胃底腺ポリープ

胃底腺ポリープとは

胃底腺ポリープとは胃底腺ポリープとは、胃の上部(胃底部)にある胃底腺と呼ばれる部分にできる良性のポリープです。ポリープとは、粘膜にできる小さな隆起のことを指し、一般的に1~10mm程度の大きさで発見されることが多く、見た目は丸くてつるつるした形状をしています。胃カメラ(内視鏡検査)を行った際に偶然見つかるケースが多く、自覚症状はほとんどありません。胃底腺ポリープは、胃の粘膜に存在する酸を分泌する腺細胞が過形成を起こすことで生じると考えられており、加齢とともに発生頻度が高まる傾向があります。胃底腺ポリープは、そのほとんどが良性であり、がん化のリスクも極めて低いため、基本的には経過観察で済むことが多い疾患となります。しかし、稀に特殊な病態や合併症が見つかることもあるため、医師の指導のもとで適切な管理が必要となります。

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胃底腺ポリープの主な原因

胃底腺ポリープの原因は明確になっていません。しかし、胃酸分泌抑制薬(特にプロトンポンプ阻害薬:PPI)の長期使用が原因でできるとも言われています。PPIは胃酸の分泌を強力に抑える薬剤で、逆流性食道炎や胃潰瘍などの治療に広く使用されています。PPIの使用により胃の酸性環境が変化し、胃粘膜の細胞が過形成(細胞が異常に増える状態)を起こしやすくなり、それが胃底腺ポリープの形成につながると考えられています。また、加齢やホルモンの変化も一因とされており、特に中高年の女性に多く見られることから、女性ホルモンとの関連も指摘されています。また、胃底腺ポリープは胃がんの原因といわれている、ヘリコバクターピロリ菌に感染していないきれいな胃にできやすいともいわれています。

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胃底腺ポリープと胃がんの関係

胃底腺ポリープは、がん化のリスクが極めて低い良性のポリープとされています。特に単発で小さなものは、がん化する可能性はほとんどないと言われています。しかし、複数個存在する多発性のポリープや、背景に遺伝性疾患(家族性腺腫性ポリポーシスなど)がある場合には、注意が必要とも言われています。胃底腺ポリープは症状もないことから、胃カメラ検査時に偶然見つかるような胃底腺ポリープでは、胃がんに進展するケースはほとんどありません。また、胃底腺ポリープの多くはヘリコバクター・ピロリ菌の感染がない人に発生しやすく、ピロリ菌未感染の胃はがんの発生リスクが比較的低いとされています。そのため、胃底腺ポリープの発見そのものが胃がんリスクの高さを示すものではなく、むしろ低リスクであると考えられています。

胃底腺ポリープと
ピロリ菌の関係

胃底腺ポリープとピロリ菌の関係胃底腺ポリープとピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)には興味深い関係があり、胃底腺ポリープはピロリ菌に感染していない人に多く見られる傾向があると言われています。ピロリ菌は慢性胃炎や胃潰瘍、さらには胃がんの原因ともなる細菌であり、感染すると胃の粘膜に炎症を引き起こします。一方で、ピロリ菌未感染者の胃では炎症が少なく、胃底腺ポリープが発生しやすいことが知られています。また、ピロリ菌除菌治療を行うと、胃底腺ポリープが縮小したり、自然に消失する例もあると言われています。また、ピロリ菌感染がある人では、胃底腺ポリープはあまり見られず、萎縮性胃炎や腺腫性ポリープが発生することが多いことが知られています。そのため、胃底腺ポリープがある場合には、ピロリ菌未感染である可能性が高いと考えられています。

ピロリ菌について

胃底腺ポリープの症状

胃底腺ポリープは、ほとんどの場合、自覚症状を伴いません。そのため、健康診断や他の症状で内視鏡検査を受けた際に偶然発見されると言われています。しかし、まれにポリープが非常に大きくなった場合や、数が多くなった場合には、軽い不快感や胃のむかつき、腹部膨満感などを感じることがあります。また、ポリープが出血した場合には、黒色便(タール便)などの症状が現れる可能性もあります。多くの方は症状がないため、発見後も特に治療を必要とせず、定期的な経過観察にとどまります。逆に、胃痛や食欲不振、体重減少などの症状がある場合には、ポリープ以外の疾患(胃がんや胃潰瘍など)が隠れている可能性もあるため、早期の検査や治療が必要となります。

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胃底腺ポリープの診断方法

胃底腺ポリープの診断方法胃底腺ポリープは、胃内視鏡検査(胃カメラ)によって診断されます。胃内視鏡検査では、胃内部の粘膜を直接観察することができ、胃底腺ポリープの大きさ、形状、数、色調などを詳細に確認できます。胃底腺ポリープは、平滑でツルツルした表面をもっていると言われています。通常は赤みの少ない淡い色調をしておりとして診断されることが多くなります。形態だけでは良性か悪性かの区別が難しい場合には、必要に応じてポリープの一部を採取し、病理組織検査(生検)を行うことがあります。また、胃カメラ検査時に他の疾患がある可能性がある場合には、血液検査やピロリ菌検査なども併用して診断する場合もございます。

胃カメラ検査

胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)は、細いカメラ付きの管を口または鼻から挿入し、食道・胃・十二指腸の内側を直接観察する検査です。食道裂孔ヘルニアの場合には、胃カメラ検査にて、胃の一部が胸部に入り込んでいないか、胃酸の逆流による食道の炎症がないかを詳しく確認します。胃カメラ検査は数分で終了し、局所麻酔や鎮静剤を用いることで苦痛も軽減することは可能です。

胃カメラ検査について

 

マンガでわかる!胃カメラ検査

胃底腺ポリープの治療

胃底腺ポリープの治療は、「経過観察」が基本となります。胃底腺ポリープは、がん化のリスクが低く、多くの場合は症状もないため、定期的に胃カメラ検査を行ってサイズや数の変化を観察します。稀にポリープが1cm以上の大きさである場合や、出血や表面の異常が見られる場合は、内視鏡的切除を行うことがあります。また、ポリープの数が急激に増加している場合や、組織検査で異型性が認められた場合には治療を行う場合もございます。胃底腺ポリープは経過観察となりますが、治療の必要がない場合でもの定期的な胃内視鏡検査を行うことで胃がんなどの病気の早期発見にもつながります。

胃底腺ポリープでお悩みの方へ

胃カメラ検査で胃底腺ポリープがありますと診断を受けたことがある方もおられるかと思います。胃底腺ポリープの多くは良性で、がん化するリスクは極めて低いとされています。特に小さくて数の少ないポリープは、治療の必要がなく、定期的な胃内視鏡検査による経過観察のみで問題ございません。症状もほとんどないため、日常生活への影響もほぼありませんが、胃底腺ポリープの大きさが1cmを超える場合や数が急激に増えた場合、または出血傾向がある場合などは、処置を行うことがあります。気になる症状がある方やご不明な点がありましたらお気軽に四谷内科・内視鏡クリニックまでご相談ください。

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