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血糖値への影響が小さくなる野菜ジュースの飲用について徹底解説

野菜ジュース選びと摂取方法

市販されている野菜ジュースは、野菜のしぼり汁を抵抗なく飲めるように加工された飲み物であり、ビタミンやカリウムなどの栄養素が含まれています。

そのため、野菜不足を感じている人にとって手軽に摂取できる飲料であり、毎日のように飲んでいる人も少なくありません。

しかし、野菜ジュースの多くは糖質を含んでおり、中には血糖値が大きく上昇する可能性があるものもあります。

つまり、野菜ジュースが血糖値に与える影響を理解しないまま摂取した場合、糖尿病や肥満に陥る可能性があるということです。

この記事では、野菜ジュースと血糖値の関係について詳しく解説しています。

この記事でわかること
  • 主に野菜ジュースに含まれる食物繊維と糖質が血糖値に影響を与える
  • 市販されている野菜ジュースに含まれる食物繊維は少ない
  • 糖質が少ない野菜ジュースは野菜のしぼり汁100%のものである
  • 野菜ジュースのパッケージで含まれる野菜のしぼり汁の割合は推測できる
  • 野菜ジュースの中では無糖や糖質オフ、青汁が血糖値への影響が小さい

血糖値が気になる人や頻繁に野菜ジュースを飲んでいる人は、是非参考にしてください。

目次

血糖値上昇を避けるためには野菜ジュース選びと摂取方法が重要である

野菜ジュースは原材料である野菜本来の糖質が含まれており、そしゃくが必要な野菜よりも吸収が速い液体であるため、飲用後に血糖値が上昇する可能性は高いです。

糖質とは炭水化物の中で食物繊維を除いたものであり、血糖値を上昇させるブドウ糖や果物に多く含まれる果糖などの単糖類やショ糖などの二糖類、多糖類などがあります。

野菜ジュースの中には血糖値が大きく上昇するものもあり、これらの過剰な摂取によって糖尿病や肥満などの生活習慣病になる可能性があります。

したがって血糖値の大きな上昇を避けられるように、野菜ジュースの選択と摂取方法の2点が重要です。

血糖値の影響が小さい野菜ジュースの代表的な特徴は、以下のとおりであるため、飲用前にはパッケージに記載されている成分表などを確認する必要があります。

  • 食物繊維が多い
  • 糖質が少ない
  • ストレートタイプである

一方で野菜ジュースの摂取方法においては、血糖値へ大きな影響がある摂取量とそのタイミングが重要です。

野菜ジュースは無計画に飲用すると糖尿病や肥満のリスクが高いですが、適切な量とタイミングで血糖値への影響が小さいものであれば血糖値の上昇は抑えられます。

さらに、不足している栄養素を補える飲料であるため、正しい知識に基づいて飲用しましょう。

野菜ジュースに含まれる食物繊維が多いほど血糖値の上昇が緩やかになる

血糖値の上昇が緩やかになる

野菜ジュースは野菜よりも食物繊維が少なく、血糖値が大きく上昇する可能性が高い飲料であるため、食物繊維が少しでも豊富なものを選ぶ必要があります。

食物繊維とは、人間の消化酵素では分解できない成分の総称のことであり、野菜に多く含まれている栄養素の1つです。

食物繊維は摂取すると消化されないまま大腸に到達するため、糖質の吸収を抑える効果があり、この働きによって血糖値の上昇が緩やかになります。

さらに食物繊維には、以下の特徴や効果がある水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2つがあり、バランス良い摂取が必要です。

食物繊維特徴効果
水溶性食物繊維水に溶けてゼリー状になる・便を柔らかくする
・血糖値の上昇を抑える
・コレステロールの吸収を抑制
不溶性食物繊維水にほとんど溶けず、大腸でふくらむ・便のかさ増し
・便通が良くなる
・デトックス効果
・糖質の吸収を妨げる

上記の不溶性食物繊維は、しぼりかすに多く含まれているため、野菜のしぼり汁である野菜ジュースにはほとんど含まれていません。

したがって、野菜ジュースでは水溶性食物繊維が相対的に多くなっており、過剰な摂取は下痢や便秘の原因となります。

主な野菜の可食部100gに含まれている食物繊維の量は、以下のとおりです。

野菜水溶性食物繊維不溶性食物繊維食物繊維の総量
キャベツ0.4g1.4g1.8g
にんじん0.6g1.8g2.4g
トマト0.3g0.7g1.0g
きゅうり0.2g0.9g1.1g
ピーマン0.6g1.7g2.3g
ブロッコリー1.0g3.3g4.3g

