージや栄養成分表示でわかります。
炭酸水を含む清涼飲料水は糖質の量によって無糖や低糖、微糖と表示されます。
清涼飲料水の糖質に関する表示基準は、以下のとおりです。
表示 | 飲料100mlあたりの糖質量 |
---|---|
無糖 | 0.5g未満 |
低糖、微糖 | 2.5g以下 |
参照元:清涼飲料水のQ&A – 一般社団法人 全国清涼飲料連合会
無糖と表示されている炭酸水は糖質量が少なく、血糖値が急激に上がるのを防げます。
ただし無糖や低糖、微糖と表示された飲み物にも糖質が全く含まれていないわけではありません。
清涼飲料水は食物繊維が少ない商品が多いため、炭水化物の量が糖質量とほぼ同じになります。
加糖の炭酸水は血糖値を急激に上げてしまう可能性がある
加糖の炭酸水は血糖値を急激に上げてしまう可能性があるため、糖尿病患者や血糖値が気になる人は避けるべきです。
炭酸水の中には、甘味を出すために砂糖を加えた加糖の炭酸水もあります。
炭酸飲料は炭酸水に甘味料や香料を加えた物で、糖質が多く含まれています。
GI値が高いほど血糖値が急激に上昇するため、継続的な摂取によって高血糖やインスリン抵抗性を招きます。
健康に留意して炭酸水を飲む場合は、無糖の商品を選ぶようにしましょう。
カロリーゼロの飲み物には砂糖の代わりに人工甘味料が使われている
カロリーゼロの飲み物には、砂糖の代わりに化学的に合成された人工甘味料が使われています。
人工甘味料は化学的に合成して作られた甘味料で、砂糖よりも少量で甘味を感じられます。
人工甘味料は味覚や腸内環境に作用し、糖代謝に影響を与えると考えられているためです。
味覚が甘味に慣れてしまい、より甘味を欲するようになる恐れもあります。
他にも低カロリーやカロリー控えめと表示されている商品は、糖質が少ないとは限りません。
カロリーと糖質は必ずしも比例せず、清涼飲料水は100mlあたり20kcal以下の場合に低カロリーやカロリー控えめと表示できます。
参照元:清涼飲料水のQ&A – 一般社団法人 全国清涼飲料連合会
味覚の感じ方は個人差があるため、甘さ控えめなどの表示はメーカーによって基準が異なります。
血糖値が気になる人は、含まれている糖質の量を確認して飲み物を選ぶようにしましょう。
日常的に糖質が少ない飲み物を飲む習慣が健康の維持につながる


日常的に糖質が少ない飲み物を飲む習慣が生活習慣病の予防となり、健康の維持につながります。
生活習慣病の予防にはバランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠が効果的です。
飲み物は食事に比べて変えるのが簡単なため、忙しい人や自炊をしない人もすぐに実践できます。
特に血糖値が高い人は、以下の理由から飲み物の選択が大切です。
- 飲み物が血糖値を上げる原因になる
- 無糖の飲み物は血糖値コントロールに役立つ
- 無糖の炭酸水はリフレッシュや食べ過ぎの予防に効果的
日常的に口にする飲み物は血糖値に影響を与え、糖尿病の予防に役立ちます。
飲み物に含まれている糖質は血糖値を上げる直接的な原因になる
飲み物に含まれている糖質は食べ物よりも早く吸収され、血糖値を上げる直接的な原因となります。
以下は、糖質が多く含まれる飲み物の具体例です。
- 炭酸飲料
- 加糖の紅茶やカフェオレ
- スポーツドリンク
- 果物のジュース
- アルコール飲料など
これらの飲み物には糖質が多く含まれており、飲むと血糖値が急激に上がる恐れがあります。
紅茶やコーヒーには血糖値の上昇を抑えるポリフェノールが含まれていますが、糖質が多く含まれている商品は悪影響を及ぼします。
スポーツドリンクは激しい運動時や汗をかいた時の水分補給には適していますが、日常的に飲むのは避けるべきです。
アルコール飲料の飲み過ぎは、インスリン抵抗性の原因となります。
参照元:アルコール – 厚生労働省
血糖値が気になる人は、普段から糖質の多い飲み物を避けたほうがよいでしょう。
日常的に無糖の飲み物を飲む習慣が血糖値コントロールに役立つ
日常的に無糖の飲み物を飲む習慣は血糖値への影響が少なく、血糖値コントロールに役立ちます。
血糖値は飲食によって上昇しますが、インスリンの働きで一定の範囲内に保たれています。
しかし食後から2時間後の血糖値が140mg/dL以上の状態を食後高血糖と呼び、糖尿病をはじめとしてさまざまな疾患を引き起こします。
血糖値コントロールは糖尿病の予防や改善につながり、合併症の予防にも効果的です。
血糖値を安定させるためには食事だけでなく、飲み物にも気を配る必要があります。



