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糖尿病でかゆみが起こる原因!予防法と糖尿病性足病変についても解説

糖尿病でかゆみが起こる原因!予防法と糖尿病性足病変についても解説

糖尿病で起こる症状の一つに、皮膚のかゆみがあります。

糖尿病は全身のあらゆる場所に合併症を引き起こし、皮膚疾患も発症率の高い病気です。

少しの皮膚のかゆみであっても、放置すると重篤な状態へと進行する場合があります。

糖尿病では、皮膚疾患を予防するために皮膚のケアも重要です。

この記事では、糖尿病で発症するかゆみなどの皮膚疾患について解説します。

この記事でわかること
  • 糖尿病で起こるかゆみの原因
  • かゆみを予防する方法
  • 皮膚症状から起こる糖尿病性足病変

糖尿病でかゆみが起こる原因や予防法、皮膚症状から始まる足の病気についても解説しているため、ぜひ参考にしてください。

目次

糖尿病は乾燥や感染症が原因でかゆみが起こり、神経障害も関係する

糖尿病は乾燥や感染症が原因でかゆみが起こり、神経障害も関係する

糖尿病で起こるかゆみの主な原因は、皮膚の乾燥と感染症です。

糖尿病では皮膚の乾燥が起こり、皮膚がカサカサする、白い粉がふいたような状態になるといった症状が起こります。

乾燥がひどくなると湿疹やひび割れを起こし、傷口から細菌が侵入して感染症にかかる場合もあります。

糖尿病で起こる神経障害も、皮膚のかゆみを起こす原因です。

血糖コントロールの悪化によって起こる神経障害は、発汗機能免疫機能を阻害し、感染症などの皮膚疾患の発症リスクを高めます。

糖尿病では皮膚のケアや血糖コントロールによる乾燥予防と、乾燥してしまった場合には正しい処置による早期治療が大切です。

ここでは、糖尿病が起こす皮膚の症状と原因について解説します。

糖尿病で起こる皮膚症状

糖尿病は、血糖値が下げられなくなる状態が継続する病気です。

高血糖状態が続くと血管に障害が起こり、さまざまな合併症を発症します。

細い血管が傷つけられると目の網膜腎臓に障害が起こり、大きい血管が傷つけられると心臓に影響を及ぼします。

皮膚も、糖尿病の合併症を発症させる組織の一つです。

糖尿病では高血糖による免疫力の低下によって、細菌感染などの皮膚疾患を発症します。

糖尿病でかかる皮膚疾患には、帯状疱疹足白癬蜂窩織炎などがあります。

糖尿病による皮膚疾患

足白癬とは水虫のことで、白癬菌というカビによって生じる感染症です。

糖尿病の人は水虫の発症率が高く、しっかりと治療できていないと皮膚潰瘍や細胞が死んでしまう壊疽に進展する場合もあります。

かゆみから進行する傷や感染症には、予防と早期発見が大切です。

脱水症状による皮膚の乾燥

糖尿病で起こるかゆみ 原因1

糖尿病で起こるかゆみの原因の一つは、高血糖による脱水症状です。

血糖値が高い状態が継続すると腎臓が機能し、血液中の糖が尿として排出されます。

その際、体の中の水分も一緒に排出されるため、脱水症状が起こります。

糖尿病の症状で喉の渇きや尿の回数が増えるといった症状が起こるのは、高血糖による脱水が原因です。

脱水症状が起こると細胞からも水分が奪われるため、皮膚が乾燥しかゆみが出ます。

特に冬は乾燥した空気や暖房によって、皮膚の乾燥が強くなります。

乾燥した皮膚を放置すると小さな傷からでも感染症を起こす場合があるため、皮膚の乾燥予防が重要です。

神経障害による乾燥

糖尿病で起こるかゆみ 原因2

糖尿病によって障害が起こるのは、血管だけではありません。

全身に張り巡らされた神経にも障害を起こし、皮膚にも影響を与えます。

糖尿病で障害の起こる神経には、胃腸や心臓などの内臓の働きを調整する自律神経と、手足の感覚や運動をつかさどる末梢神経があります。

どちらも生命活動を維持するために、重要な役割をもつ神経です。

自律神経は高血糖によって働きが悪くなると、発汗作用が阻害されます。

汗の中に含まれる成分には、皮膚の保湿効果感染症を防ぐ効果があるため、汗が出なくなると皮膚が乾燥します。

乾燥に伴う皮膚のバリア機能の低下は、かゆみや湿疹、ひび割れの原因です。

末梢神経に障害が起こると、痛みや温度に対する感覚が鈍くなります。

足の裏の違和感やしびれ、軽く刺すような痛みを生じるようになり、悪化すると激痛などの症状が出ます。

さらには、感覚が麻痺して痛みや皮膚のかゆみを感じなくなる場合があり、気づかずに処置が遅れると重篤な症状へと進行しかねません。

少しのかゆみでも、気づくのが遅れると感染症を進行させる恐れがあるため、毎日体の状態をチェックして乾燥を予防しましょう。

痒みがひどくなりかきこわしてしまうと、糖尿病の場合はその傷から感染症が進行してしまうので特に注意が必要です。

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糖尿病によって起こる皮膚のかゆみには保湿と血糖コントロールが重要