野菜ジュースには上記の水溶性食物繊維のみが含まれているため、食物繊維の量は野菜と比べて大幅に減少しており、血糖値の上昇を抑える効果が低下しています。

さらに野菜ジュースの製造過程において加熱処理を行った場合は、食物繊維やビタミンの量は減少してしまい、血糖値の上昇抑制効果は見込めなくなります。

一方で、野菜ジュースの中には難消化性デキストリンなどの食物繊維を人工的に加えているものもあります。

難消化性デキストリンは、でんぷんから作られた水溶性食物繊維であり、特定保健用食品や機能性表示食品でも使用されています。

市販されている一般的な野菜ジュース、および食物繊維を人工的に加えた野菜ジュースのそれぞれに含まれている食物繊維の量は、以下のとおりです。

野菜ジュース食物繊維の量
一般0~3.0g
食物繊維を人工的に加えたもの5.0g~7.0g

上記のとおり食物繊維を人工的に加えた野菜ジュースは、一般的なものと比べて食物繊維の量が大幅に多いため、血糖値抑制の効果が高くなります。

なお、厚生労働省の2020年版日本人の食事摂取基準では、18~64歳における1日当たり食物繊維の必要摂取量を以下のとおり性別ごとに定めています。

性別1日当たり食物繊維の必要摂取量
男性21g以上
女性18g以上

食物繊維を人工的に加えたものであれば、上記から算出できる1食あたりの食物繊維の必要摂取量を賄える可能性は高いです。

野菜ジュースの特性上、野菜よりも食物繊維が少なくなる点は避けられませんが、少しでも血糖値の上昇を抑制できるように飲用前に食物繊維の量は必ず確認しましょう。

野菜ジュースの糖質が少ないほど血糖値への影響は小さくなる

少しでも糖質が少ないもの

野菜ジュースには野菜が多く含まれており、それらの糖質によって血糖値が上昇する傾向にあるため、少しでも糖質が低いものを選ぶ必要があります。

野菜ジュースに含まれる代表的な野菜の糖質は、以下のとおりです。

野菜可食部100gあたりの糖質の量
キャベツ3.9g
にんじん5.9g
トマト3.1g
きゅうり1.9g
ピーマン2.3g
ブロッコリー2.3g

上記のとおり、いずれの野菜にも糖質が含まれており、これらを加工した野菜ジュース200mlには以下のように糖質が含まれています。

野菜ジュース含まれている糖質の量
KAGOME 野菜一日これ一本12.0g
伊藤園 1日分の野菜14.2g

茶碗1杯程度のご飯に含まれる糖質は約53.4gであるため、野菜ジュース1本の糖質は茶碗4分の1程度のご飯に相当します。

したがって、食事でこれらの野菜ジュースを飲用する場合は、ご飯を減らすなど糖質の調整が必要です。

一方で、野菜が苦手な人でも抵抗なく飲めるように果汁や砂糖を加えた野菜ジュースもありますが、野菜のみの野菜ジュースよりも血糖値への影響は大きくなります。

したがって、果汁や砂糖を加えた野菜ジュースは、血糖値が気になる人には向いていません。

これに対し、血糖値への影響が非常に小さい糖質カットや無糖の野菜ジュースも販売されています。

血糖値が気になる人は、糖質カットや無糖の野菜ジュースを飲用しましょう。

果汁や砂糖を加えた野菜ジュースの飲用は避ける必要がある

野菜ジュースの中にはりんごなどの果汁や砂糖が加えられているものもありますが、野菜のみのものよりも多くの糖質が含まれているため、血糖値が急上昇する可能性はさらに高くなります。

