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血糖値を下げるための飲み物の選び方と飲み方についての解説

血糖値を下げるための飲み物の選び方と飲み方についての解説

糖尿病の人の血管内では、高血糖で血管の内側が傷つき、血液中の糖分の濃度が高く粘性が高いです。

粘性が高い状態は血液がドロドロとなっており、糖尿病の3大合併症を引き起こす原因の1つとなります。

高血糖の人が内服治療に取り組み、食事療法や運動療法にプラスして水分摂取も効果的に行うと血糖値を下げる一助となるでしょう。

十分な水分量を摂ると、血液中の水分量が増加し、結果的に血液中の血糖濃度が低下します。

この記事では、どのような水分を摂取するといいのかを解説しますので参考にしてください。

この記事で分かること
  • 飲み物は微糖や低糖ではなく、無糖を選んだ方がいい理由
  • 血糖値が急上昇しない飲み物を知り、糖分の過剰摂取を防ぐ
  • 食後の血糖値の上昇を穏やかにするトクホの効果的な飲み方とは
目次

飲み物は微糖や低糖ではなく無糖を選んだ方がいい理由

飲み物は微糖や低糖ではなく無糖を選んだ方がいい理由

糖尿病の人は、糖分の過剰摂取を防ぐため無糖の飲み物を選ぶと良いです。

糖類にはブトウ糖や果糖、砂糖などさまざまな種類があります。

その中でも血糖値を上昇させるのは、口から摂取した糖が分解されて一番小さくなったグルコースです。

そのため、グルコースになるまでに時間がかかるようにすると血糖値の急上昇が防げます

糖類の主な種類は、下記の通りです。

糖類・糖質 主な種類
血糖値の上昇の速さ分類名称特徴
速い単糖類ブドウ糖果糖果実やはちみつに含まれ素早くエネルギーとなる
やや速い二糖類ショ糖(砂糖)ブドウ糖と果糖の2つの単糖で形成砂糖の主成分
ややゆっくり二糖類乳糖牛乳や乳製品に含まれている糖
ゆっくり多糖類でんぷんオリゴ糖グルコースなどの単糖が長くつながった炭水化物

参照:糖尿病ネットワーク

食品表示法に基づき、糖類に関する表示にはルールがあります。

糖類・糖質 食品表示法に基づく表示

糖質ゼロ無糖は、飲料の場合100mlあたり糖質、糖類ともに0.5g未満であれば表示可能です。

控えめや低糖、微糖は、100mlあたり糖類が2.5g以下であれば表示できます。

そのため無糖の表示でも、糖類は完全にゼロではない可能性があります。

水分補給で血糖値が上昇しないようにするには、無糖や糖質ゼロの表記のものを選びましょう。

血糖値が急上昇しない飲み物を知り、糖分の過剰摂取を防ぐ

血糖値が急上昇しない飲み物を知り、糖分の過剰摂取を防ぐ

糖尿病の人はをメインの水分補給とするのが望ましいのですが、飽きてストレスが溜まるのを避けなければいけません。

血糖値の急上昇を防ぎ、肥満などの予防に効果がある飲み物は緑茶です。

緑茶にはポリフェノールの一種であるカテキンが含まれ、血糖値の上昇を防ぐ作用の他にも抗酸化作用が注目されています。

緑茶以外にもコーヒー牛乳も血糖値が急上昇しない飲み物と言われていますが、配慮が必要な点もあります。

血糖値が急上昇しない飲み物についての知識を深め、糖分の過剰摂取を防ぐための方法を解説するため、ぜひ参考にしてください。

緑茶には抗酸化作用と血糖値抑制作用がある

緑茶に多く含まれるカテキンは体の酸化を予防する作用と、腸からの糖の吸収を抑え血糖値の上昇を抑制する効果があります。

カテキンはポリフェノールの一種で、植物に存在する苦味や色素の成分を指します。

ポリフェノールは自然界にたくさん存在している

血糖値の急上昇を防ぐ飲料

ポリフェノールとは植物の光合成によってつくられ、自然界に8,000種類以上あると言われています。

緑茶に含まれるカテキンや大豆に多いイソフラボン、ブルーベリーに含まれるアントシアニンなどが有名です。

ポリフェノールには悪玉コレステロールの酸化を抑制し、動脈硬化を防ぐ効果や老化の防止にも期待が持てます。

 食品100gあたりのポリフェノール含有量(㎎)は、以下の通りです。

赤ワイン230ココア62
コーヒー200ゴボウ49
緑茶115ホウレンソウ42
紅茶96ウーロン茶39
トマト・野菜ジュース69豆乳36

参照:健康長寿ネット 

ポリフェノールの一種であるプロアントシアニジンには、インスリンの分泌を促す作用が確認されています。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。