糖尿病によって起こる皮膚のかゆみには保湿と血糖コントロールが重要

糖尿病では皮膚の乾燥によってかゆみが起こり、放置すると感染症を発症するため、保湿と血糖コントロールによって皮膚の乾燥予防を行います。

糖尿病で起こる症状の一つに、傷の治りが遅いという症状があります。

糖尿病で起こるかゆみ トラブル

原因は、高血糖による免疫機能の低下や血流障害です。

免疫機能の低下は傷口の回復を遅らせ、細菌やウイルスの侵入が防げなくなります。

血流障害は血液の巡りが悪くなるため、傷口に必要な酸素や栄養が行き届かず、治癒を遅らせます。

少しの皮膚のかゆみも、放置すると小さな傷から感染症を引き起こす可能性があるため、皮膚の乾燥予防と早期発見が重要です。

皮膚のかゆみを予防する方法について、解説します。

乾燥によるかゆみは保湿で予防する

糖尿病で起こるかゆみ 予防1

糖尿病の乾燥予防には、全身の保湿が重要です。

保湿には、乾燥によって低下した皮膚のバリア機能を回復させる効果が期待できます。

バリア機能とは、細菌やウイルスの侵入や水分の蒸発による乾燥を防ぎ、皮膚を守る働きのことです。

皮膚の乾燥予防には保湿剤を使用し、状態が落ち着いていても継続して保湿を行います。

保湿剤にはローションやクリーム、スプレータイプなどの種類があり、それぞれ使用感が違います。

汗などでベタつく夏は軽い使用感のローションやスプレーを使用し、乾燥が起こる冬はクリームを使用して十分に保湿をするなど、季節や肌の状態によって使い分けましょう。

乾燥予防には継続が重要であるため、自分に合った保湿剤の使用が大切です。

お風呂上がりは乾燥が起こるため、体が乾かないうちに保湿剤を塗ります。

かゆみの症状が起こった場合は、掻きむしって傷をつくらないようにし、早めの皮膚科受診が必要です。

血糖コントロールでかゆみを予防する

糖尿病で起こるかゆみ 予防2

かゆみの原因となる乾燥は、血糖コントロールの悪化による脱水症や神経障害によって引き起こされます。

かゆみの予防のためには正しい血糖コントロールを行い、血糖値を安定させる必要があります。

血糖コントロールの基本は、食事療法運動療法です。

食事療法は栄養バランスのよい食事を1日3食、よく噛んで食べるようにします。

脂質や糖質の摂りすぎに注意し、野菜などの食物繊維が豊富な食品から食べ始めると、血糖値の急上昇を抑えられます。

運動療法では、ウォーキングなどの有酸素運動が効果的です。

肥満は糖尿病を悪化させる原因でもあるため、肥満気味の人は継続的に運動に取り組みましょう。

糖尿病や別の疾患の状態によっては激しい運動ができない場合もあるため、必ず主治医に相談が必要です。

血糖コントロールの悪化は皮膚疾患だけではなく、糖尿病のさまざまな合併症の発症リスクを高めます。

毎日の血糖コントロールによって、皮膚疾患と合併症の予防が大切です。

血糖コントロールにはインスリンの働きが大切になってきます。

ポリフェノールの一種には、インスリンの分泌を促し、インスリンの効き目を高める作用がみつかっています。

詳しくは「インスリンの効き目向上。空腹時と食後血糖値をまとめて下げる」の記事をご覧ください。

皮膚症状から起こる糖尿病性足病変は毎日のフットケアで予防する

皮膚症状から起こる糖尿病性足病変は毎日のフットケアで予防する

糖尿病性足病変とは、糖尿病で足に起こる症状全般のことで、フットケアと呼ばれる方法で足の管理を行い予防します。

糖尿病性足病変は皮膚に起こるかゆみや痛みなどの症状から、悪化する場合もあります。

糖尿病でよく耳にする足の切断は、糖尿病性足病変の悪化によって重篤な状態になった場合に、病気の進行を阻止するためにとる手段です。

糖尿病では足のかゆみや小さな傷であっても、放置すると足を失ってしまうような重篤な状態にまで進行します。

毎日、足の状態をよく観察し、小さな傷も見逃さないようにしましょう。

糖尿病性足病変は、血糖コントロールと毎日のフットケアによって予防ができます。

ここでは、糖尿病性足病変の原因と症状、フットケアの方法について解説します。

糖尿病性足病変の原因

糖尿病性足病変1

糖尿病性足病変は、高血糖による神経障害血管障害が主な原因で発症します。