したがって、果汁や砂糖入りの野菜ジュースの摂取はできるだけ避ける必要があります。

代表的な果汁入りの野菜ジュース200mlに含まれている糖質の量は、以下のとおりです。

果汁入り野菜ジュース含まれている糖質の量
KAGOME 野菜生活100オリジナル15.8g
伊藤園 充実野菜 緑黄色野菜ミックス16.4g

上記のとおり果汁入り野菜ジュースには、果物に含まれている糖質も入っているため、野菜のみの野菜ジュースよりも糖質の量が多くなっています。

果汁に多く含まれている果糖は血糖値に直接影響を与える単糖類ではないものの、インスリンの働きを悪くするため、結果として血糖値は上昇する可能性が高いです。

さらに果糖には中性脂肪やコレステロールが増える作用があり、過剰摂取すると脂質異常症や脂肪肝になる場合があります。

野菜ジュースのパッケージには成分表が記載されているため、購入時に糖質の量を必ず確認しましょう。

名称でも糖質の多寡は判別できる

野菜ジュースの糖質多寡

野菜ジュースに含まれている糖質の多寡は、成分表以外にも名称でも把握できます。

野菜ジュースには以下のようにさまざまな名称がつけられていますが、果実飲料等の表示に関する公正競争規約及び施行規則で定められているため、各飲料メーカーが自由に決められるものではありません。

  • 野菜果実ミックスジュース
  • 野菜果実ミックス飲料
  • 野菜ミックス飲料
  • トマトジュース(濃縮トマト還元)
  • トマトミックスジュース
  • にんじんミックスジュース

上記のジュースや飲料などの表記は、以下のとおり野菜のしぼり汁や果汁の含有率によって決まります。

表記野菜のしぼり汁や果汁の含有率
ジュース100%ただし、砂糖類や蜂蜜等が原材料及び添加物に占める重量の割合が5%以下のものも含まれる
果汁入り飲料10%以上100%未満
その他飲料10%未満

果汁や野菜のしぼり汁が100%ではない果汁入り飲料やその他飲料は、多くの人が飲めるように砂糖などが加えられており、血糖値への影響は大きい傾向にあるため避ける必要があります。

一方でジュースは、含まれている野菜のしぼり汁や果汁100%で作られていますが、使用されている種類の数などによって以下の4つに分類されます。

ジュース野菜のしぼり汁や果汁の種類
野菜ジュース、果実ジュース1種類の野菜のしぼり汁もしくは果汁
野菜ミックスジュース、果実ミックスジュース2種類以上の野菜のしぼり汁もしくは果汁を混合したもの
果粒入り果実ジュース果汁に以下のいずれかの細切りを加えたもの
・かんきつ類の果実のさのう
・かんきつ類以外の果実の果肉
野菜果実ミックスジュース、果実野菜ミックスジュース果汁と野菜のしぼり汁を混合したもの
ただし、原材料及び添加物に占める重量の割合で50%を超えるものを先に記載

このように表記ルールが決まっているため、名称のみでも野菜ジュースのおおよその内容は把握が可能です。

血糖値への影響が小さい野菜ジュースを選択する場合は、1種類の野菜で作られた野菜ジュースもしくは野菜ミックスジュースの名称であるものを選びましょう。

パッケージデザインで野菜のしぼり汁や果汁の含有率がわかる

果実飲料等の表示に関する公正競争規約及び施行規則では、名称だけでなくパッケージデザインに関しても定められているため、野菜のしぼり汁や果汁の含有率がわかります。

野菜のしぼり汁や果汁の含有率使用できるパッケージデザイン
100%原材料の野菜のしぼり汁や果汁のしずくやスライスのイラストや絵、写真が使用できる
5%以上100%未満野菜や果物の断面は使用できないが、リアルな質感や立体感で描いた丸ごとのイラストや絵が使用できる
5%未満図案化した絵のみ使用できる
0%野菜や果物のイラストや絵、写真は一切使用できない

野菜のしぼり汁の含有率が100%である野菜ジュースが最も血糖値への影響が小さいため、しずくやスライスが記載してあるものを選びましょう。

1種類の野菜ジュースではGI値が低いほど血糖値の上昇は緩やかになる

血糖値の上昇が緩やか

1種類の野菜を使った野菜ジュースの中では、トマトジュースは比較的血糖値の上昇は緩やかです。

一方で、多く販売されているキャロットジュースは、血糖値が急上昇する可能性があります。

トマトジュースとキャロットジュースにおける200mlあたりの糖質や食物繊維の量は、以下のとおりです。

ジュース名糖質食物繊維
カゴメトマトジュース低温7.1g0.8~2.3g
カゴメにんじんジュース高β-カロテン14.6g0.1~2.0g

上記のとおりキャロットジュースのほうがトマトジュースよりも糖質が多く、食物繊維は少ないため、キャロットジュースのほうが血糖値への影響が大きくなります。

さらに、キャロットジュースのほうが血糖値への影響が大きい要因として、原材料となるトマトやにんじんに含まれる糖質の吸収度合を示すGI値の違いが原因として考えられます。