インスリンの働きを高めて空腹時血糖値を抑える作用

抗酸化作用と血糖値には密接な関係がある

ポリフェノール 抗酸化作用と血糖値

ポリフェノールの効果である抗酸化作用は、全身に影響を及ぼすと言われています。

人が呼吸すると酸素が体内に取り込まれ、一部の活性化した酸素が活性酸素という反応性が増大した酸素に変化するのです。

活性酸素のすべてが人体に有害というわけではなく、白血球から産生される活性酸素には体内の免疫機能を担うなど重要なものがあります。

活性酸素が体内に悪影響を及ぼすメカニズムは、以下の通りです。

  • 活性酸素は通常体内でバランスが摂られているが、紫外線や大気汚染などが原因で生産過剰になる
  • 過剰な活性酸素は、細胞に傷害をもたらす

活性酸素によって酸化を防止するシステムのバランスが崩れると、細胞が傷つけられ、この状態を酸化ストレスと呼びます。

酸化ストレスが脳に蓄積すると、視床下部の細胞数が減少し、血糖の濃度を感知する部分がダメージをうけるのです。

同時に視床下部にはレプチンと呼ばれる食欲に関係するホルモンの作用の低下が起こり、食欲が抑えられず肥満を引き起こし、結果的に血糖値が上昇します。

抗酸化作用のある抗酸化物質を摂取すると、血糖値の上昇の抑制に効果が期待できます。

主な抗酸化物質は、以下の通りです。

生体内に存在体外から摂取
ビリルビン
尿酸
アルブミン
メラトニン
ビタミンC
ビタミンE
コエンザイムQ
ポリフェノール類:カテキン、タンニン、イソフラボン、アントシアニン

カテキンには抗酸化作用の他にも、血糖値の上昇を抑える作用、抗ウイルス作用など多くの効果があるとされています。

フランスの研究では抗酸化物質を多く摂取すると、2型糖尿病のリスクが低下するという研究成果が報告されているのです。

カテキンを摂取するための緑茶の効果的な飲み方

ポリフェノールを含む飲料1

カテキンは血糖値の上昇を抑えるのに有効ですが、湯温が高いほど溶出する傾向があるため、以下の方法での摂取がおすすめです。

  • 80度以上で淹れる
  • 蒸し時間を1分程度にする

蒸し時間は短い時間よりも1分程度にした方が茶葉の組織が柔らかくなるため、さらに多くのカテキンが溶け出します。

カテキンが血中に吸収されるのは、飲み始めてから1時間半後をピークに減少するとされています。

よって、2時間おきにこまめに飲むと血糖値の緩やかな上昇が期待できるでしょう。

ペットボトルの緑茶のカテキン量を比較した調査では、市販されている多くの緑茶で100ml中32~41mgであり、カテキン類が関与した特定保健用食品や機能性表示食品では100ml中80㎎と高い値が示されました。

カテキンの一種で、緑茶に多く含まれるエピガロカテキンガレートを1日140㎎/日以上摂取すると、食後血糖値の上昇抑制に繋がるとされています。

食事中に緑茶を1杯飲む習慣をつけると、血糖値に良い効果がもたらされると考えられます。

緑茶以外のポリフェノールが含まれている飲み物を紹介

緑茶以外にも、ポリフェノールが含まれている飲み物はたくさんあります。

ポリフェノールを含む飲料2

赤ワインにはたくさんのポリフェノールが含まれているため、血糖値の上昇を穏やかにする効果がありますが、適正量を守らなければ効果は得られません。

厚生労働省が定める日本人の節度ある適度な飲酒量は、1日平均純アルコールで約20ℊとされています。

ワインに換算すると1杯120mlアルコール度数12%で12ℊであり、1~2杯の間でコントロールの必要性があります。

しかし、お酒は飲み過ぎで起こるリスクがたくさんあるため、お祝い事のみと限定されると良いかもしれません。

日常的に摂取できるだけでなく、良い気分転換となるコーヒーや牛乳などの紹介をします。

コーヒーの効果

ポリフェノールを含む飲料3

九州大学の研究によると、インスタントコーヒーを1日に5杯ずつ、16週間にわたって飲み続けると糖の代謝が改善したという結果が得られました。

コーヒーを日常的に飲み続けると、体脂肪の燃焼が促されます。

コーヒーに含まれるポリフェノールの一種のクロロゲン酸には強い抗酸化作用があります。

クロロゲン酸には、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞を保護する作用があると言われているのです。