神経障害は糖尿病を代表する合併症であり、体のあらゆる神経に障害が起こります。

なかでも、糖尿病性足病変に影響する神経は、末梢神経の一つである知覚神経です。

知覚神経に障害が起こると、靴擦れや火傷をしても痛みが鈍くなるため気づくのが難しく、発見の遅れに伴って治療も遅れてしまいます。

治療が遅れると傷が広がり、気づいたときには皮膚感染症を悪化させている場合もあります。

手足の血管障害も、糖尿性足病変の原因です。

手足の末端の血管は障害によって細くなり、特に足の血管が細くなると多くの症状を引き起こします。

足の血流の悪化によって起こる症状は、しびれや足先の冷えなどです。

さらに足の血管が細くなると痛みが出るようになり、進行すると足の組織が壊死する足壊疽を起こす場合があります。

糖尿病性足病変の症状

糖尿病性足病変には、以下のような症状があります。

糖尿病性足病変2
  • 足のしびれや冷え
  • 足が赤く腫れる
  • 水虫や皮膚のただれがある
  • タコやウオノメができる
  • 爪の変形や変色
  • 足が変形する
  • 足の感覚が鈍い
  • 歩いていると足が痛くなる

爪切りや火傷でできた小さな傷でも、治療が遅れると細菌が入り込み感染症を起こします。

感染症が重症化した場合には、炎症によって傷口が深く皮膚がえぐれるような状態になる潰瘍を起こします。

水虫は血糖コントロールが悪いほど発症リスクが上がり、糖尿病で発症率の高い皮膚感染症です。

神経障害によってかゆみの感覚が鈍くなるため、気づかずに治療が遅れると、潰瘍足壊疽が起こる場合もあります。

壊疽が広範囲にわたり、治療が見込めないほどの重篤な場合には、足の一部を切断し細胞の壊死を止めます。

糖尿病性足病変の予防にはフットケアを行う

糖尿病性足病変を予防するためには、フットケアが重要です。

フットケアによって足を清潔にして感染症を予防し、足に起こる症状を早期発見します。

主なフットケアの方法は、以下の通りです。

糖尿病性足病変3
  • 深爪や巻き爪に注意し、爪の角は深く切らない
  • 足の保湿をする
  • 毎日足浴をする
  • 毎日足をよく観察する
  • 自分に合った靴を履き、靴擦れを防ぐ
  • 火傷に注意する
  • タコやウオノメを自分で処理しない

足の観察では、足に傷や腫れがないか、変形している部位がないかをよくチェックします。

火傷の傷口は感染症を引き起こすため、湯たんぽやカイロなどによる低温火傷にも十分な注意を払いましょう。

感染症の予防には、足の清潔な状態の維持が大切です。

毎日、指の間までしっかり洗い、水気をよく拭き取って保湿を行います。

傷を発見した場合は、傷口をきれいに洗い、清潔なガーゼや絆創膏で保護して経過をみます。

傷の腫れや膿が出る、周囲に赤みが出るなどの症状がある場合は、早急に皮膚科で治療が必要です。

糖尿病では皮膚のかゆみから感染症を発症する場合があり、毎日のケアが重要

糖尿病は皮膚の乾燥によって、かゆみが起こります。

乾燥の主な原因は、高血糖による脱水症神経障害です。

皮膚のかゆみは、放置すると細菌やウイルスによる感染症を発症します。

糖尿病では神経や血管の障害によって傷の治癒までに時間がかかるため、皮膚をケアし乾燥を予防する必要があります。

皮膚の乾燥予防には、保湿と血糖コントロールが重要です。

保湿は皮膚のバリア機能を回復させる効果が期待でき、血糖コントロールによって血糖値を安定させると神経や血管の障害を予防できます。

糖尿病性足病変は糖尿病が原因で足に起こるさまざまなトラブル全般をいい、皮膚疾患をきっかけに発症する症状です。

糖尿病性足病変は感染症によって潰瘍や壊疽を起こし、悪化すると足を失う場合もあります。

毎日のフットケアで足の状態をよく観察すると、糖尿病性足病変の予防と早期発見が可能です。

糖尿病で起こるかゆみは感染症を発症させる可能性があるため、体の状態をよく観察して予防しましょう。

毎日の皮膚チェックとフットケアで感染症を予防しよう

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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