GI値とは、ブドウ糖を100とした場合の食品に含まれる糖質の吸収度合を数値化したもののことであり、トマトとにんじんのGI値は以下のとおりです。

トマト/にんじんGI値
トマト30
にんじん80

上記のとおりにんじんは高GI食品であるため、トマトジュースのほうが血糖値の上昇は緩やかな傾向にあります。

野菜ジュースの食物繊維や糖質の他にGI値も血糖値に影響を与えますが、複数の野菜をミックスした野菜ジュースの場合、原材料の割合が野菜ジュースによって異なるため正確なGi値はわかりません。

一方で1種類の野菜ジュースでは原材料のGI値は把握できるため、低GI食品を原材料としたものを飲用しましょう。

無糖や糖質オフは血糖値が気になる人に向いている

野菜ジュースの中には、無糖や糖質オフなどの野菜のみよりも糖質が少ないものもあり、これらは血糖値が気になる人に向いています。

糖質が少ない野菜ジュースの種類とその特徴、該当する代表的な商品と糖質の量は、以下のとおりです。

種類特徴該当する野菜ジュースと糖質の量
砂糖不使用砂糖は使用されていないが、他の糖類や原材料の野菜の糖質は含まれているKAGOME つぶより野菜:15.3g
糖質オフ含まれている糖質が少ないKAGOME 糖質オフ野菜ジュース:3.6g
糖質ゼロ含まれている糖質が100mlあたり0.5g未満である伊藤園 ごくごく飲める毎日1杯の青汁:0.0g
無糖含まれている糖類が100mlあたり0.5g未満であるが、糖アルコールの多糖類や人工甘味料は含まれている伊藤園 毎日1杯の青汁:0.8g

上記のとおり糖質オフや糖質ゼロ、無糖の野菜ジュースは野菜のみのものと比べて、糖質の量が大幅に少なくなっています。

血糖値が気になる人は、これらの表示がある野菜ジュースを飲用しましょう。

市販の野菜ジュースの中では青汁が糖質が低く、血糖値への影響が小さい

市販されている青汁を比較

市販されている野菜ジュースの中では、糖質が圧倒的に低く、食物繊維も含まれている青汁が血糖値への影響が少ないです。

青汁とはケールやオオムギ若葉、モロヘイヤなどの緑葉野菜を絞った汁のことであり、ビタミンなどの栄養素も多く含んでいます。

青汁は多くの会社が取り扱っており、それぞれ成分が異なっているため、健康補助食品や機能性表示食品の認定を取得しているものもあります。

主に市販されている青汁の概要は、以下のとおりです。

商品名会社名液体/粉末糖質食物繊維特記事項
ごくごく飲める毎日1杯の青汁伊藤園液体350.0g0.00g0.30~0.80g食物繊維を多く含んだタイプや粉末タイプなどバリエーションが豊富
AOJILクリアKAGOME液体330ml約3.90g豆乳入りのタイプもある
極みの青汁Suntry Wellness粉末1包3.3g1.64g0.39~1.50g抹茶、煎茶が含まれている
からだ想いの青汁カルピス健康通販粉末1包3.0g0.10~0.80g1.20~2.50g乳酸菌、オリゴ糖入り

上記のとおり各社とも特色は異なりますが、他の野菜ジュースよりも低糖質である点は共通しており、いずれも血糖値への影響は小さいと推測できます。

しぼり汁100%の野菜ジュースでも製造方法によって血糖値への影響は変わる

野菜ジュースにはしぼり汁をそのまま使用するストレートタイプと、しぼり汁の水分を取り除いたのちに水分を加えて濃度を戻した濃縮還元タイプがありますが、血糖値への影響が異なります。

濃縮還元タイプにおいて水分を取り除く濃縮方法は、以下の3つがあります。

水分を取り除く方法特徴
真空蒸発法・真空の減圧環境内で加熱する方法
・常温程度で水分を取り除くため、野菜品質の劣化を最小限にとどめられる
凍結濃縮法・野菜を凍らせ、野菜の水分であった氷の除去により高濃度の野菜のしぼり汁を精製する方法
・高濃度の濃縮が可能であるため、風味が残せる
・熱に弱い成分の変質が防げる
逆浸透濃縮法・水分を通す膜を使って分離する方法
・加熱しないため、熱に弱い成分の変質が防げる