血糖値のコントロールには、普段からの改善対策が必要となります。
特に食事面での見直しを考えられている場合は、こちらのページも参考にしてください。
無糖の炭酸水は食べ過ぎの予防やリフレッシュに効果がある
無糖の炭酸水は食べ過ぎの予防やリフレッシュに効果があり、体重管理やダイエットに役立ちます。
血糖値が気になる人の中には、体重管理に悩んでいる人もいるでしょう。
適切な体重管理は脂肪の蓄積や肥満を防ぎ、生活習慣病の予防にもつながります。
炭酸水を食前に飲むと満腹感が感じられるため、自然と食事量を抑えられます。
炭酸水は炭酸独特の爽快感があり、リフレッシュにも効果的です。
間食が食べたくなった時に炭酸水を飲むと、気分を紛らわせます。
水やお茶では物足りない人、炭酸飲料をよく飲む人は代わりの飲み物として炭酸水が1つの選択肢です。
無糖の炭酸水には多くの利点がありますが、飲み方によって体に悪影響を与えてしまう可能性があります。
無糖の炭酸水を効果的に取り入れるには飲み方の工夫が大切


無糖の炭酸水を効果的に取り入れるには、以下のような飲み方の工夫が大切です。
- 常温に戻し量を多く飲み過ぎない
- 就寝2時間前や胃腸の調子が悪い時は控える
- 飲んだ後にうがいをする


炭酸水は水に二酸化炭素が加わっているため、さまざまな健康効果が期待できます。
気泡が見えなくなっても水の中には二酸化炭素が溶け込んでおり、効果が持続します。
二酸化炭素の刺激は体の状態によって負担になる可能性もあるため、ここからは飲み方のポイントを解説します。
炭酸水は常温に戻し量を多く飲み過ぎないようにする
体に負担をかけずに炭酸水を飲むには常温に戻し、量を多く飲み過ぎないようにするのがポイントです。
冷たい炭酸水は胃腸への刺激が大きくなり、消化器官の不調につながります。
炭酸水を一度にたくさん飲むと、腹痛や下痢を引き起こす原因になります。
特に逆流性食道炎や過敏性腸症候群がある人は症状が悪化する可能性があるため、炭酸水を飲む時は温度や量に気を配りましょう。
冷たい炭酸水には、体温を下げる働きもあります。
冷え性の人や体の冷えが気になる人は常温で飲むと、冷えが悪化するのを防げます。
炭酸水の血行を促進する働きは、体の冷えを改善するのに効果的です。
胃腸の調子が悪い時や就寝2時間前は炭酸水を飲むのは控える
胃腸の調子が悪い時や就寝2時間前は炭酸水が体に悪影響を及ぼす恐れがあるため、飲むのを控えたほうがよいでしょう。
胃もたれや下痢をしている時は二酸化炭素の刺激が体の負担となり、症状の悪化につながります。
胃腸が弱い人が空腹時に炭酸水を飲むと胃もたれや胃痛の原因となるため、食事中や食後に少量ずつ飲むのがおすすめです。
炭酸水は、一時的に交感神経を刺激して寝つきを悪くする可能性が指摘されています。
睡眠を妨げないために炭酸水を控える目安は、就寝2時間前です。
炭酸水を飲んですぐ横になると、胃酸の逆流を引き起こす可能性もあります。
酸蝕歯になるのを防ぐには炭酸水を飲んだ後にうがいをする


歯のエナメル質が溶けてしまう酸蝕歯になるのを防ぐには、炭酸水を飲んだ後にうがいをするのが効果的です。
酸蝕歯になると熱い物や冷たい物が歯にしみる、歯が黄ばむなどの症状が現れます。
通常は口腔内がpH7前後の中性に保たれていますが、酸性の強い飲食物によって酸性に傾きます。
無糖の炭酸水はpH5前後であり、すぐに酸蝕が起こる心配はありません。
しかしこまめに炭酸水を飲んでいると歯に酸性の物が触れる時間が長くなり、酸蝕が起こるリスクが高まります。
就寝中は唾液の分泌が少なくなるため、就寝前に炭酸水を飲むのも酸蝕歯の原因となります。
無糖の炭酸水を日常的に取り入れる際は、今回紹介したポイントを意識してみてください。
無糖の炭酸水は健康効果があり血糖値を上げずに水分補給ができる
無糖の炭酸水にはさまざまな健康効果があり、血糖値を上げずに水分補給ができます。
食事量の減少や便秘の解消、血行改善など、血糖値が気になる人にもうれしい効果があります。
糖質がほとんど入っていないため、血糖値に影響を与える心配がありません。
飲み物は食べ物に比べて吸収が早く、日常的に口にする飲み物が血糖値に影響します。
ただし炭酸水は体の負担になる場合もあるため、飲み方には工夫が必要です。
今回紹介したポイントを意識し、日頃の水分補給に無糖の炭酸水を取り入れてみてください。