コーヒーは食前に飲むと空腹感が抑えられるため、食べ過ぎを予防できます。

ノンカフェインのコーヒーもポリフェノールの含有量は変わらないため、抗酸化作用が期待できます。

砂糖が入ったコーヒーでは、逆に血糖値が上がってしまうため、必ずブラックで飲みましょう。

コーヒーに砂糖を入れてカフェインを摂取すると、血糖値が倍速で上がると言われているため、高血糖を指摘されている人には不向きです。

コーヒーと牛乳を混ぜ合わせたカフェオレは、無糖であれば血糖の上昇を抑える飲み物として摂取できます。

牛乳の効果

その他の飲料

牛乳は、グライセミックインデックスが低い製品です。

グライセミックインデックスとは、食品がどれくらい糖質を吸収するかの指数で、GⅠと表記されます。

牛乳に含まれる乳糖は分解に時間がかかるため、血糖値の上昇が緩やかです。

牛乳を飲みすぎると脂肪の摂取過剰になるため、食事のときにコップ1杯飲むと血糖値の緩やかな吸収が期待できます。

低脂肪牛乳も、血糖値の上昇を抑えます。

血糖値を下げるのに有効な飲み物は、表の通りです。

麦茶糖分が含まれていないため、水分補給に最適。
活性酸素のペルオキシイライトナイトを抑制し血糖値の上昇を防ぐ。
紅茶ポリフェノールが含まれているため、糖の吸収スピードを穏やかにする。
無糖、ノンシュガーの表示の製品を選ぶと良い。
トマトジューストマトに含まれるリコピンは食欲コントロールホルモンのレプチンを増加させるため、食欲が抑制され血糖値が抑制される。
ココアカカオポリフェノールが含まれる。
血管の弾力性の向上が期待され、血圧低下に効果あり。
動脈硬化にも効果が期待される。

水や緑茶の摂取をメインとし、 気分転換としてお楽しみ程度に上記の飲み物を組み合わせて摂取すると良いでしょう。

食材でも血糖値を上げやすいもの、下げやすいものがあります。
近年の研究ではブルーベリーなどに多く含まれるプロアントシアニジンに、糖の吸収を抑えたり、血糖値の上昇を抑制する効果が確認されています。
プロアントシアニジンを多く含む食材を意識するのもよいでしょう。

プロアントシアニジンを多く含む食品一覧

食後の血糖値の上昇を穏やかにするトクホ(特定保健用食品)の効果的な飲み方とは

食後の血糖値を穏やかにするトクホ(特定保健用食品)の効果的な飲み方とは

トクホとは消費者庁長官の許可を得て表示された、生理学機能などに影響を与える成分を含む食品のことです。

保健機能を有する成分を含んだ食品と判定された製品には、特定保健用食品のマークを表示できます。

トクホ(特定保健用食品)

食後の血糖値の上昇を穏やかにする」表示をした食品の効果は、以下の通りです。

  • 糖質と同時摂取した際に血糖値の急上昇を抑制する
  • 糖の分解を阻害して糖の吸収を遅らせる

分解されない糖質が腸の中で発酵してガスを溜めてしまう恐れがあるため、腹部の手術を過去にした人は、おなかの張りに注意して摂取しましょう。

「食後の血糖値の上昇を穏やかにする」表示の成分は、以下の5つです。

難消化性デキストリン水溶性食物繊維
砂糖と一緒に摂取すると胃内の水分で膨らみ、胃から腸への消化、吸収のスピードを遅らせ血糖値の上昇を抑制する
グァバ茶ポリフェノールグァバ茶に含まれ、消化酵素の働きを弱め、でんぶんからできるブドウ糖の量を少なくする
食後血糖値の上昇が抑えられる
小麦アルブミン小麦粉から脂溶性タンパク質を抽出し、精製したもの
体内のでんぶん分解酵素の働きを阻害して、糖質の吸収を遅らせる
L-アラビノーストウモロコシや米などの穀類に含まれる単糖の1つ
植物の細胞壁を作る成分
砂糖とL- アラビノースと一緒に摂取すると、ショ糖分解酵素の働きだけ阻害し、砂糖の分解・吸収を抑える
豆鼓エキス大豆の発酵物物である豆鼓から抽出した天然の成分
豆鼓エキスに含まれているα⁻グルコシダーゼの作用を阻害し、糖の吸収を遅らせる

参照:薬事情報センター

トクホは血糖値に対して効果が期待されるが疾病を治癒できるものではなく、あくまでも食生活改善食品として利用すると良いです。

糖尿病の治療中の人は、医師に相談してから摂取するよう推奨されています。

血糖値の上昇を防ぐためには飲み物の見直しもが大切

血糖値の上昇を防ぐためには飲み物の見直しもが大切

血糖値の上昇を防ぐためには、生活習慣の改善が欠かせません。

その上で、日ごろの飲み物を見直すとさらに効果的です。

清涼飲料水には糖類が多く含まれ、清涼飲料水を緑茶や無糖のものに変換するだけでも、糖分の過剰摂取を防げます。

血糖値の上昇を医師に指摘された時点で生活改善に取り組むと、健康な人と同様の生活が可能となります。

1日のうちで飲んでいる飲み物を、この機会にぜひ振り返ってみてください。

日ごろの飲み物を見直し血糖値上昇を防ぐ

この記事の監修者

東京医科大学を卒業後、複数の総合病院内科、東京医科大学病院 糖尿病代謝分泌科を経て、現在の四谷内科・内視鏡クリニックの副院長に就任。


糖尿病専門医でありながら、見逃されやすい内分泌疾患にも精通した総合的な診療をおこなう。

日本糖尿病学会
糖尿病専門医

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