野菜ジュースのパッケージには、ストレートもしくは濃縮還元の文字が記載されていますが、濃縮方法まで記載されているものはほとんどありません。

ストレートタイプと濃縮還元タイプの特徴は、以下のとおりです。

製造方法特徴
ストレートタイプ・無添加であるものが多い
・本来の風味が楽しめる
・長期保存ができない
・価格が高い
濃縮還元タイプ・糖類や添加物を加える必要がある
・風味は損なう恐れがある
・長期保存が可能
・低価格
・均一品質

上記のとおりストレートタイプでは無添加であるものが多いですが、濃縮還元タイプでは、水分を加える際に砂糖やはちみつなどを入れる場合があります。

そのため、野菜のしぼり汁100%の野菜ジュースであっても濃縮還元タイプの場合、血糖値への影響が大きい傾向にあります。

したがって、野菜のしぼり汁100%の野菜ジュースを飲用する場合は、ストレートタイプを選びましょう。

野菜ジュースの量やタイミングで血糖値への影響は小さくなる

野菜ジュースの量やタイミング

野菜ジュースの飲用において、野菜ジュースの選択以外に量やタイミングによって血糖値への影響は小さくできます。

市販されている野菜ジュースは、日頃不足する傾向にある栄養素を手軽に摂取できる飲み物ですが、食物繊維が少ないうえに野菜本来の糖質や果汁などを加えているものもあります。

したがって野菜代わりとして野菜ジュースの摂取は、糖尿病や肥満を引き起こす原因となります。

あくまでも日頃不足している栄養素を補填する飲み物として、飲用しましょう。

なお、果物や砂糖などを加えずに皮ごと野菜からジューサーで作る野菜ジュースであれば、野菜本来の食物繊維を損なわずに摂取できます。

野菜ジュースを飲むタイミングは血糖値への影響が大きい

市販されている野菜ジュースは、食物繊維が少なく糖質が多いため、血糖値への影響が大きい飲み物です。

したがって飲むタイミングは重要であり、無計画な飲用は血糖値の大きな上昇を招く恐れがあります。

野菜ジュースを飲むタイミングのポイントとしては、以下の2点です。

  • 3食の中では朝食がベスト
  • 食前30分もしく食後

上記より、野菜ジュースは朝食30分前の飲用が、血糖値への影響が小さくなります。

なお、15時頃のおやつの置き換えとして野菜ジュースの飲用は、糖質補給の観点で有効とされています。

朝食はその日の血糖値に影響を与える重要な食事

朝食時の飲用がおすすめ

3食の中で朝食は、その日の血糖値に大きな影響を与える重要な食事であり、野菜ジュースの飲用は朝食が良いとされています。

野菜ジュースの飲用は朝食が良いとされる主な理由は、以下の2つです。

  • 朝がインスリンの働きが最も活発である
  • 直前の夕食から時間が空いているため栄養素がすみやかに吸収される

インスリンとは、すい臓から分泌されるホルモンのことであり、血糖値を下げる効果があります。

このインスリンは体内時計にもとづいて分泌されており、朝食後が最も活発であるため、野菜ジュースの飲用も朝食時が最も血糖値への影響が小さくなります。

これに対して、夕食はインスリンの分泌も低下しているため、野菜ジュースを飲用すると血糖値が大きく上昇する可能性が高いです。

一方で、朝食時は直前の夕食から相当時間が経過しているため、体内に消化するものが残っていません。

したがって朝食時における野菜ジュースの飲用は、栄養素がすみやかに吸収され、便通の改善やデトックス効果など血糖値以外にも好影響をもたらします。

なお、血糖値の上昇が緩やかになる朝食のポイントは、以下のとおりです。

  • 早い時間に朝食をとる
  • バランス良い朝食にする

朝食は、早い時間にとるほど血糖値の上昇が緩やかになるという研究論文が、世界各地で発表されています。

さらに朝食は出勤の準備などで慌ただしいため、パンだけなどつい手抜きになる傾向がありますが、食物繊維やたんぱく質なども摂取するバランス良い食事であると血糖値の上昇は緩やかになります。

特に朝食時に低GI食品を摂取すると、その日の血糖値の上昇が緩やかになるセカンドミール効果が見込めます。

朝食は、その日の血糖値の変動を決定づける食事といっても過言ではないため、野菜ジュースを組み込んだバランス良い食事を心がけましょう。

野菜ジュースは食前30分の飲用が血糖値の上昇が緩やかである

血糖値への影響が小さくなる

野菜ジュースを朝食で飲用すると血糖値への影響は小さくなりますが、その中でも食前30分の飲用であれば、血糖値への影響をさらに小さくできます。

飲料メーカーのKAGOMEでは、野菜ジュース飲用のタイミングごとの白米摂取による血糖値の変動を調査し、食前30分の飲用が最も血糖値の上昇を抑えられるという研究結果を発表しました。

さらに研究結果によると白米摂取と同時に野菜ジュースを飲用した場合、摂取後わずか30分で血糖値がピークとなり、上昇幅も大きくなっています。

つまり食事の前に血糖値上昇を緩やかにするために、野菜を最初に摂取するベジファーストがありますが、食前30分の野菜ジュースの飲用も同等の効果があるということです。

これは、野菜よりも少ないものの野菜ジュースに含まれる食物繊維などの働きによるものとされています。

一方で食後の野菜ジュースの飲用は、血糖値上昇は抑えられますが、栄養素の吸収は弱くなる可能性があります。

野菜ジュースの適量は1日200ml程度である

1日200ml程度を目安

野菜ジュースの適量は1日200mlであり、多くとも400~500mlに抑える必要があります。

厚生労働省と農林水産省が共同で策定している食事バランスガイドでは、野菜ジュース200mlは、副菜の1つとしてカウントできるとされています。

食事バランスガイドとは、1日に必要な栄養素を摂取するための食事の望ましい組み合わせや目安となる量を示したもののことです。

食事バランスガイドでは、以下の5つの料理区分を設定し、独自のSVという単位を用いて必要な量を示しています。

料理区分1SVの目安1SVの料理2SVの料理3SVの料理
主食炭水化物約40g・ご飯小盛り1杯
・おにぎり1個
・食パン1枚
・ロールパン2個
・うどん1杯
・もりそば1杯
・スパゲッティ
主菜タンパク質約6g・冷奴
・納豆
・目玉焼き1個
・焼き魚
・魚の天ぷら
・まぐろとイカの刺身
・ハンバーグステーキ
・豚肉の生姜焼き
・鶏肉のから揚げ
副菜重量が約70g・野菜サラダ
・きゅうりとワカメの酢の物
・具だくさん味噌汁
・ほうれん草のおひたし
・ひじきの煮物
・煮豆
・きのこソテー
・野菜の煮物
・野菜炒め
・芋の煮っころがし
牛乳、乳製品カルシウム約100mg・牛乳コップ半分
・チーズ1かけ
・スライスチーズ1枚
・ヨーグルト1パック
・牛乳瓶1本分
果物重量が約100g・みかん1個
・りんご半分
・かき1個
・なし半分
・ぶどう半房
・もも1個

野菜ジュースは、上記の副菜1SVに相当します。

食事バランスガイドでは、年齢や性別、身体活動量によって1日の必要エネルギーや各料理区分の必要単位がわかります。

例えば、必要エネルギー量が2,000~2,400kcalに該当する人や各料理区分の必要単位は、以下のとおりです。

該当する男性該当する女性主食主菜副菜牛乳、乳製品果物
・10~11歳
・18~69歳で身体活動量が低い
・70歳以上で身体活動量が普通以上
・12~17歳
・18~69歳で身体活動量が普通以上
5~7SV3~5SV5~6SV2SV2SV

なお、食事バランスガイドでは、野菜の必要摂取量は1日あたり350gとされています。

野菜ジュースの中には、1日の野菜摂取量の目安である350gが含まれていると記載されているものもありますが、しぼりかすが取り除かれているため野菜の必要摂取量が賄えるわけではありません。

野菜ジュースは、日頃の食生活において不足する栄養素の補給手段として飲用しましょう。

野菜ジュースは適度な量とタイミングによって血糖値をコントロールできる

野菜ジュースは日頃不足する栄養素を手軽に補給できる飲料ですが、野菜と比較して食物繊維は少なく、糖質は多い傾向にあります。

そのため、過剰な飲用によって糖尿病や肥満の原因となる可能性がありますが、野菜ジュースを適切なタイミングで適度な量を飲用すると血糖値のコントロールは可能です。

血糖値コントロールにおいて野菜ジュースの選択は重要であり、無糖や糖質オフのもの、青汁などが適しています。

飲用方法については、朝食30分前に200mlの飲用が血糖値への影響が小さくなります。

健康維持のためにも、正しい知識に基づいた野菜ジュースの飲用をこころがけましょう。

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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